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霧とリボン企画展|スクリプトリウムvol.3〜植物図譜

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オンライン開催|2021.9.16〜24 *9/19〜21休|「スクリプトリウム」とは修道院の写字室のこと。本展では、修道院の営みを彩る「植物|ハーブ」を題材に、13組のアーティ… もっと読む
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スクリプトリウムvol.3|展覧会のご案内

秋の気配に誘われて辿り着いた 写字室の一角 そこは、植物がひっそりと咲き誇る 馨しい聖所—— * メイン・ヴィジュアル松下さちこ《天使のメッセージ》2021 * オンライン開催 at SCRIPTORIUM (モーヴ街・7番地) * 霧とリボン実店舗は休業中のため 実店舗にご入場頂くことはできません  「スクリプトリウム」とは修道院の写字室のこと。本展では、修道院の営みを彩る「植物ハーブ」を題材に、13組のアーティストが香り高い世界を奏でます。  絵画、イラスト、カ

スクリプトリウムvol.3|開催方法と作品販売

秋の気配に誘われて辿り着いた 写字室の一角 そこは、植物がひっそりと咲き誇る 馨しい聖所—— * オンライン開催 at SCRIPTORIUM (モーヴ街・7番地) ★霧とリボン実店舗は休業中のため、ご入場頂くことはできません★ 霧とリボン 実店舗「Private Cabinet」に作品を展示、会場の様子や各作品の紹介を主に写真・スライドショーと文章で、会期中、毎日ここnoteにてオンライン配信致します(9/19〜21休)。当サイト更新も含めた最新情報は霧とリボン

スクリプトリウムvol.3|松下さちこ《1》|天使のメッセージ

Text霧とリボン  招待状に焚き染められたアイリスと三色菫に導かれて、秋色に色づきはじめたスクリプトリウムの扉をくぐりました。  本日より開幕のオンライン開催・霧とリボン企画展のメイン・ヴィジュアルを手がけて下さったのは、イラストレーターの松下さちこ様。  伝統の博物画を現代的な筆致で解釈したイラストレーションは、招待状が舞い降りた先々で、写字室の気配を馥郁と伝えたことでしょう。  地上で美を揺らす花々は、地下に根を張り巡らせています。その見えない営みを花と同じよ

スクリプトリウムvol.3|松下さちこ&霧とリボン&レミーのアトリエ|写字室のティタオル

Text霧とリボン  古くから染料としても人間の生活に彩りを与えてきた植物。染められ、織られた一枚の布が風にはためく光景を、悠久の時の中でどれほどの人々が目にしたことでしょう。  一枚の布がもたらす豊かな生活に敬愛を込めて、馨しい一枚をお手元にお届け致します。  霧とリボン&レミーのアトリエが折々に発表してきた英国ティウェアの定番「ティタオル」。当店をきっかけにティタオルという存在を知ってくださり、以降コレクション続行中など、ティタオル連盟の同志たちよりたくさんの嬉

スクリプトリウムvol.3|un jour|月を綴る羊皮紙とイリス

Textヨネヤマヤヤコ  羊皮紙を模した張りのある包装紙をそっとほどきますとふわりと香り立つハーバルノート。折り目を均してみれば裏面にはキャンドルに込められた詩が綴られています。  イリスを筆頭に、フランキンセンス、ホーリーフ、サイプレス、クラリセージ、シダーウッドの奏でる清々しさに空気は澄み渡り自然と呼吸が深くなってゆきます。  真珠色の月明かりが天空の小さな氷の粒によって屈折されてできる虹のように柔らかく神秘的なニュアンス。イリスは虹の女神の名前でもあります。

スクリプトリウムvol.3|くるはらきみ|心地よく秘密めいた庭

Text高柳カヨ子  修道院と植物の関係は深い。  修道院自体が庭から始まったと言われるほど、植物とは切っても切れない関係が存在する。そこは祈りの場であると同時に、自給自足のための食料を生産する菜園や薬品を製造する薬草園でもあったのだ。修道士は優秀な庭師でもあり、注意深く植物の声を聞きながら脈々とその知識を伝えてきた。  そしてその修道院の庭には薬草やハーブだけでなく、美しい花々も見事に咲き揃っていたことだろう。  緑多き長野の地で創作を続けるくるはらきみの作品には、

スクリプトリウムvol.3|DAY 1

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画展《スクリプトリウムvol.3〜植物図譜》DAY 1の配信記録をまとめたものです 最新の配信情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています Text霧とリボン  秋の訪れと共に、スクリプトリウムの新しい扉が健やかにひらきました。写字室の一角にひっそりと咲き誇っていたのは、アーティストたちが育てた多彩な植物群。いにしえから続く植物と人間の深い関係に思いを馳せながら、今ここに生きる伸びやかな強さを湛えて、私たちを迎えてくれました。  

スクリプトリウムvol.3|Belle des Poupee|とこしえの花に埋もれて

Text高柳カヨ子  植物は四季それぞれに花を咲かせ実をつける。咲き誇る花々は色や香りで我々を楽しませてくれるが、その命は儚い。  花の美しさを永遠に留めておけたら。  菫、鈴蘭、ビオラやライラックのその形をその色を手元に置き、時を超えていつまでも愛でることができたなら。  Belle des Poupeeの布花は、花々に永遠の命を与える。  一枚一枚手作業で染められた花びらは、特別なコテで形を整えられて、一輪ずつ丁寧に形作られていく。  一番美しい姿を留め置く布花は

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《1》|丘へ

Text維月 楓  ヴァージニア・ウルフが1928年に書き上げた『オーランドー』。男性から女性へと変身し何百年の時を生きぬいた主人公の物語は、ウルフの先見性に驚かされる魅力に満ちた小説です。  今回の企画展では、オーランドーの少年時代がカリグラフィ作品となりました。果敢で早熟ながら少し不器用な少年が、「孤独」という人生の宿命を初めて味わった姿が瑞々しく描かれた一場面です。  まず目を引くのは、うねるような文字の流れと色の移り変わりでしょう。「ぼくはひとりきりだ」と呟

スクリプトリウムvol.3|永井健一《1》|草は緑、空青し

Text高柳カヨ子  淡くにじむ水彩の色合い。  水気をたっぷりと含んだその色彩は、どこまでも静謐である。  永井健一が描く作品は、孤独と文学を愛する精神のしっとりとした静寂で満たされている。  ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』は、その饒舌で情報量の多い語り口と多層的な内容から、様々な読み方ができる作品だ。  一般的には、主人公オーランドーが男性から女性に変化し300年以上に渡って生き続けるという、その外連味たっぷりの設定に注目されがちだが、この小説の面白さ

スクリプトリウムvol.3|keino glass《1》|光の詩

Text霧とリボン  ステンドグラスを通して写字室に差し込む光が、秋の到来を祝福するように花や葉々の上に美しく反響しています。  ここスクリプトリウムにガラス工房を構えるkeino glass様から、写字室の静謐な光を写した端正なリキュールグラスが届きました。工房の空気と作家の優しい視線を湛えたkeino様撮影のお写真と共にご紹介致します。  植物の命の源である太陽の光——ガラス作家はその光を幾筋も束ねて、作品を作ります。透明な光の中に潜む色彩の詩情に植物の色をみつ

スクリプトリウムvol.3|DAY 2

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画展《スクリプトリウムvol.3〜植物図譜》DAY 2の配信記録です 最新の配信情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています Text|霧とリボン  写字室を通り抜ける澄み渡った空気が植物を揺らした一日。DAY 2の本日も多彩な植物図譜の世界をお届け致しました。訪れて下さった皆様に感謝申し上げます。  布花アクセサリーにはじまり、カリグラフィや絵画、そしてガラス工芸品まで——植物からインスピレーションを得たアーティスト達が今日も美

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《2》|GOLDEN GLORIES

Text|佐分利史子  キンポウゲ、マリーゴールド、デイジー、スイセン、ハリエニシダ、キバナノクリンザクラ・・・黄色の草花がたくさん登場するクリスティーナ・ロセッティの詩「GOLDEN GLORIES」を描きました。  書体は Compressed English Minuscules、イギリス版の圧縮された小文字、の名の通り詰めて書くことで美しさがあらわれる字だと思います。  書いていて楽しい書体で、繰り返し登場する ”golden” の連なりや p、e などのま

スクリプトリウムvol.3|金田アツ子《1》|修道院の薬草

Textヨネヤマヤヤコ  こじんまりとしたガラス張りの温室には煌々と月明かりが差し込んでいます。金田アツ子さまの温室のこちらの一角では、主に薬効を持つ植物と聖なる名前を持つ植物が育てられています。馨しき植物療法へと参りましょう。  蜂蜜色と菫色が鮮やかな三色菫。凛と顔をあげたアツ子さまが描かれる清冽な少女たちの佇まいを宿しているよう。  甘く濃厚な香りを辿ってみればハート型の葉の間から花のシャンデリア。菩提樹の花のお茶は悪夢を払い安眠を誘います。  アツ子様が映す