「期待」を共有するピグマリオン効果

ピグマリオン効果という言葉をご存知でしょうか。
この言葉の解説をし始めると長くなってしまいますので、ざっくりと説明すると、

第三者(実験者)が、ある教師に「この生徒は今後成績が伸びますよ~」って言ったら、教師は無意識にその生徒に期待をかけるようになり、期待をかけられた生徒とそうでない生徒とで成績の伸び方に顕著な差が生じた

というものです。

この効果については「そんなに効果はない」という批判もあったりするらしいのですが、私はこの手法を結構使っています。

私は臨床心理士として子どもに関わります。でも多くて週1回、1~2時間程度の関わりです。
日常生活において子どもと多くの時間を共有するのは、私以外の人物。それは例えば親御さんもそうですし、担任の先生もそうです。

子どもがより良い環境でのびのび育ち、自分の能力を最大限伸ばしていくには、その子と主に関わる大人の方々のサポートが不可欠です。

そのために、私はいつも、親御さんや担任の先生などに、その子の強みや良いところを思いっきり説明します。

・飲み込みが早いんです。少し教えるだけで、他のことにも応用することが出来ます。方法を知らないだけで、教えるとすぐに吸収しますよ!
・めちゃくちゃ素直です。大人のアドバイスを聞き入れて、それを自分なりにアレンジしていました。
・ちょっと怖がりなんですけど、それが慎重さを生んでいます。入念な準備が完璧でした。あれは真似したい!

そんな感じで、とにかく良い所や強み、伸ばしたら良いだろうなと思う所を言葉にして伝えるようにしています。もちろんお世辞なんかじゃないし、嘘でもありません。誰にだって必ず一つは良い所や強みがあるものです。

担任の先生でも、親御さんでも、自分のクラスの生徒や自分の子どもが褒められるのはやはり嬉しいようで、それだけでまず良い影響を与えています。
そのうえ、冒頭で言った「ピグマリオン効果」です。子どもの良い所に自然と目が行くようになるので、子どもと大人との間に心地良い関係性が生まれます。そのような関係性の中でどんどん良い循環が始まっていきます。

別にこれはカウンセラーだけが使える効果ではなく、例えば、職場でも応用可能でしょう。
ある後輩くんのことを「アイツはいつか絶対伸びる。だって○○(根拠)だもん」と色んな人に伝える。飲み会とかで。別に後輩くんに直接言う必要はありません。色んな人に、その後輩くんの伸びるところを伝えておきます。そうすると、色んな人がその後輩くんの良いところに目が行くようになり、もしかしたらそういう強みを活かすことが出来るような仕事を彼に回してみよう、という動きが起きるかもしれません。

褒める、とはちょっと違う「ピグマリオン効果」。人間関係がちょっと温かくなるような、そんな感じがしませんか?
使える場面はたくさんありそうです。

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