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SPY×FAMILYとミュージカルの親和性


漫画でもアニメでも人気を博した『SPY×FAMILY』。
ミュージカルを観てきました。

私は世間で流行るアニメや漫画に疎いほう(あるいは触れるのが遅いほう)なので、ミュージカル化の発表がされた時点では、漫画にもアニメにもノータッチでした。
ただ、周りから良い評判しか聞かないので、まずアニメを観てみたところ。

こりゃ面白い。

しかも、このシーンは絶対ミュージカルにガッツリ使われるだろうな、と直感が働いたシーンもちらほら。
※後述します

アニメの後に漫画もちびちび読んでいって、やはり面白かった。

しかも、ミュージカルのキャストたちは2.5次元で活躍されている皆さんや、私がよく拝見している皆さんばかり。

ということで、一度限りにはなりましたが、観に行くことができました。


私が観たキャストは以下の通り。

一言で表すならば、まさに良質なエンターテイメント!
これ、初めてミュージカル観る人にはピッタリなんじゃなかろうか。
原作知らなくても楽しめそうだし、ちゃんと1幕終わりと2幕終わりの説得力がある。


キャストたち


森崎ウィンロイド

まずかっこいい。
声がいい。
モノローグでのツッコミに代表されるコメディ要素も面白い。
ハマリ役でしたね!

唯月ふうかヨル

イメージぴったりですごい。
ふうかちゃん、これまでもデスミュとかで陰と陽の切り替えがある役をされてきたので、“はは”や“ロイドの妻”モードのヨルさんと、“いばら姫”モードのヨルさんのスイッチの切り替えが上手いです。

池村碧彩アーニャ

もうね、登場の瞬間に「は、はわぁ……!!!」ってなったよね。
客席全体がアーニャの“はは”と“ちち”になった空気を一瞬感じました。
劇場全体の空気がとろとろになっていたよね。
「うい!」とか、ちちとははのモノローグに反応したときの表情が、原作から飛び出してきたかのようでした。

私が観たのは池村碧彩さんのアーニャでしたが、きっと他の3人もすごいんだろうなぁ。
というか、孤児・受験生役で他のアーニャが出ているんですよね。
それもすごいわ。

朝夏まなとシルヴィア

こんにちはあるいはこんばんは、まぁ様シルヴィア様。
もう、シルエットだけで美しい。
カリスマ性すごい。
相変わらず歌は当たり前のように上手くていらっしゃる。
取り巻きを従えて踊るシーンが宝塚だった。
(OGなので当たり前です)

鈴木壮麻ヘンダーソン先生

壮麻さんベリーエレガント!!!
分かっちゃいるけど、歌の厚みが違う。
エレガンスが過ぎる。
壮麻さんのすごくてずるいところは、ちゃんと笑いもとっていくところです。
歌が上手い+お芝居がしっかりされている方のコメディほど満足度の高いものはないですよね!
フランケンでのルンゲもそうでしたが。
ふきふき。←眼鏡拭くときやっててかわいかった

木内健人フランキー

個人的に初めてちゃんと彼を意識したのが昨年の『ガイズ&ドールズ』のときだったんですけど、そのときと全然印象違うのが純粋にすごい。
アーニャにもじゃもじゃ頭をわしゃわしゃされるところで、
「お?もっとくるか?」
みたいに楽しそうだったのが非常に良かったです。

岡宮来夢ユーリ

来夢ユーリがすごい。
あの、岡宮来夢くん、すごくいいですね???
前々からお名前は知っていたけども、生で拝見したの初めてでした。

声がいい。
歌がいい。
表情がいい。
芝居がいい。

思わずTwitterフォローしちゃいましたもんね。
他の作品でも観てみたいくらい、魅力的なユーリでした。
姉さんの前でのユーリと、秘密警察でのユーリとのギャップ、素晴らしい。

ユーリがフォージャー家を訪れたシーンは、ひたすら観ていたかったです。
アニメの臨場感も良かったけど、ミュージカルになっても臨場感はそのままに、コメディと美声のマッチングが起きていて最高でした。
やはり、歌うまな人が楽しませてくれる作品はいいですね。
自分の姉とその夫(偽装)にキスさせるシーンで、あんなに尺使ってダイナミックに見せることができるのは、ミュージカルならでは。
ナンバーのタイトルが「KISS 好きすぎる姉」っていうのも最高。

山口乃々華フィオナ

山口乃々華さん、『ジェイミー』のプリティ役が素敵だったのが記憶に新しいのですが、夜帷さんの二面性を上手く表現されていました!
漫画やアニメでも描かれていたように、ロイドとのスパイな会話は映像で表現していましたね。
客席のあちこちで笑いが漏れていました。

我らが山野靖博さん

山野さんの出演作っていつも安心して観られる気が(勝手に)しています。
今回はチンピラから秘密警察など、山野さんの低音ボイスがめちゃくちゃ効いていました!
取り調べのシーン、かっこよすぎてずっと追ってしまった。
やられ役がめっちゃ良いです(褒めています)。


帝劇ミュージカルならではの演出

帝劇の盆を効果的に使った見せ方でした。
ロビー2階には、こんなジオラマも。

イーデン校の入試で動物たちが逃げ出すシーン、牛以外は映像で表現していたけども、ボスの牛だけは違った。
劇団四季かな?っていうクオリティの牛さんが出てきました。
客席のどよめきがすごかったし、私も思わずマスクの下で口が開きましたよね。

ロイドが別人になりすましてアーニャを逃がそうとするところ、ロイドと変装時のロイドが2人並んで表現されていました。

ヨルさんの回想シーンも、依里さんが吹き替えでアクションされていました。

他にもたくさんあったけども、漫画やアニメ特有の見せ方を、ナマモノの舞台で見せる工夫が、あちこちに散りばめられていましたね。


音楽が良い

音楽がちゃんとミュージカルしてた!

イーデン校のシーンは格式高い曲調。
スパイのロイドを見せるシーンは、緊迫感溢れるナンバー。
ヨルさんのモノローグは、寂しさと優しさが滲み出る。
シルヴィア様はとにかくかっこいい。

一度観ただけでも、しっかりと耳に残るナンバーたち。
エレガンス!!!


ミュージカル化したことの意義

ミュージカル化されることを知った上でアニメ→漫画の順で触れていった私ですが、アニメを観ていて、お城でのシーン(ナンバーでいうと「助けてボンドマン」)は絶対描かれると思っていました。
あんなにもミュージカル向きのシーンはないぞ?と思っていたので、なかったら逆に驚いていたと思う。
で、実際観てみたらやはりそのシーンはあったし、帝劇でやるのにピッタリでしたやん!

ミュージカルにするにあたり、展開されていく物語の順番が前後したり、うまいこと捩じ込んでいるところがあったりと、ものすごく試行錯誤されたんだろうなというのも感じられました。

まず、子供時代のロイドを、今のロイドが見つめるシーンから始まるのが、印象的で良かったです。
これ、ちゃんと終盤に効いてくるんですよね。

2幕、フィオナのくだりは、捩じ込むの大変だったのではなかろうか。
というか、良いキャラなのに、あれだけなのがもったいな〜というのがありつつ、あの流れにしないと登場させられないかもしれないですね。

登場といえば。
今作を観た後、観劇していない友人と話をしたときに

SPY×FAMILYって犬いましたよね?
どうやって出てきました?

と聞かれて、「そういえばボンドいなかったな」と後から思った私でした。(まじで)
牛のインパクトが大きすぎたんでしょうか。
アーニャがかわいすぎて気にならなかったんでしょうか。

全体を通して、テンポ感の良さが素晴らしいことも声を大にして言いたい!
台詞も歌も、アクションも。
大人も子供も、誰も彼も観ていて飽きませんね。
劇団四季のミュージカルかな?って思える瞬間もありました。
(2回目)

1幕終わりと2幕終わりの大ナンバーが
いかにもグランドミュージカルです!!!
ってくらい分かりやすかったのも良かった。

やはり、ものすごくミュージカルと親和性の高い作品なんだなぁと実感した3時間でした。
もっと観たかったよー!!


そのほか思ったこと

観客の層

今回、休憩20分なのにトイレすぐ行けた!
エリザなんて25分でギリギリなのに!
(ディスっているわけではないよ!)
男性化粧室に列ができていた!

もちろん回によってはバラつきがあると思うんですけど、それくらい、普段ミュージカル観にこない層の方々も来てくださったのかな~と思いました。
裾野を広げるのはいいことだ!

ソワレはカテコがさみしい

夜公演はアーニャが本編ギリギリで、カテコは21時過ぎちゃって出られないのが寂しいですね。
でも、最後の最後まで全力でアーニャでした!
盛大な拍手を送りたいですー!


総括

SPY×FAMILYのミュージカル化、大正解でしたよね!!!
ていうか続編できますよね!
クロスメディアでやっていけそう。
(オタクが言うのはタダ)

これ、2.5に寄りすぎず、格式高いグランドミュージカルに寄りすぎず、子供向けでも大人向けでもなく、全ての人に対してウェルカムな布陣と作品になっていたのが、とても良いと思いました。

これを機に、今までミュージカル観たことなかった人が別作品観に行ったり、出演俳優を追ってみたり、原作知らなかったミュオタが原作に触れたり、いろんなきっかけになっていたら素敵じゃない?

すべてはよりよき世界のために!

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