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(ショートショート)ブラックボックスを拾った

 学校からの帰り道、ブラックボックスを拾った。親友のコウキから前に聞いたことはあったけど、本当に落ちているとは夢にも思わなかった。近くの交番に届けようかとも思ったが、好奇心には勝てず、家に持って帰ることにした。
 2階の自室で僕はそれをしばらく眺めていた。ローテーブルの上にのったそれは蛍光灯の明かりを受け、鈍い光を放っていた。
 翌日から、僕は赤点の答案用紙や同人誌など人には見られたくないものを入れるようになった。コウキや他のクラスメイトがいっていた通り、収納する量に応じて、大きさを変化できるようになっていた。おかげでぎちぎちだった書棚に幾分余裕ができ、勉強机に積まれた参考書数冊をそこに収めた。
 1週間後、中身を確認しようとして、僕は途方に暮れてしまった。真っ暗なので、どこに何があるのかさっぱりわからない。30分かけてようやく取り出せたが、書類の束は名前や自分の書いた部分が黒く塗りつぶされていた。


※ 今回はこちらを元に執筆しました↓
たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート講座 増補新装版|WAVE出版 (wave-publishers.co.jp)

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