《6》製造業の事例(ホットマン)
今回は、製造業の事例をお伝えします。
今回ご紹介するのは東京都青梅市に本社を置くホットマン株式会社という従業員約400人の企業です。絹織物の製造業として1868(明治元)年に創業され、1970(昭和45)年からタオル製造に業務を集約し、現在に至るという長い歴史を持たれています。
同社は「人の生活と共にあるタオルを通して、日常の中で心身共に豊かさを感じていただきたい」という思いで、消費者に感動を与えられる本物のタオルを届けられるよう、創造的努力と革新を進めておられます。
ホットマンのタオルの最大の特長は抜群の吸水性。
「沈降法」(JIS規格)という吸水性試験の一つで、タオル生地が湿潤して沈降し始めるまでの時間が日本のタオルの一般的な基準は60秒以内ですが、1秒以内(瞬時)という厳しい基準をクリアし、「1秒タオル」という名称で人気を博しています。
また、薬剤に頼らず人と環境に配慮して作られているため赤ちゃんにも安心して使用でき、耐久性の高さから「30年間使い続けています」という感謝の手紙も届くそうです。
タオルの生地となるコットンはセネガルとのフェアトレード(※)を実現し、現地の生産者の生活の支えになっています。フェアトレードというとコーヒーやチョコレートがすぐに思い浮かびますが、タオルにおいて実現されたのは日本初で、グリーン購入大賞において大賞・経済産業大臣賞を受賞されています。
※フェアトレード
公平・公正な貿易。開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す仕組みのこと。
さらに製造過程において、埼玉県の川越にある工場の真下を流れる地下水を利用しているという特徴があります。ミネラルを多く含む水質により、吸水性を妨げる不純物を効果的に取り除くことができ、地域資源の有効活用につながっています。
また、タオルを折る際に出る切れ端は廃棄せずに固形燃料として再利用したり、消費者から古くなったタオルを回収してリサイクルするなど、製造から販売まで一貫してSDGsの視点が取り入れられています。
モノづくりにおけるSDGsへの取り組みにおいては、「原料の仕入れ・加工・販売・廃棄」といった一連の流れを改めて見直してみることが大切です。そして、その過程において、より環境に配慮した方法がないか、リサイクルやアップサイクルができないか、地域資源が有効活用できないか、などといったことをSDGsの各ゴールと照らし合わせながら探っていきます。
この実践を繰り返すことが製品の価値を高め、結果的に多くの消費者から共感が集まり、永く愛用されるモノづくりにつながるのではないでしょうか。
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