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群青色のキャンバスに 筆を一振りすれば 彩どりあざやかに 発光するインクが リズムよく飛び散り 心に重く打ち込まれ 恋模様を描き出す 夏の夜だけに かけられた魔法 あなたを待つ わたしの纏う浴衣は 紺地だったかしら それとも 白地だったかしら *** >> 花火大会? あんまり行ったことない << ねぇ、冗談でしょう? 恋をしたら イコールで結ばれても おかしくないと思っていた 「花火大会」 好きな人と それはもちろん 好きと通じ合う前の人とでも 人
打ち上げ花火を見上げながら ふたりで過ごした けして明けない夜 きっとあなたも さほど遠くもない過去の想いが 引っ張り出されて あふれてしまったのでしょう わたしを通して 今も忘れられずにいる 白い浴衣の彼女の存在を *** 遅かれ早かれ いつかはわかることだった 気づかないふりをして 見えない気になって 浮かれてた現実のわたし 初めてあなたの現実の声を 聴くことになって 気づいてしまった想い あなたを本気で好きになりかけている 現実の年齢差は15以上 あり得
奇跡って 起きたようにみえるかもしれないけれど 努力で起こす奇跡の方が大半だって あなたは知っていたのかしら *** あなたとの初めての通話は ひどく緊張した 緊張しすぎてあまり覚えていない アバター同士でチャットをするときの 元気なイメージとは少し違って ゆったりとした優しい口調だったことは ふんわりと覚えている 待ち望んでいたあなたの声 一緒にゲームをしながらの 通話ではあったけれども 気づけば通話は6時間にも及んでいた 止まることが珍しいほど チャットで
想いがすれ違っていたね 声を掛ける勇気がなかったのよ 心から幸せになってほしいって 思える人に簡単に 巡り逢うことはないから 「応援してる」 握っていた手をゆっくり離すと 振り返らずに改札を抜け 新幹線に乗り込んだ *** 会場の外に出ると ひんやりと涼しい風が 火照った頬をそっと和らげてくれた 新幹線の時間まであと2時間ほど 初ライブの余韻を語り合うと思って 最終列車を予約していた あなたはさっとスマートフォンを取り出して 何かを急ぎ打ちこみ確認する 「公園