オフ会でいろんなマイクを聞いてみた

 実は先日、アライさん界隈で「マイク会」というオフ会を開催した。これは、「ひとまずマイクで声録音して聞いてみようぜ」という軽い気持ちだったのが、集まったメンバが実に様々なマイクを持ち込んだため、多くのメーカーのマイクを同時に体験できるという、きわめて貴重な時間となった。

 ここでは、マイク会で実際に聞いた音を、筆者の独断で評価してみる。あと、スタジオでの使用だったので、コンデンサーマイクが中心となっている。「宅録でもコンデンサーマイクを使いたい勢」の一助になれば幸いである。




■Audio Technica AT4040

  今回のマイク会ではいわばリファレンスモデルとして活用されたマイク。価格も安く高音質で、いわゆる「コンデンサーマイクってこの音」という音がする。何を録音してもハズレがなく、それでいてチープさが微塵も感じられないオールマイティなマイク。正直なとこ迷ったらこれでいいと思う。
 ただ全体的に品薄で、Amazon、サウンドハウスともに品切れとなっている事が多い。また、AT4040より1万円ほど安いAT2020を利用する人も多いが、さすがに「代用品」にするには無理がある。でもなぜかYouTuberの動画では2020見ることが多い。が、サイドアドレス型ということを知らないのか、かなりのYouTuberがエンド(マイクの頭の部分)を自分に向けて使っている。

AT4040
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AT2020
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■Audio Technica AE3300

 コンデンサーマイクでかつハンドマイクというと選択肢がかなり絞られる。AE3300もその中の一つで、ダイナミックマイクのAE6100とならんで、ステージマイクの定番と言ってもいい。とはいえ、ステージでコンデンサを使うのは相当覚悟がいるのも事実で、やはり録音用とか、ラジオスタジオ用といえる。
 また、AT4040と違い、ボーカル向きにチューニングされている印象で(ハンドマイクなのだから当たり前?)、AT4040に比べると随分と声の成分が前に押し出されてくる。ナレーションであれば問題ないかもしれないが、歌ものの場合はMID~LOをかなり絞らないと、「生々しさ」が消えないかもしれない。逆に言うと、肉声に対しては安心感のある低域を確保できる。マイク本体に10dBのPAD(減衰器)もついているので、歌ものの場合は有効にするといいかも。

AE3300
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■AKG C214

 ざっくりいうと、AKGの銘品C414を単一指向性にしたもの。録り音の質感としてはAT4040にかなり近い。ブラインドテストをした場合、AT4040とC214を聞き分けられるのはかなりの手練だと思う。ただ、C214で声を録音した場合、若干ではあるもののAT4040のようなきらびやかさがなく、落ち着いた(悪く言うと艶のない)印象を受ける音になりやすい。たぶんマイクとの距離で随分印象が変わる気がする。個人的には楽器に使いたいイメージ。

C214
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■RODE Broadcaster

 Broadcasterの名前が示すとおり「ラジオ放送特化型」と言ってもいいくらい、かなり割り切った音質で、声がバンと前に出てくる。このため、BGMを流しながらのトークでも音楽に埋もれることがないパンチのある声が録音できる。反面、歌ものの場合はかなり頑張らないと曲と声が調和しないので、カラオケみたいな出来になる事請け合い。誰が喋っても「ラジオっぽい」音になるので、本当に用途を選ぶマイクであることは間違いなさそう。
 また、ハンドマイクじゃないコンデンサーマイクとしては、めずらしくエンドアドレス型。形状的にNT1のダイアフラムと同じと思われがちだけど、音はぜんぜん違う。

Broadcaster
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■RODE NT2-A

 ネット活動をしているいわゆる「ネット声優」とか「ボイスコーポレータ」とかの事実上標準マイクといってもいいのがこのRODE NT2-A。ノイマンのU87Aiをかなり意識した作りになっているものの、U87Aiが「かなり声を選ぶ」「人によってはザラッとした印象をうける」「音が固くて生々しい」のに対して、NT2-Aはぬくもりのある「人間の声」を再現できる特徴がある。個人的にはU87AiよりもNT2-Aの音のほうがナレーション向きであるとは思うのだけど、なぜか殆どのナレーションスタジオではU87Aiが標準というう解せない状況で・・・。
 たぶん声以外でもアナログ楽器、とくに弦楽器あたりにはかなり親和性が高いのではないか?とおもっているけど、なにせそんなものを録音する機会がなく・・・。

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■SONY C-100

 この中では「異次元」なマイク。誤解を恐れずに言うと「音質とかそういうのは置いといて、ひとまず(周波数の)上から下まで全部録音しておく」という感じ。そもそもマイクで録音した音を後で加工しようにも、録音できていない周波数帯の音はいくらブーストしても出てこないので、音質の加工にが限界がある。C-100は「聞こえている音すべてを記録」する勢いで録音してくれるので、情報量が多い音になる。たぶんこれをこのまま聞くと非常に疲れるかもしれないが、いちばん「原音」に近い状態で音を保存してくれそうではある。そして「全部ある」状態の音はいかようにも加工ができるため、デジタル録音全盛の現代ではむしろこの方向性に進んでいくのかもしれない。

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