見出し画像

命を吹き込むもの

約2年にわたる外出自粛、アルコール提供の自粛によって、外食産業は壊滅的な打撃をうけています。協力金でなんとか持ちこたえているものの、いよいよ諦める店舗も。日本でも有数の繁華街である新宿歌舞伎町でも、空きテナントが増えていました。でも、今は…

1、街は生きている

街中の飲食店も、撤退する店もあれば、新たに入る店もある。それは栄枯盛衰、新陳代謝が起こることで、街は常に、その時代の勢いを示しているというもの。一時期空き店舗が目立ったテナントに、少しずつですが新規の店が増えてきました。

以前、飲食店だったところに、マツキヨがきたり、ドラッグストアが潰れたあと、横丁系居酒屋が出たり、あるいは、改装した雑居ビルでは、美容系クリニックが新たにできていたり、時代のニーズと商売のトレンドを表象するかのように目まぐるしい変化が見られます。

新宿で巨大ビジョンを備えていた、ヤマダデンキの場所は、いまではスポーツショップの「アルペン」が巨大旗艦ストアを出店するため、改装工事中となっています。

こうした、流れを見ていると、衰退するものもあれば、新たに生まれてくるものもある。悲しいような嬉しいような複雑な気持ちですが、着実に街は「生きている」と感じるところです。

2、これから求められるもの

では、そんな移り変わりの中で、世の中に求められていくものは何でしょうか。やっぱり総数としての飲食ニーズは減少するでしょう。でも、人が食を辞めることはなく、単に「人口減少に基づく分母の減少」としての、市場縮減はありそうです。

一方で、「集団」としての食事は宴会やパーティは減るかもしれませんが、個人や家族など、より大切な食事の「場」としての役目は、増えていくかもしれません。これだけ社会的に大きな不安を抱えたり、いつ何が起こるかわからない時代だからこそ、節目や祝い事は、より大切にしたい、という気持ちが増えていくような気がしています。

また、働くことだけでなく、それ以外の生活や趣味をもっと大切にしようということも、起こりうるものと思います。自撮り写真をするための撮影レンタルルームが新しくできていたり、鉄道模型を走らせるお店が新規オープンする、といった様子をみるに、「趣味や好きなこと」をもっと人生の中で重きをおくようなバランスの変化も起きてくるような気がします。

加えて、「出会い」に渇望する多くの人の受け皿が、結婚相談所や出会いパーティだけでとどまるとはとても思いません。機会的な回転寿司形式で挨拶をする向上の組立ラインのような形に、嫌悪感や拒否感を持っている人もたくさんいるでしょう。

もっと、横のつながりやいつもと違う「接点」を作る場所やきっかけが、これからのビジネスチャンスにおいて、とても重要な気がしています。

3、人を動かすのは「不安」である

いつの時代であっても、人が行動に移しやすい感情の要素は「不安」です。「不安」とは「底にとどまることの恐れ」となるため、待避行動や安全を確保しようと、人を動かしやすいのです。その最たる商品が「保険」なわけですが…。

いま、世の中を占めている「不安」とはいったい何でしょうか。見渡せば、コロナ禍で、健康をいつまで維持できるのか、という不安。営業自粛や外出自粛などの制約にともなって、あらゆることの先行きが見えてくなっている不安。そんな最中に、再び世界大戦が起こるのではないかという不安。それに伴って、資源の需給バランスが崩れ、エネルギー資源の高騰、物流の逼迫、日常生活では取り急ぎ「ガソリン代」の高騰…つぎから次へと生活を危うくする事態に直面する。こんなに日常が「不安」に苛まれるのは、何十年ぶりの事態かもしれません。

心の拠り所をどこにするのか。遠い未来より、近い現実。そんな社会との向き合い方の中で、強いストレスと対峙し、それを解消しながら、一方でホッとできる安心をも求める。そんな状態であろうと思います。

果たして、この混乱と不安はいつまで続くのか。答えは未来のみが知るわけですが、こんな時代だからこそ「無形」よりも、目の前に存在している「有形」のモノのほうが、着実に心を捉えていくように気がします。

だから、デジタル社会が将来くるとしても、短期的には「アナログ的」なアプローチが志向されるのではないか、とも思うのです。

日本と世界を飛び回った各地域の経験と、小論文全国1位の言語化力を活かし、デジタル社会への一歩を踏み出す人を応援します!