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《8》食品業界の事例(ラ・バルカグループ)

今回は「食品業界」の事例をお伝えします。

ご紹介するのは一般社団法人ラ・バルカグループ(愛知県豊橋市)が運営している「久遠(くおん)チョコレート」というブランドです。


同法人は第2回ジャパンSDGsアワードにて内閣官房長官賞を受賞されています。

https://quon-choco.com/sdgs/


代表である夏目浩次さんは17年前、「障がい者が働き、所得を得て自立できる場づくり」を目指して、パン工房「ラ・バルカ」を立ち上げました。

しかし、パンは種類によって工程が異なり、オペレーションも複雑で、スピードが要求されるなど難しい面が多いこと、しかも日常的なパンはそれほど高価でなくスタッフの自立に足りる工賃の支払いができないという現実に直面されました。

そんな中、ある著名なショコラティエに出会い、「正しい素材を正しく使えば、おいしいチョコレートは作れる」と聞き、チョコレートの店へ転身。2014年、全国の障がい者および障がい者事業所に対し、チョコレートの魅力とパワーを伝え、彼らの社会参加と自立、そして所得アップを抜本的に行う「全国夢のチョコレートプロジェクト」を始動されました。

https://www.facebook.com/quouchocolate/


そして、オープンしてすぐにバイヤーに着目されたポイントが各地の「ご当地の味」を取り入れたこと。地方には「福祉の事業をビジネスとして回したいが、どうしたらいいか分からない」という悩みを持つ団体や事業者が多い中、久遠チョコレートの取り組みを知り、次々にフランチャイズの申し込み
があったそうです。それをきっかけに全国各地に拠点を置くことになり、たくさんのご当地の味が誕生しました。

現在ではスタッフ330人のうち、障がいを抱えるのは230人。将来は上場を目指し、「福祉事業としてではなく、あくまでチョコレートのトップブランドとして名を知られるようになりたい」と語っておられます。

本事例で私が特に興味深いと思うのは、「障がい者の自立を促す場をつくりたい」という動機で事業を立ち上げ、SDGs策定のはるか前からまさに「誰一人取り残さない」という理念を体現されているところです。

やはり設立当初から高い志があるからこそ、多くの応援や共感が集まり、ジャパンSDGsアワードの受賞にもつながったのではないかと考えます。


商品そのものが優れていることはもちろんですが、これからはその商品を作る企業等の志や姿勢が消費者からより見られ、問われる時代になっていくでしょう。

そして、「社会起業」という言葉も最近よく聞かれるように、「社会の課題を解決するため」に事業を立ち上げる動きが広がっていくのではないかという期待を感じます。

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