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松下さちこ《2》|私のお気に入りの、ほんの一部《2》

  松下さちこさんの引き出しの秘密の菓子箱。甘やかな旋律はまだまだ続く、まだ続く。アイスクリーム、ショートケーキ、マカロン、パフェ。さちこさんの魔法は、わたしたちの心をデザート皿に変えてしまう。

 「甘く/冷たく/澄み渡る/ダンス」(高田怜央「ジェラート」『SAPERE ROMANTIKA』)。アイスクリームをひとくち。もうひとくち。胸にすっと溶けゆく感覚。冷たい宝石になるわたし。

心におやつを〜アイスクリーム〜

 砕けない宝石、やわらかな宝石、包み込んでくれる宝石。ショートケーキ、ささやかな休日の光。心の奥で日向ぼっこするわたし。

心におやつを〜ショートケーキ〜

 ピーチではなく、レモンではなく、ミントでもない、夢の味。食べたら最後、決して忘れられない菫色のマカロン。今日もあの記憶を心にひそませて。

心におやつを〜マカロン〜

 季節のパフェは小さなトロフィー。子ども時代、フランス語の先生が褒めてくれたのを覚えているから。「パルフェ(完璧)!」

心におやつを〜パフェ〜

 ひとりきりで考えていたようでいて、わたしは決してひとりではなかった。だって、お菓子を我慢する暮らしが長続きしたことなんてなかったから。わたしのそばにはいつもあなたがいた。今も、これからも、ずっと。明日のティータイムはどんなお菓子を用意しよう。

not alone

 ひそやかなメロディーはだんだんと遠ざかっていく。「これは私のお気に入りの、ほんの一部」。さちこさんは最後にもう一度、私たちにこっそりウィンクする。きっとまたやってくる、小さなお菓子のパレード。

松下さちこ|イラストレーター →Instagram
第187回ザ・チョイス入選(皆川明氏選)。主な仕事に百貨店クリスマスビジュアル、アパレル、音楽関連、パッケージ、挿絵〜装画等。様々な技法で描くイラストレーションと手描き文字で活動する。

高田 怜央 Leo Elizabeth Takada|詩人・翻訳者 X
横浜生まれ、スコットランド育ち。上智大学文学部哲学科卒。言葉の秘密を探っています。第一詩集『SAPERE ROMANTIKA』、対話篇『KYOTO REMAINS』。翻訳に映画『PERFECT DAYS』など。2024年、霧とリボン コラボZINE 詩と短編小説『黎明通信』(川野芽生 共著)を刊行。



作家名|松下さちこ
作品名|心におやつを〜アイスクリーム〜

インク・色鉛筆・紙
作品サイズ|8.7cm×6.5cm
額込みサイズ|11 cm×9cm
制作年|2024年(新作)

作家名|松下さちこ
作品名|心におやつを〜ショートケーキ〜

インク・色鉛筆・紙
作品サイズ|8.7cm×6.5cm
額込みサイズ|11 cm×9cm
制作年|2024年(新作)

作家名|松下さちこ
作品名|心におやつを〜マカロン〜

インク・色鉛筆・紙
作品サイズ|8.7cm×6.5cm
額込みサイズ|11 cm×9cm
制作年|2024年(新作)

作家名|松下さちこ
作品名|心におやつを〜パフェ〜

インク・色鉛筆・紙
作品サイズ|8.7cm×6.5cm
額込みサイズ|11 cm×9cm
制作年|2024年(新作)

作家名|松下さちこ
作品名|not alone
 
インク・色鉛筆・紙
作品サイズ|8.7cm×6.5cm
額込みサイズ|11 cm×9cm
制作年|2024年(新作)
[手描き文字]not alone  ひとりじゃない

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