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女子サッカーのEqual Pay ムーブメント

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いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。S.C.P. Japanの野口です。最近のコラムはジェンダーネタが多くなっていますね。

この1週間はEqual Payのニュースがサッカー界をざわつかせていました。ブラジルとイギリスのサッカー協会が女子代表選手の給与を男子代表選手と同等にすると発表しています。実はイングランドサッカー協会では、今年の1月からEqual Payは決定されていたそうなのですが、正式な公表はブラジルが発表した直後だったようで、記事には「なんで今頃。。。。」なんていう言及もありました。

とはいえ、イングランドは1902年から50年間、女性はサッカーをすることが禁じられていた歴史を持っているので、この70年間は本当に長い長い道のりですね。またブラジルも日本が優勝した2011年のドイツワールドカップでは(もう9年前!)、ブラジルサッカー協会が宿泊費を渋り、開幕ギリギリにドイツ入りしていました。時差などの影響でコンディションは良くなかったそうです。当時私はアメリカ留学中で、ルームメイトとドイツまで試合を観に行っていました。スタンドでブラジルの試合を観戦しながら、「国からのサポートの違いでこんなにも大会が不公平になるのか、、、ブラジル頑張れ。」と、考えていたことを思い出しました。(ブラジルサポーターは陽気で素敵でしたよ)

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そういえば、このEqual Payムーブメントはいつから?と考えてみると、2017年12 月にノルウェーサッカー協会が男子代表と女子代表の賃金平等に最初にサインをしています。しかも、男子代表チームについたコマーシャル費用から女子代表選手の賃金の不足分がカバーされています。男子代表もそれに合意しています。

そして、2018年5月にはニュージーランドサッカー協会もEqual Pay を実現。

2019年11月にはオーストラサッカー協会もEqual Payを決定。

アメリカ女子代表選手たちは前回のW杯でもわかるようにかなり声をあげていますが、まだEqual Payは実現されていません。ワンバック選手が「Gender Pay Gapはもう充分だ!!」と訴えています。また、2019年のW杯優勝後のアメリカ女子サッカー代表メンバーは「Gender Pay Gap」についてアメリカサッカー協会を告訴している状況です。アメリカ女子代表メンバーは選手だけのEqual Payではなく、アメリカ女子サッカー代表に関わる指導者やスタッフのEqual Payも求めています。

2つ目の動画のコメンテーターが動画の中で「男子サッカーの方が収益をもたらしているから仕方がないのではないか。という意見にどのように答えますか?」という質問をしています。アレックス・モーガン選手は「そもそもの投資額が違う。かける資金を平等にして初めてその議論ができる」とはっきり述べています。選手の「声」のあげ方は、アメリカは本当に群を抜いてすごいです。

よく日本人選手はあまり声をあげない。と言われますが、そもそもある程度のジェンダー平等に関する知識がなければ「声」をあげられません。何に声をあげていいかも、声をあげていいものなのかもわかりません。それに声をあげた先に自分たちを守る術を知らなければ怖くてあげられません。

そう考えてみると、今の女子サッカー選手たち、女子サッカーに関わる指導者やスタッフはどこでジェンダーについて学ぶのだろうか?考えてみるとそういった場面はそうそうないのかもしれません。アメリカやヨーロッパ、オーストラリアやニュージーランドのように、ある程度生活していれば、自然と誰でもそれなりのジェンダー感覚を身につけられる状況はまだ日本はにはないと思います。また、日本のサッカー界はやはり男性が強く、男性が優位になりやすい環境です。女性指導者がいるからといってそのチームがジェンダーの視点を持っているか?というと必ずしもそうとは限りません。

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