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実家チャレンジ成功

高齢の両親が無事にワクチン済んだというので、実に1年近くぶりくらいに実家へ行ってきた。

今太郎は2回目の訪問。前回はまだ我が家のメンバーにすらも慣れていない頃だったので、知らない家とか知らない人とかじゃなくて、とにかくもう全部知らない人だし知らない場所だかんね!ていう気持ちだったと思うし、その頃唯一の「よすが」だった私(まだよく知らないオバサン)にくっついて居るしかなく、今思えば激動の訪問だったんだろな…気の毒した。

今回は出張トレーナーの先生から、はじめての場所や建物に入る時の心得をみっちり伺ってきたので、彼の負担も最小限で済んだように思う。

現在の今太郎は、出先での安全地帯は『おかしゃんのそば』と『車』の2つ、と決めているようなので、まず同行した他の家族は先に入っててもらい、私は長めのリードで今太郎と家の前にポジショニングした。

どこへ到着しても、警戒モードではあるけれどすんなりクレートから出てくる事は出来る。しかし一度きりしか来たことない家でも覚えていたらしく、おまけに両親が揃ってお出迎えにワラワラと出て来てしまったので、あっ!ここ入るのはイヤ!と言ってどんどん家から離れ始めてしまった。

実家の周辺は静かな住宅地で、裏手は巨大な防災公園になっており、お散歩にうってつけの小道が延びている。うまい具合にそちらへ誘導したので熱中症の危険は無くなったが、とにかく今ちゃん『オレはあの建物から離れるのだどこまでも』つってぐんぐん森の奥の方に進んでしまう。キミ、普段のお散歩でもそのヤル気見せて欲しいわおかしゃん。

このままでは隣町まで続く公園を突っ切ってしまうので、少しでも回り込んで反対に誘導しようとすると『おかしゃんの魂胆などお見通しですからね』と、リード突っ張って拒否三昧。

なんかね、こういう時にオヤツで釣りなさいってみんな言われるよね?言われない?あれ私、全然効き目ないっつーか、良くないと思うよ…

だって自分がもし、めっちゃ嫌なことがあって、もうもう絶対許さないし言うことなんか聞くもんか!て時に、まあまあこれでも食べて言うこと聞いてよ?て言われたら、なんだこいつ失礼の極み💢て、逆ギレだよね当然。出されたのが牛蔵のトモサンカクなら食べるけど、食べてしまうけど、逆ギレしたまんまだかんね。美味しいから余計に屈辱的だよね。

私は何回もそれやって、食べるけどほぼ逆ギレしたまんまの今ちゃんと気まずい思いした事がたくさんあって、これ絶対良くないやり方だな…と悟った。拒否犬は、オヤツで懐柔しちゃいけない。たとえ懐柔されても、私のことを好きだからとか信頼したから言うこと聞いたわけじゃないもの。

で、最近は、むちゃくちゃ時間かかるけど、『交渉』『説得』を誠実さを持って行う、ということにしている。むっっちゃくちゃ手間と時間かかるけど。

そんなわけで、日差しはそんなでもなかったけど、熱帯雨林かよってくらいの蒸し暑さの中、ヤブ蚊がブンブン飛び交う公園で、私は覚悟を決めて説得を始めたのだった。

犬への説得は、もちろん言葉を尽くしてお願いもするけれど、それより大事なのは身体の向きであるとか、犬と自分を繋ぐリードの角度であるとか、テンションであるとか、2人のトータルの状態だと思う。これは誰に教わった訳じゃないけれど、犬のボディランゲージは顔や声だけじゃなく、身体全体を使うのだと聞いたから、多分正しい。そして実際、そういう視点で状況をコントロールすると、大抵今太郎は理解して説得されてくれる。

この時も、自分の立ち位置やリードの持ち替え、2人の距離などを出来る限りコントロールし、キミの意思はわかるよ?わかるけどさぁここ暑いし、喉も乾いたし、この先だってどうせ知らないとこだよ?それよりさっきの家に戻ろうよ、おかしゃん戻りたいの、ここはイヤなんだよ…と、犬も真っ青なレベルにクネクネしながら(もちろんブツブツ言いながら)粘り強く交渉した。

本気の交渉は、リードを無理に引っ張ったりなんかするよりよっぽど犬は納得してくれる。いや、納得じゃないな、妥協だな。この時の今太郎も、私のしつこさと諦めなさに半ばウンザリしながら、割と早いタイミングで踵を返すのに付き合ってくれた。いいこ、ありがとう、だいすき。

実家に戻って家の前に停めてある私の車を見つけたらまた、これに乗る!乗ってお家帰ろう!てなるかな…また説得かな…と思ったらそこは大丈夫で、門扉を開けたら自分で入り、そのまま玄関ドアもどんどん先に入って行った。

無理強いじゃなく説得して『わかったよ、それじゃ一緒に行くよ』てなってくれた時の犬って、本当に潔い。ニンゲンみたいに、そうは言ってもあーだこーだ…てグチグチガタガタ言わないで、理解した通りに行動してくれる。今太郎が、そういう犬なのかな?なんにせよ、見習いたいくらい潔いな。武士みたい。かなわない。

で、玄関入ってそのままリビングのドア開けたら、両親たちはエアコンの効いた部屋でちょうど宅配ピザの箱開けたとこやった。

これか。どんどん入っていった理由は。これが匂ったんか今太郎よ。武士じゃなかった。

そのままお行儀よくオスワリしてみんなにピザの耳んとこ貰い、なんか知らん人居るけど、最近ちっとも貰えないかにぱんみたいなものくれる、ここは良い家だ!!と見事に条件付けされた今ちゃん、とりあえず初めての(正確には2回目の)実家訪問は、大成功でした。

このあとものすごい雷鳴ったけど。その話はまた。

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