海外で海鳥を見るようになったきっかけ

突然ですが、こちらは私のイチオシの海鳥、Northern Giant Petrel(キタオオフルマカモメ)とのファーストコンタクト時の写真です。遠いですけど神々しいですね。

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私が海外で鳥を、それも海鳥を見るようになるなんて、自分自身思ってもみませんでした。どんな種類がいるかも知らないし、たいして興味もありませんでした。

それが、2016年9月、気がつけばオーストラリアはシドニーの沖、船の上で海鳥に囲まれていました。

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シドニーの街をバックに飛ぶBlack-browed Albatross(マユグロアホウドリ)

はじめは、どこか海外旅行に行こうと計画を立てていました。航空券の安さからシドニー行きを決め、トレッキングに、クジラウォッチング船、公園でオウムやワライカワセミを見よう…くらいに考えていました。しかし旦那さんが「海外では小型船をチャーターして海鳥を見にいく日帰りトリップが色々な場所で行われてるよ、行ってみようよ」と囁いてきたのです。

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個人的にオーストラリアといえば、Laughing Kookaburra(ワライカワセミ)

その後は、あれよあれよという間に旦那さんが船をチャーターしている主催者に連絡を取り、日程を調整し、気が付いたころには参加することになっていました。

やや緊張しつつ、船に乗り込むと、まず参加者の皆さんが大変に優しくしてくれ、いたく感動しました。英語がへたくそな私にも話しかけてくれ、写真を撮る場所を譲ってくれたりと…日本のバードウォチャー界隈は苦手ですが(これは人見知りな私自身にも問題があります)、この場では嫌な気持ちになることが全く無かったのです。

そして、鳥との距離の近さに感動します。手を伸ばせば触れそうなほどです。日本で海鳥を観察する場合には、フェリーからの観察が一般的でどうしても鳥が遠いことが多いため、“近い”というだけで感無量です。鳴き声や羽ばたきの音、水面を蹴る音、海鳥独特の脂くささを体感し、鳥の存在がなんだかとてもリアルになりました(いつだって鳥は現実にいるはずなのに、双眼鏡を通しての情報だけでは、なんだかリアルさに欠けるような気がする時があるのです)。

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豪快に嘴を洗うGibson' Albatross(ギブソンアホウドリ)

さらに、海鳥の種類、数ともに多かったのも、楽しめた要因のひとつでした。大きくてカッコよく、海鳥界のスターとの呼び声も(勝手に)高いアホウドリの仲間を、5種類も見ることが出来たり、オナガミズナギドリ(しかも小笠原行きの航路では稀な暗色型)がたっくさん船に集まってきたり、図鑑を見て憧れていたオオフルマカモメの仲間を初めて見られたりと、感動するのが追いつかないほどに、次々海鳥が現れてくれました。

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嘴が派手な(Northern?) Buller's Albatross  ((キタ)ニュージーランドアホウドリ)

そんなこんなで、最初の緊張と不安が嘘のように、大満足のお腹いっぱい状態で船を降りることが出来たのです。

海外で知らない人に紛れて船に乗って海鳥を見るというのは、私にとってはすごくハードルの高いことだったのですが、放り込まれてしまえば、本当はハードルなんてないように思いました。

また、日本ですらまだあまり海鳥を見ていないのに、海外の海鳥なんて何も分からないし楽しめないのではないか、という不安もありましたが、そんなことはありませんでした。日本と共通の種もいますし、識別が出来なかったとしても鳥が近いという楽しさがあります。それに、図鑑で予習してよく分からなかったとしても、絶望することはありません。その予習しようとする姿勢だけで満点です。予習した上で実際に見てみることで、より分かったり、分からなかったりすることが分かるからです。

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船のライトの上で休むGreater Crested Tern (オオアジサシ)

そんな訳で、私はこのシドニーでの出来事を機に、海外で海鳥を見るっちゅうのは楽しいもんだな…と味をしめ、ニュージーランドやタヒチ、ハワイ、南極、西太平洋縦断と、どんどん出かけていくことになります。少し大袈裟にいえば、人生が豊かになったなあと思います。

海外で海鳥を見ることに興味がない方も、もし海外で海鳥を見たいけど二の足を踏んでいる方も、行ってみれば案外楽しめるかもしれません。騙されたと思って、次の海外旅行の際には、一日くらい海鳥観察のチャーターボードに申し込んでみてはいかがでしょうか。生きる喜びがちょっとだけ増すかもしれません。

ちなみにこの時に参加したのは、こちらです。おすすめです。↓


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