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コロナ禍に家庭に囲われた女性たちの話

私は普段人材会社で働いているのですが、対応する求職者はほとんどが女性です。
新型コロナの流行が始まって1年ほどしたころから、20代~40代の女性たちから、ちらほらとこんな話を聞くようになりました。(プライバシー保護のため内容は大幅に変更しています)

「サービス業の仕事をしていましたが、コロナの影響でシフトが減ってきました。そのタイミングで祖父に介護が必要になり、父も母も正規職で働いているので、収入の少ない私が仕事を辞め、家で介護をしています。」

「遠方の家族がコロナにかかり、子どもの面倒を見る人がいないので、私が契約終了のタイミングで退職し、帰郷することにしました。」

つまり、コロナの影響で仕事を失ったり収入が少ない非正規の若い女性が、家庭内に「無収入の育児・介護・家事労働」が発生した時に、その役割を受け持つことになり、仕事から離れ家庭に入ってしまう、という現象が起こっているようなのです。

彼女たちに共通しているのは、「家族に言われたから渋々やっている」のではなく、「ここは私が受け持つよ」と、自発的・献身的にその役割を担っているという姿勢でした。

上の2件はいずれも未婚の若い女性でしたが、既婚女性でも別の形で「コロナ禍で家庭に居ざるを得ない」という話をよく聞きました。

例えば
「コロナで保育園や学校がすぐ休校になり、このタイミングで(母親である私が)外に出て働きに出るのは止めておけと家族に言われました。」
「夫が在宅勤務になり、その身の回りの世話(昼食の準備など)が必要なので外に働きにはいけません。」
といった感じです。

これはこれで問題ではありますが…やはり気になるのは先述した未婚女性のケースです。

たとえ非正規であっても、入社間もなかったとしても、社会に出て働いていた若者を他の家族に比べて「収入が低いから」「雇用が不安定だから」という理由で仕事を辞めさせて、家庭内での無償労働に就かせる。
しかも本人が非常に家族思いで自発的に引き受けてくれるがゆえに、周りの家族もすんなりお願いできてしまう、というこの状況。

これって、問題ではないですか?

目標8 働きがいも経済成長も
8.6 2020年までに、就労、就学、職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

SDGsとターゲット新訳

これからの社会を担っていく若者の就労を妨げ、目先の収入が多い親世代の雇用を確保することは「持続可能な社会」だといえるでしょうか。

今まで家庭内で必死に無償労働を担っていたとしても、再就職できるようになったタイミングで本人がもし「正社員で働きたい」と思ったとして、その経歴を評価してくれる会社は今の日本でどれくらいあるでしょうか。

色々な事情があるとは思いますので責めるつもりはないのですが、私が親なら絶対に、自分の子どもには、させたくないですね。

(これは完全に私見ですが、彼女たちが自発的・献身的に家族の無償労働を引き受ける「ように見える」のは、「自己肯定感の低さ」「家族に認められたいという承認欲求」…そんなものが奥に潜んでいるような気もしています。)

家庭内の無償労働についてはSDGsの「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」にも記載があるので、日本のみならず世界中で問題視されているようです。
女性のキャリアを考える上で、切っても切れない問題だと思っているので、これからも考えていきたいと思います。


コメントやスキをいただけるとうれしいです! いつか、金沢市を拠点に、SDGsの観点からキャリア支援できるような活動をしていきたいと思っています。