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Vol.24 アメリカの伝統芸能?

私が思う、「伝統芸能にありがちな3要素」は…
①『案外、地元の人は詳しく知らない』
②『案外、アバンギャルドに発展している』
③『案外、地元以外に熱心なファンがいたりする』

さて、能や狂言、歌舞伎といった伝統芸能に疎い私ですが、私みたいな初心者向けに紹介するようなTV番組の企画等々で見聞きすると、伝統芸能には上記の3要素がありがちではないか?と思う訳です。

そう考えた場合に、ふと頭に浮かんだのは『「ドラムコー」は、アメリカの伝統芸能ではないか?』という事。

「ドラムコー」というのは何かと言いますと、アメリカで発祥した いわゆる演奏しながら行進や隊列を組んだりする「マーチングの一つの形態」で、直訳すると『鼓隊』という事になります。

ここでドラムコーの、ざっとした歴史の流れを解説すると…

まずは、軍隊(の隊列)の歩調をとるための「太鼓を叩く役割の兵隊」が誕生し…

それが、集団の「ドラムコー(鼓隊)」として、教練や余興のパフォーマンスをするようになり…

ビューグルと呼ばれる、G調の軍隊ラッパ(※正露丸のマークみたいな楽器です)を編成に取り込んで「ドラム & ビューグルコー」と呼ばれるようになり…

ビューグルも金管楽器としてガラパゴス的な進化を遂げ…

退役軍人の手ほどきにより、アマチュアの市民団体が、あちこちで結成される様になり…

全米規模の連盟(Drum Corps Associates / 略称:DCA)が結成され、市民団体のパフォーマンスを競う大会が行われる様になり…

更にそこから、青少年育成をテーマに掲げた別の連盟(Drum Corps international / 略称:DCI)が分離独立して、別の大会を開催する様になり…
…現在に至っております。

※ちなみに、前述したDCIが主催する大会『DCI World Championships』は「Maching Music`s Major League(←つまり、マーチング界隈のメジャーリーグ)」を自称しているのですが、広いアメリカ国内におけるマーチング界隈の事情通や愛好者の人数を考えた際、「マイナーと言わねばならないのが現状」なので、ここで私が掲げた『伝統芸能の条件①「案外、地元の人は詳しく知らない」』はクリア!

さて…ではここで、連盟発足3年目である1974年のDCI主催大会(地方予選)からTroopers Drum & Bugle Corps によるパフォーマンスの一部(冒頭)をご覧頂きましょう。
(※2分25秒の動画です。)

映像の粗さと共に「衣装から感じられるミリタリー調」とか「 ” 教練 ” に近い雰囲気」が味わい深いですが、何より『多くの方々が思い描く「マーチングってこんな感じだよね」という、雑な 一般的なイメージ』に近いのかな?…とも思います。

それが、約50年ほど時が流れるとどうなったのか?
今度は2022年の決勝大会から The Blue Devils Drum & Bugle Corpsのパフォーマンスの一部をご覧頂きましょう。
(※3分16秒の動画です。)

先ほどの動画と比較すると…
・ミリタリー調の衣装がなくなる。
・電子楽器やPA機器が使用される様になった。
・金管楽器の(G調の)ビューグルが使われなくなった。
…等々の変化があって、「全くの別モノ」に変化した印象を受けます。

ここで私が掲げた『伝統芸能の条件②「案外、アバンギャルドに発展している」』はクリア!

そして日本国内に目を移せば、Drum Cops Japan(略称:DCJ)というドラムコーのための連盟が存在し、大会が開催されています。
しかも一部の団体では、アメリカ本国で廃れつつある金管楽器「(G調の)ビューグル」を使用し続けるという、本国以上の こだわりを発揮。
ここで私が掲げた『伝統芸能の条件③「案外、地元以外に熱心なファンがいたりする」』もクリア!
ではここで、2019年の『DCJ ALL JAPAN CHAMPIONSHIPS』から、海を渡ってDCIの大会にも出場した歴史を持つ、「THE YOKOHAMA SCOUTS Drum & Bugle Corps」のパフォーマンスをご覧ください。
(※9分間の動画です。)

…という訳で、『「ドラムコー」はアメリカの伝統芸能』という ” 私の 邪推 推論 ” を、ご納得頂けたら幸いです(笑)

※ちなみにアメリカ本国では、DCI以外に目を移せば、アバンギャルドとは真逆の、古式ゆかしいスタイルを固持する、U.S. Army Old Guard Fife & Drum Corpsや…
(※13分50秒の動画です。)

質実剛健な演奏・演技を披露するU.S. Marine Drum & Bugle Corpsといった団体も存在することを書き添えておきます。
(※6分22秒の動画です。)

では今週の締めの『吃音短歌(注1)』を…

手を止めて 「あの~あの~」と 弾みつけ 言いたいことを やっと吐き出す 

【注釈】

注1)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}(注2)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

注2)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。

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