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SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」解説!|課題と取り組み事例

今回ご紹介するのは、SDGs目標4『質の高い教育をみんなに』。

教育に関することなので、学生や学生の子を持つ親御さんは関心の高い内容なのではないでしょうか?

この記事では世界が抱える教育の課題と日本の取組事例を解説します。

■SDGsが掲げる17目標をチェック!

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2015年の国連『持続可能な開発サミット』で採択さた2030アジェンダ。SDGsは2030アジェンダの中に明記されている17の目標と169のターゲットで構成された国際目標のことで、現代社会の深刻化している問題を解消することを目的として定められました。

以下はSDGs17の目標をまとめたものです。

【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう
・目標2「飢餓をゼロに
・目標3「すべての人に健康と福祉を
・目標4「質の高い教育をみんなに 
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

▼ターゲット一覧はこちらをどうぞ!

SDGsが掲げる全ての目標に関する取り組み期限は2030年。国際社会は期限までに目標を達成することを目指し取り組んでいます。

▼SDGsに貢献する今話題の取り組み事例

■目標4『質の高い教育をみんなに』ターゲット一覧

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目標4『質の高い教育をみんなに』は、”すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する”ことを目指すもの。

全ての人々が無償で質の高い教育を受けられる世界の実現、そして、生涯に渡って教育できる機会を促進する目標となっています。目標4実現のために、SDGsでは何を求めているのでしょうか?

ターゲットをご覧ください。

【目標4ターゲット一覧】
4.1)2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。

4.2)2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。

4.3)2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。

4.4)2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。

4.5)2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

4.6)2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。

4.7)2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

4.a)子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。

4.b)2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、並びにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。

4.c)2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

ターゲットをご覧いただくと、質の高い教育であることを前提に、途上国で多く見られる教育を受けられない子どもや男女の教育格差を無くすこと、先進国においては、経済状況に依らずに教育を受けられるようにすることを中心にまとめられています。

目標4が定められた背景にある世界の状況を見てみましょう。

■教育における世界の課題①『1.2臆人の子どもが教育を受けられていない』

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日本は小学校と中学校の9年間が義務教育とされており、義務教育以降の進学率も高等学校で約97%、大学・短期大学で58.6%と高く、教育に関しては世界でも指折りの充実した国となっています。

そのため、教育を受けられない子どもをイメージできないかもしれません。

しかし、世界を見渡してみると、「紛争」や「貧富の差」、「経済的理由」などにより、学校に通えない子どもが存在しています。

Edu Town SDGsによる『UIS Fact Sheet No.48 (UIS)』の解説によると、小学校に通えない子どもの数は6,300万人、中学校に通えていない子どもの数は6,100万人となっており、全体で約1.2臆人もの子どもが教育を受けられていないのが現状です。

■教育における世界の課題②『男女の教育格差』

教育を受けられていない子どもを性別を比べると、女の子が約2/3を占めるというデータがユニセフで公表されました。

教育を受けられない子どもの多くは途上国が大半を占めています。
途上国では貧困や飢餓などの問題もあり、労働力に長ける男性が社会的優位に扱われるケースは珍しくありません。    

■教育における世界の課題③『子どもを労働力として扱っている地域がある』

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貧困層の多い国や地域では、子どもを労働力として扱うことも多くみられる事例として深刻な問題となっています。

往復に何時間もある場所へ水汲みに行かされたり、家事を任されたり。
労働をしている子どもは学校に割く時間的余裕が持てないだけでなく、親が子どもを学校に行かせることの重要性を理解していないことも。   

■教育における世界の課題④『教師が足りない』

質の高い教育を提供するためには、質の高い教師の存在が必要です。しかし、教育を受けずに大人になり教職に就いた人も多く、子どもが学校に通えても十分な教育が受けられているとは限りません。

■教育を受けられないということ 

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教育を受けられないと、基礎的な知識や教養を得ることができないほか、文字の読み書きやコミュニケーション能力などにも影響が出ます。

gooddo マガジンでは、しっかりとした仕事に就けないこと、そして貧困から抜け出す術を持てないといったケースを挙げ世界の教育問題を解説。安定的な生活を送るためには、教育は必要不可欠なものだと伝えています。

知識や教養のほか、教育では命を守る方法も得ることができます。 

国連開発計画所によると、予防可能な病気で亡くなってしまう子どもは1日1万6000人。そのうち5歳の誕生日を迎えられずに命を落としてしまう子どもは600万人いると公表しました。

教育を受け、予防接種や感染症の対策などを知識として知ることができれば、自分や大切な人の命を守ることができます。  

■教育で評価されている日本

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日本はSDGs達成度ランキングで教育が高く評価されています。

ターゲット4.1「2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。」も、一部条件はあるものの2019年に幼児教育でスタート、翌年2020年には大学の費用も実質無償となりました。

【日本における教育無償化の流れ】
・幼児教育の無償化   
2019年10から、全ての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児が利用する保育所・幼稚園の利用料が無料に!
   
・私立高校の無償化

2020年4月より、「高等学校等就学支援金」の上限額が一般的な私立高校の授業料と同等額まで引き上げられたことで、私立高校の授業料も実質無償化することができます。

・高等教育(大学)の無償化

2020年4月から大学生などへ向けた「給付型奨学金」と「授業料減免」の対象者と金額を大幅に拡大。

■日本企業の取り組み事例①『ケイウノ』

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ジュエリーの製造・販売を手掛けるケイウノ。

同社は2018年に物理学博士の菊池伯夫氏が募った「ネパールの村に明かりを届けたい。」をテーマにしたクラウドファンディングに賛同、リターン商品としてスマートフォンの懐中電灯用ランプシェードとしても利用できるネックレス「エネジュエリー・しずく」を開発・提供し、多くの支援を獲得する役割を担いました。

また、次世代クリエーターの育成にも尽力。

商品研究のために買い付けた素材やジュエリーの製造過程で出るワックスの端材を使える形に再生し、美術学校に寄付。企業が使用する材料を使うという貴重な体験を学生に提供しています。

■日本企業の取り組み事例②『パナソニック』

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パナソニックでは『ソーラーランタン10万台プロジェクト』を実施。電力供給設備が整っていない地域にソーラーランタンを寄付しています。

同社がソーラーランタンを寄付した国のひとつ、カンボジアでは教育を受けられずに成人した人たちや学校に通えない子ども達のための寺子屋が夜間に開かれているものの、明かりが少ないため授業が困難でした。

しかし、ソーラーランタンが寄付されたことによって学習環境が改善。子どもから大人まで、多くの人々の教育支援に繋がっています。

■日本企業の取り組み事例③『岡山大学』

岡山大学ではESD教育に長けた教育者・指導者の育成のため、中国、韓国、モンゴル、インドネシア、ラオス、ミャンマーなどと連携し、以下の取り組みを通してESD教育の普及に貢献しています。

【主な取り組み】
・ ESD教師教育の中核的な研究交流拠点の確立
・ ESD教師教育の学術ネットワークの構築
・ 次世代のESD教師教育の研究者の育成の実現

ESD教育とは、Education for Sustainable Developmentの略称で、持続可能な開発のための教育と訳すことができます。

ESD教育は、SDGsの考えを子どもたちに理解してもらい、世界が目指すサスティナブルな社会を実現する担い手を育てることを目的とした教育です。

■目標4のために私たちができること

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寄付や募金を除き、教育のために私たちができることは限られています。しかし、教育が受けられない原因となる貧困解消支援と教育活動をすることで子供たちを支援することが可能です。

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貧困に悩む途上国の支援として有名なのが『フェアトレード』。

フェアトレードは公正公平な取引のこと。立場上不利となる途上国に正当な対価を支払い、品物を適正価格で消費者に買ってもらうことで、途上国で暮らす人々の生活自立を支援する貿易の仕組みです。

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子ども達への支援としてオススメなのがワークショップの開催です。

教育には勉強だけでなく体験も含まれています。
学校の授業内容を教えたり、得意なスポーツのコーチをしたり。
学校の外での教育は、子どもにとって貴重な経験となります。

日本では相対的貧困率が高いとされており、子どもの貧困問題が深刻化。

教育支援はそういった子ども達にも有効な教育支援と言えます。

■まとめ

この記事では、目標4『質の高い教育をみんなに』をご紹介しました。

途上国を中心に教育を受けられない子どもが1.2臆人もいること、そして日本でも貧困を理由に十分な教育を受けられない子どもがいることに驚いた方も多いのではないでしょうか?

教育は人格の形成はもちろん、安定した生活のためにも必要なものです。

SDGs目標4が実現することは世界全体の成長にも繋がります。
2030年に達成できるのか、是非注目してみてください。

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