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究極の思考

 ライター仲間たちが難しい課題に取り組んでなかなか答えが出ないという嘆きをTwitter上で目にしたので、今日は今まで知り得た情報の中から思考についての考察を試みたいと思います。

思考とはなにか

 あなたも経験したことがあるのではないでしょうか。
緑の中を散歩しながら気持ち良い空気を味わっている時、また何も考えずにシャワーを浴びている時、あるいは家でリラックスして何気なく物に手を伸ばした瞬間、そんな風に寛いで頭が空っぽになっている瞬間に、長いこと考えていた問いへの答えやアイデアなどが閃いたことを。

 普段私たちが思考という言葉を使うとき、大脳での思考を指していることが多いと思います。つまりあるイメージや概念を、言葉や数という記号を使って大脳というキャンバス上に広げ、その記号から答えとなる概念や数を導き出そうと一生懸命考えてる状態です。

 大脳というキャンバス上に広げられた概念は、その映像を保持するためにたくさんのエネルギーを消費します。それはちょうど映画のスクリーン上に、映像を映し出すのに電気というエネルギーを使うのと同じように。

 思考中の概念やアイデアを紙に書きだしたり図や絵にしたりすると考えがまとまりやすいのは、その概念を大脳のキャンバス上にキープするためのエネルギーを節約できるからです。その節約したエネルギーを思考に使うことができるので、脳内の情報を書き出すことに効果があるのです。

小脳のはたらき

 ではリラックスして頭が空っぽになっている時に、良いアイデアが浮かびやすいのはどうしてでしょうか?

 言葉や数字などの記号を使って極限まで大脳で考えられた情報は、大脳で考えることをやめた後、小脳に伝達されます。そして小脳という無意識領域で超高速処理が続けられるのです。

 これまで小脳の働きは、運動などの身体活動の制御だと考えられていました。
しかし最近の研究から、それは過去の常識となりつつあるようです。
最近の研究では、小脳のある部分が損傷すると運動機能とは関係のない予想外の障害が生じ知覚情報を素早く正確に認識する機能に障害をきたすことがわかってきました。短期記憶、注意力、情動の抑制、感情、高度な認識力、計画を立案する能力などにも関係していることがわかってきたのです。
小脳は運動の指令を出すというよりも、入ってきた感覚信号を統合する役目を果たしていると考えられます。

 そしてこれらの小脳の働きが無意識下で行われていることは、感覚的に理解できるのではないでしょうか。

アインシュタイン
 アインシュタインの67歳の時の自伝に次のような記述があります。
「多くの場合、記号(言葉)がなくても思考は進められるのもので無意識のうちにさえもかなりの程度までそれができるということは自分にとっていまや疑いのないことです」

 この言葉はアインシュタインがある程度意識的に、小脳での無意識下の思考を稼働させることができたと推察されるかと思います。

ある教育者の考察

 また私の子どもが小学校時代に計算ドリルや漢字練習などの反復学習を嫌がっていた時、ネット上で見つけたある教育者の「考える学習」についての教育法には大いに影響を受けました。
 「子どもたちが考える力を伸ばすためには極力反復学習を避けて、自分の頭で考える学習に取り組むこと。学習に取り組む環境は子供がリラックスして楽しめる環境でなくては子どもの力は伸びない。そのためには学習時のおやつは必須である。一生懸命に難しい問題に取り組んだら、答えが出るかどうか、正解するかは求めず、問題のことをいったん忘れること。大事なのは一生懸命に楽しんで考える習慣と、考えた後にそれを忘れること。忘れている間に小脳が考え続け、ある時閃きとともにポンと答えが出る。それがクリエイティブな天才を育てる教育である」というユニークな教育法でした。

 このことから小脳はリラックスしている時に活性化すると考えられるのではないでしょうか。

天才たちのヒラメキ

 多くの天才たちも同じようなことを示唆しています。
散歩によってインスピレーションを得ていた天才たちの逸話は枚挙にいとまがないほどです。キルケゴール(デンマークの哲学者)、ディケンズ(イギリスの文豪)、チャイコフスキー、ベートーベン(作曲家)などなど。

小脳思考

 つまり究極の思考とは小脳思考のことであり、机にかじりついて一生懸命に考えているときよりむしろ、一生懸命考えた後にその思考をいったん手放してリラックスしている時に無意識下の小脳での思考の結果としてのヒラメキがやってくるのではないかといえるでしょう。

 さあ難しい課題に行き詰まっているライター仲間の皆さん、いったんパソコンとノートと鉛筆は手離して、外に出て秋の気持ち良い晴れた空の下で思い切りリフレッシュしてみませんか?

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