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値上げの生き残り方

新しい年が始まり、早速、各メーカーから宣言されていた値上げが店頭の売り場から値札変更がされていました。おおよそ、10~15%前後の値上げ。販売する側は売上は増えますが、数量は減るかもしれない。選別の世の中で生き残る方法とは?

1、値上げというガラガラポン

値上げについてどういうイメージをお持ちでしょうか。あなたが「仕入れ」をする側であれば、仕入れ価格が上がるわけですから、そのコスト増に対し、頭を悩ませるかもしれません。

費用の増大は、売価が同じように上げられれば、スライドするだけですから懸念は少ないものの、そう簡単に価格転嫁できる状況ではないはず。とすれば、利益に影響をあたえるわけで、「売上」より「利益」は「費用」を差し引いたあとですので、影響は何倍にも大きいわけです。

たかが5%でも、売価では5%ですが、売上で感じるインパクトは増大。無策のままでは「自分の利益を食いつぶす」だけですから、仕事へのモチベーションはだだ下がりです。

こうした状況には、①費用の見直し、②仕入れの見直し(購入個数やまとめ買い、先買い等)がまずあり、それでも受け止めきれないときに、③売価の値上げをせざるを得ません。

ビジネスがそもそも収益化しており、さらなる生産性や利益率の向上が見込めなければ、その時点で、市場から追放されるようなもの。まさにそれが、「値上げがガラガラポン」と言われる所以です。

2、価格の見直しは、「支出」の見直しから

利益を確保するため、仕入れが値上がりしたら、やりがちなのは「減らしやすい」ものから手を付けること。これが一番の間違い。構造そのものを替えて、生産性を高めていかねばならないのですから「当たり前」「必要」「代わりがない」など固定概念化されているものこそ、一番に手を付けるべきなのです。

そもそもこの包材って必要だっけ?

印刷物っていくら掛かって、単価はどのぐらい?

交通費・出張費、ばかにならないよ?

人件費と時間はどのぐらい無駄があるのかな?

「これは必要」という固定概念が、実は聖域をつくり、生産性の妨げになっていることが多いのです。「品質のために」「宣伝のために」「顧客に満足だから」といった理由をつけて、どんどん聖域を広げて、楽にビジネスが回るようにしてしまう。考えることを停止するようなものですから、ココにメスを入れる必要があるのです。

3,「顧客選別」は適正な商売に必要なこと

そして、最もやらねばならないのは「顧客選別」です。すべてのお客様に満足いただくのは素晴らしい考え方ですが、すべての顧客に同じ費用が掛かっているかと言えば、そうではありません。

例えば、クレーム対応が発生する顧客には、時間と労力を費やし、そのために失われる労働力に人件費が投入されるとしたら…

あるいは、連絡のやりとりが何度も起こり、時間が拘束されることがおおいものや、手書き手作業でやることに時間を要するなど、掛かっている時間が価格に見合っていないのであれば、それは、あなたにとって「顧客」ではありません。

クレームは発生を最小化するとともに、もし発生すれば、「最短」で解決しなければなりません。印刷が大量にあるようなものも、電子化やメッセージ、システムを介した自動化ができませんでしょうか。

そして、こうした小さな手間が毎月、毎年重ねられて、費用として支出され、利益を圧迫しているのです。

だから、「売価」は「費用」に見合った価格でなければなりません。合わないのであれば、値上げは必要。そして、値上げして、買わなくなったお客様がいるのであれば、それは「費用に見なわなかった顧客」であり、あなた自身が一方的に、相手の負担を「ボランティアしていたから成立していた」だけの話。

今一度、すべての販売チャネルについて、売上高、売上個数、費用、利益を比較してみましょう。実入りにそぐわないチャネルは「廃止」も選択肢の1つ。その余力は、他のチャネルに振り分ければいいのです。あるいは新たなチャネルを開拓してもいい。

4,「委託」からの脱却

自分で顧客を持つ。それは直接やり取りをし、自分でかかる費用が完結できることです。

ところがネットサービスが普及し、様々なビジネス支援サービスが増える中で、顧客はどういう状態でしょう。売り先を「誰か」の紹介で、委託して、宣伝してもらっているのなら、それは「自分の顧客」ではありません。「委託手数料」を払い続ける限り、「相手が持っている顧客」です。

自分の商品・サービスに惚れられているなどとうぬぼれていてはいけません。シビアな話、その委託先が無くなったり、サービスを突然休止すれば、いきなりあなたも影響を受けるのです。

「自分の顧客」を増やしましょう。自分で構えた店先で、自分の直接のやり取りで、直接の売買を実現する。この比率が高いほど、どんな環境変化にも強いのです。

そして、委託手数料を払って、分散化するときは、その対価に見合う費用かどうかを見定めて選別をする必要があるでしょう。

「単なる顧客紹介」なら、手数料は初期のみ。運営やクラウドとの名ばかりに、継続的に取られ続けるのは、もはや大義がありません。

一方で、ビジネスサービス支援として、やりきれない業務を代行してもらえる部分があるのなら、手数料が高くとも継続する意義はあることでしょう。例えば、広告やPR・認知度向上などの露出や、売上に対するデータ分析、さらには、今後、会計や決算のデジタル化が進む中で、取引履歴のクラウド化から経理・決算までの会計サービスも含めたカタチなるのなら、煩雑はバックオフィス業務からは開放されます。

「委託」の意味をよく考えて「何を委託するための費用なのか」をシビアに見つめ、選別・廃止・開始することも変化の激しい時代を生き残っていくために大切なことであると思っています。

2022年は…

さて、2022年は寅年。毎回、景気が荒れると言われます。1986年は円高不況、1998年は金融機関の破綻と金融不安、2010年は円高・ゼロ金利…そして、2022年。今回は金融所得課税に向けた先行き不安に、世界的な資源争奪戦のスタート。悪材料ばかり出てきます。

買い手にも、売り手にも厳しい時代。今ある顧客の2割がなくなると考え、事業再構築を考えてみましょう。やるべきことはなにか。新規顧客開拓、既存顧客の維持、費用の見直し、利益の確保、そして最後に「値上げ」での価格改定です。

3月までは新たな年度の準備期間と考え、この3ヶ月の間に先を見据えた計画を立てておきましょう。4月にこの話を聞くのとは、半年、1年以上の差に感じると思いますよ…本気で。

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