ヨーロッパ文化教養講座(2022年11月11日 ボストン交響楽団+内田光子)

2022/11/12
昨夜は、大阪フェスティバルホールで満員の観客を集めて行われた、ボストン交響楽団+内田光子のコンサートを鑑賞した。

大阪フェスティバルホールは、初めて行った。いつも、藤岡幸夫の「エンター・ザ・ミュージック」で映像ではおなじみだが、まさか、高層ビルの中のあるとは思わなかった。

1Fの前から20列のやや左側で、座席も前列観客の頭が邪魔にならないように設置されている。舞台からの距離は、前日のサントリーホールの五嶋みどりのコンサートとほぼ変わらないように思った。

いつものように、開場時間(昨夜は、開演時間の一時間前)にホールに入った。しばらく、舞台を見ていると、バスーンとコントラバスの奏者が出てきて、自己パートの練習を始めた。三々五々、その後開演時間まで、他の楽器の奏者も集まって、なんとなく、全員集合となった。今まで見たことの無い自由な緩い感じがして、さすがにアメリカのオケだと思った。(もっとも、ボストン交響楽団だけなのか、舞台裏に練習する場所が無かったのか、他の理由も考えられる。)

開演時間になり、内田光子が、ノースリーブの水色のブラウス+シースルーの同色系の上着に銀色のパンプスという若々しい姿で登場した。

曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」、ネルソンスの指揮と生きもピッタリ、大好きな演奏だった。
特にどこが好きかというと、
1.弱音部が、一種類のピアニッシモではなく、グラデーションがあって、何種類もの弱音が弾き分けられている。それぞれの弱音に意味があり、色づけがされているなと感じた。 また、しかも、はっきりと聞こえる。
2.フォルテ部分で、右手が旋律を奏でている間の、左手のパートもはっきりと、くっりきと聞こえる。
3.早いパッセージも遅いパッセージも一音一音味わうように、しっかりと弾いている。
それにプラスして、ボストン交響楽団が、内田光子のピアノを邪魔しないように、強弱をしっかりつけて脇役に徹している、それでも、どの楽器もきれいに聞こえる。

数カ所ミスタッチがあったようだが、ほとんど気にならないくらいの音がしっかりとよどみなく綺麗で、さすがに、古典派ピアノの第一人者といわれるだけあると思った。

フィナーレの後は、深々と観客にお辞儀をするところが、今は国籍はイギリスだが、やはりオリジンである日本をお忘れになっていないと思った。

12月20日で74歳ということだが、81歳のマルタ・アルヘリッチに負けないよう、現役を続けてもらいたいと思う。

デイム・ミツコ・ウチダにBRAVA!!

休憩のあと、ショスタコーヴィチの交響曲第5番「革命」
主に古典派以前しか聴かなかった小生が、コロナ禍のステイホームに耐えるため、ロマン派以降も積極的に聴き始めたおかげで、この名曲も楽しめるようになった。
まだまだ、聴く回数が少ないので、偉そうに評論などできないが、本当に感動した演奏だった。
とにかく、すべての楽器の音が響き渡って観客の耳に届く。

この曲は、一昨年、オーチャードホールで聞いたNHK交響楽団の定期コンサート(2021年ショパンコンクールの優勝者ブルース・リウのショパンの協奏曲1番が前半)の後半に聴いたのが生演奏の初体験だったが、圧倒的に、昨夜のボストン交響楽団の演奏のほうが心を打った。
ホールの違いや、小生のそのときの感受性の違い、また、指揮者アンドリュー・ネルソンスの十八番だということもあるのだろうが、特に管楽器が素晴らしい。
特に金管楽器では、まだまだ、日本の交響楽団は、勝てないのかと残念に思った。


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