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相対価値を考える

100円はやすいか、高いか。例えば、ペットボトル1本100円なら、安いと思うだろう。では、つまようじ1本100円なら、高い?安い?

値段は同じでも、高いか安いか、受け取り方や状況、人の置かれた所得など、様々な「相対関係」によって、価値の受け止め方は違う。今回はそんなお話。

1、「絶対価格」は色眼鏡

私達が、お金について考えるとき、どうしても「自分の所得との比較」で物事をみています。例えば、月収10万円の人にとって、1万円は10%の割合を占めます。仮に、1万円の国産黒毛和牛A5ランクのすき焼き肉を1万円分買ってしまったら、翌日以降の食費は大変なことになるでしょう。

一方で、月収1,000万円の人にとって、1万円のお肉は0.1%。1ヶ月30日間毎日食べ続けても30万円ですから、3%までにしかならない。ですから、その金額は「安い」か「全く気にならない」価格になっている。

そんなふうに、「所得」から見た「支出」というのは、客観的ではなく、「その人の置かれた状況からの色眼鏡」で価値が判断されている、ということです。

だから、なにか商売をするときは、その商品を「売る人」ではなく「買う人」の立場にたって考えなければ、求められる商品やサービスを作ったり売ることは困難なわけです。

2、富裕層の考え方を知る

昨今、人口減少がめざましく、高級品を狙って単価の高いものづくりを目指す声が多々聞かれますが、果たして、単なる「値上げ」で売れると考えてはいないでしょうか。

ネット支出2021年年収別

このグラフは、総務省が発表する家計支出調査より、ネットでの支払いに毎月いくら平均を支払っているかを「年収別」に抽出したグラフです。

「(自家用)食費」だけの数字ですから、「お取り寄せ」や「贅沢品」といったものの支出と考えて良いでしょう。

これを見ると、年収1,000万円程度までは金額の伸びは鈍化しており、1,000万円を超えて行くと、多く支出1.3倍~2.4倍ほど支出していることがわかります。(国民負担率が48%と言われていますから、年収1,000万円の人の手取りは520万円・月43万円ほどが使えるお金となります)

大体、送料と同金額では、ECの購入はためらわれ、3分の1程度だと気兼ねなく購入が進みやすいと言われていることからすれば、クール便で北海道や九州からお取り寄せするときは1,400円~1800円が送料の相場。

とすると、価格帯で2,800円~4,200円ぐらいが商品の魅力だけで判断できる金額と言えるでしょう。この金額を超える支出をしている年収を見れば、700万円以上もしくは1000万円がそのレンジ。何も抵抗なく買うには1250万円以上が対象だと仮定することができます。

高単価戦略や富裕層を狙いたい、というのであれば、1250万円以上の世帯収入がある生活や価値観を創造する必要がある、というわけです。

3、収入の多い=支出が多い、とは限らない

では、そんな収入が多い人は、その分だけ支出も多いのか。そのまま垂れ流すように使っていたら、当然のことながら不安定な生活になってしまいます。よって、富裕層は「お金を稼ぐ」だけでなく「お金を運用する」こともあわせて考えます。

例えば、株式などの投資によって、お金を増やす方法もありますし、支出を減らしてより賢い買い物をする、といったことも大切に考えているでしょう。

5万円のデスクを買うことで、長く何十年も物持ちがよく…なんていうのは、資産家の人でよく聞く話。9,800円の脚がぐらつく激安家具で、引っ越すたびに買い替えていたら、それこそ5回買っても、またゴミとなるだけ。そうなれば、「安い」とは、本当に安いと言えるのか、と疑問さえ湧いてくるでしょう。

まさに、この「もったいない」と「時間がもたらす価値」こそが富裕層の根幹にある価値観。高い金額を支払えること、無駄遣いをすることは、イコールではないのです。「総じて価値があるのか」を判断する基点や軸をもっている。それゆえに、お金も稼げるし、資産も構築できる、といえるのです。

4、富裕層が利用するお店に行ってみよう

では、いま所得が少なかったり、そんな高い所得をしているひとが周りにいないのであれば、どうすればいいのか。それは「所得が高い人が利用するお店」に行くのが一番です。

例えば、高級ホテルのラウンジでお茶をしている富裕層や、百貨店のフロアでもいいでしょう。あるいは、那須高原の富裕層が避暑のためにやってくる別荘や、そんなところでランチのサラダのために高級なミニトマトをポルシェで買いに来るような無人販売所なんかも、観察にピッタリでしょう。

そこで、どんな人が、どんな振る舞いや言葉遣いをし、どんなものを買ったり、頼んだりしているのか、観察するのです。

持っているバッグや着ている服、財布の形やブランド、靴なんかも…数をこなしてくると、「単なる成金(一発屋で稼いで、派手派手しいブランド持ち)」か、「資産家としての本当のお金持ち」かを見分けられるようになっているでしょう。

(およそ、ブランドのロゴマークがでかでかとしているものほど、成金の場合が多いですが…)

少なくとも、VUITTONのバッグに、グッチのかばんに、モンクレのダウンみたいな露骨な「歩く質屋」みたいな格好は、きっと本当のお金持ちはではないでしょう。よく見ると、本当に質のいいものを、ずっと愛用していることを感じ取れるはずです。

5、高単価をやらない道もアリです。

さて、そんな勉強をしてから、自分の商品がその人達にどうしたら受け入れられるかを考えればいいのです。改めて考えてみれ「無理だ」となれば、それも一考。狙うかどうかは、自分のできる能力やキャパシティと比較して考えればいいのです。

簡単ではない、顧客戦略。単に高い金額を狙いにいくほど、簡単ではありません。だって「お金と価値について一番厳しい人」を相手にするんですから。でも、「安さ」では心も荒む場合もあるし、中間層狙いが一番安定していると思いますけれどね。

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