ドイツに学ぶ日本の介護保険の今後
日本よりも、一足先に始まった
ドイツの介護保険制度は、日本で施行される5年前、1995年に始まりました。80年代のドイツでは、介護に対する費用の支払いができない世帯の増加が大きな問題となっており、
そこで、公的な保険制度による介護保障へのニーズが非常に高まっていたことが、大きな導入の背景です。
最大の特徴は「現金支給」があること
日本では、要介護者の家族による介護は「対価を得るものではない」という考え方が一般的だと思われています。
しかし、ドイツでは介護を行っている家族には、手当が支払われる場合もあります。
介護サービスという現物支給という形のみならず、介護手当というという形での「現金支給」です。日本の介護保険制度において介護手当が導入されなかった理由としては
「家族介護の 固定化」
「家族介護では質の担保ができない」
「財政負担の増大になる」
等の理由により、日本では見送られたものです。私はこの現金支給という考え方は、「一つの選択肢」としては賛成です。
年齢に関係なく、国民全員が被保険者
日本は介護保険制度の被保険者としては、40歳以上が対象となりますが、
ドイツでは要介護度状態になれば、年齢による制限はありません。
また、介護離職をした場合は、介護家族への最低賃金が保障される仕組みになっています。
施設介護にはありませんが、在宅介護にはこのような現金支給があります。
また、現物給付と介護手当の組合せも可能です。
そのうえ、その組み合わせの比率も自由に設定ができます。
現物給付の在宅介護を支給限度額の60%を受給する場合は、現金給付の受給額は支給限度額の40%になるという考え方です。
上記の図を参考に例えば
要介護度3で現物給付の在宅介護174,373円×60%=104,623円
を受ける場合
介護手当の受給額は、約73,215円×(100%-60%=40%)=43,929円
という支給です。
現金給付者には、助言訪問
介護手当受給者は、行政から認可を受けた団体からの助言訪問を受けなければならない仕組みになっています。
要介護度 2 と 3の人には半年に 1 回、要介護度 4 と 5 の人には四半期に1回というように定期的に行われます。
日本に活かせる点
こうした訪問や助言は「在宅介護の質の担保」や「介護者への実践的かつ専門的な支援」に繋がるとされています。
一方で、助言訪問を受けない場合は介護手当が削減となり、複数回にわたり受けない場合は不支給となるルールになっています。これは事実上のチェック機能といえ、我が国も大いに参考にすべきと考えます。
そして、日本の場合は、ケアマネジャーがどんなに最低でも月1回は訪問しているので、現金給付はむしろ、ドイツよりも機能する可能性があるかもしれません。
また、地域包括ケアがより機能させれば、現金給付世帯へのチェック機能はより重層的になり、さらに機能するかもしれません。
施設を無尽蔵に増やせる時代ではない
「在宅での最期を迎える人を増やす」ための一つの政策として現金給付も考えるときがきているのではないかと思いますが皆さんはいかがでしょうか?ご批判も含め、ご意見いただければ嬉しいです。
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