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売場に明るさがない

世の中の不安と不安定さが日々実感に変わっていく日々。どんなふうに捉えていますか?いつもの生活、いつもの仕事。そう大きく明日から、いや今日から変わるような変化は、まだこの日本では起きていないかもしれませんが、モノを売っている場では、お金がシビアな動きをするもの。是非、直接その場で感じ取ってみてください。

1、野菜の価値がよくわからない

値段が高騰したり、その直後に暴落したり、ジェットコースターのように乱高下する中で、本当に「いくらが妥当か」ということが、よくわからなくなっている一つが生鮮食品の野菜かもしれません。

かつては、世帯という家族単位は複数の人が住んでいたでしょうが、いまは一人や二人が世帯構成の半分を占める時代。だからこそ、値段が高くなれば敬遠し、安くなれば手に取りやすくなる。そんな不安定なものを食卓に食べようという食欲はだんだんわきづらくなるもの。

よって、安定的な食品、季節を問わず変わらないものへ、選択のインセンティブが移っていくのも仕方がないように気がします。ますます四季や旬のおいしさから人々が遠ざかってしまう。その先に待っているのは、単調さ故の飽きの速さであり、刺激を求める嗜好への移行です。

2、「お菓子」で食事が済んでしまう

家でも火を使わない、無駄になるから食材も買わない、そんな外食異存型の食生活を営む人にとっては、コンビニやスーパーの惣菜や弁当、あるいは飲食店での食事はライフラインの1つ。ただ、お店も値上げや量目を減らす実質値上げが行われている最中。経済的に妥当ではないと判断されれば、代替主題に移っていくのも必至。

食べる時間の忙しさや、手軽にいつでもたべられるといったことから、お菓子を食事代わりに食べている人も生まれてきています。スナック菓子やチョコレートなど、少しだけならダイエットにもなるし…といって、従来の一日三食というスタイルは既に崩壊気味であり、惣菜や弁当さえも買わず、ポテトチップスでお腹を満たす。食の相対的価値や魅力がどんどん低下してしまっているのは、将来の市場に大きな影響を与えることでしょう。

3、「買いたい」か「買わなきゃ」か

そんな食の興味関心が相対的に落ちているような状況で、スーパーやコンビニの売り場に活気がなくなってきているような気がします。ちょっと見てみてください。店内にきているお客様の表情やものを選ぶ時の顔を…。

「買いたい」「欲しい!」という表情をしていますでしょうか。どちらかといえば、生活のために「買わなきゃ」という意味でお店にきたり、買っているという感覚を多くの人がもっているような顔つきが見られます。

一方で、この世の中で、いま「欲しい!」と思う売場はどこにあるか。スマホの画面で、ECサイトから購入する。比較検討する時間が、一番ワクワクしているかもしれません。

店員の声掛けという邪魔を受けず、興味がある商品をいつまでも見ていられる。気になったら調べられる。「買う」ということに特化して、自分の欲求を邪魔されずに見られる「EC」という買い方に、購買意欲はどんどん吸い取られているのが実情かもしれません。

そんな、デジタル時代と比較して、以下にリアルなお店に、そして、さきほどのような生鮮食品を始めとする「食」の関心を高めてもらうか。それができなければ、「栄養さえ取れていればチューブの液体でいい」ということも、笑えない話ではなく、近い将来なのかもしれません。

4、「売りたい」よりも「欲しい」と思わせよ

どうも、多くの人が、商品の営業や販売をしなければならないとき、「売りたい」という売る側の都合ばかりを出してしまい、買う側とマッチしていない場面に多々遭遇します。

それで、成約するのは稀な話。買ってもらえたとしても、無理やり押し付けたか強引に買わせたか、本当ににほしかったものではなく、買っただけかもしれません。

でも、「欲しい」商品なら、お客様からよって、そして自分で決断してくれるわけです。アピールすべきは「売りたい」よりも、どうしたら相手が「欲しい」と思うのか。そのための相手のニーズや不安をどうやって埋めるか、がポイントです。

「おいしい」から売れるのでしょうか。いや、「おいしい」は結果であって、「欲しい」ではありません。なぜ「欲しい」のか。

なにかの調理の材料なのか、もしくは健康を気にしているのか。食感がほしいのか、こんな味がほしいのか。そうした相手が「欲しい」ものを想像することから、すべての商売が始まっていくのです。

マーケティングについての関心が高まる一方で、こうした基本的な「消費者のニーズや背景」を類推する力が圧倒的に不足しているような気がします。今一度、「売る側」だけでなく「買う側」の視点でも、想像を働かせることが大切であろうと改めて思います。

ちゃんと、現場で観察してますか?

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