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境港の「巨大化するイカの煮干し」が教えてくれたこと
2ヶ月ほど前に訪れた、鳥取の境港。鬼太郎や沢山の妖怪と出会い、おいしい海産物を満喫した。
お土産として買ってきた中で特に気に入ったのが、「イカの煮干し」だ。私はそれまで「煮干しといえば小魚」という意識しかなかった。スーパーでたまたまこれを見たときには、イカも煮干しになるのかと新鮮な驚きを感じた。
ひとつの大きさが5センチぐらい。かなり固いが、しっかり噛んでいると塩味とイカの味わいが出てくる。おいしい。お酒のつまみにも合いそうだ。
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3個ぐらい食べると顎が疲れてくるが、それでも食べ続けてしまう。一袋が数日でなくなってしまった。
そんなことをあちこちで話していたら、関西に住む親戚がちょうど境港へ行く機会があると、同じイカの煮干しを買って送ってくれることになった。
通販などはされていなかったから、親戚の好意にありがたく甘えることにした。そして待つこと2週間。到着したものを見て驚いた。袋に入っているイカが、倍以上、十数センチのサイズになっていたのだ。
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販売店もパッケージも値段も同じだから、違うものを買ったということはない。ひと月以上先になると、取れるイカがそれだけ大きなものになり、煮干しのサイズも巨大化した。そう考えるしかない。
同じ商品で、時期によってこんなに中身ひとつひとつのサイズが変わるとは。これも私には驚きだった。
しかし考えてみれば、自然の生き物を相手にしているのだから当たり前のことだろう。アジは季節によって小さなものから大きなものへと変わっていくし、出世魚は名前すら変えていく。煮干しだけは小さなサイズのままに違いないというのは、私の勝手な思い込みに過ぎなかった。
一年中同じぐらいのサイズのイワシの煮干しが手に入ったり、江ノ島のあたりで生しらす丼が一年の半分以上の時期に食べられたりするのは、多分イワシの産卵時期がそれだけ長いからなのだろう。
境港の「イカの煮干し」は、私に自分の凝り固まった思考を気づかせてくれた。煮干し、奥深し。
季節が変われば大きさも変わる。そのことに深い納得感を抱きながら、巨大化したイカを食した。5センチでも固かった煮干しは、十数センチになるともう、本気で噛み続けないと食べられない。食卓に家族が揃っていても、イカの煮干しを口にしている間は会話がなくなるぐらいだ。
ひとつ食べると、それだけでかなり顎が鍛えられる。顎があまり丈夫ではない私は注意しないといけない。でもやめられない。
サイズが大きくなった分、体のうまみ成分も蓄積されたのだろう。固いけれど、噛めば噛むほど深い味が口に広がり、以前よりさらにおいしくなっている。イカの煮干し、本当に奥深し。
今から季節が進むと、さらにイカの煮干しが巨大化するのか。かなり気になるところではあるが、残念ながら私も親戚も、当面境港へは行く予定がない。いつか答えがわかるときが来るかもしれないと、期待も込めて忘備録代わりにnoteに記しておくことにする。
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