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離島の教室から#1 「運動会には豪華景品があるのが当たり前」【僻地教育】

 トップ画を見て、「まさか・・・」と思われた方もいるかもしれませんが

そうなんです。

こちらのヤギは、運動会の職員リレーで一位になると頂けます。
もちろん、その日に連れて帰ることができます(笑)

このように、沖縄の離島の運動会には「内地」(沖縄の方が本土のことを呼ぶ方言)の運動会にはないような、ぶっ飛んだエピソードが多々あります。

本日は、その離島の運動会について少しだけ紹介したいと思います。

「いつかは、離島で勤務してみたいなぁ」と思われている方に必見です。

離島の小中併置校

 初めに、小中併置校とは、文字通り小学校と中学校が一緒になっている学校です。

もちろん、教室や授業の内容は異なりますが、給食時間や清掃活動、委員会活動などの1日の大まかな流れは一緒です。

なぜなら、絶対的に人数が少ないから・・・・

私のいた学校は、当時の全校生徒数は4名でした。
そこに小学生(7名)を加えても、全校児童生徒数は11名です。

もちろん、小中併置校にも大変な部分(1人の職員のもつ分掌の多さやカリキュラムマネジメント、複式学級など)はありますが・・・

控えめに言っても、本当に最高な3年間でした。

これまでは、忙しすぎてできなかったことにも、小中併置校であれば、目を向けることができます。

心にもゆとりができ、様々な新しい教育実践にチャレンジすることができました。(小中併置校の授業についてはまた、別の記事で)

地域とともに創り上げる運動会

 さて、本題に入ります。

小中併置校では、学校行事も小中学生が合同で行います。

それでも、運動会を盛り上げるためにはまだまだ人数が足りません。
(だって、子供たち全員合わせても11名ですから)

では、どうするかというと・・・・・
学校の先生と保護者、それに地域の方も一緒に運動会の競技に参加するのです。

先生は生徒と一緒に走ります。綱引きも全力でやります。

保護者も一緒に踊ります。親子で障害物競争をしたりもします。

地域の方には、保護者の友達も来ますし、全然知らないおじぃ、おばぁも来ます(笑)

他にも、地域の交番に勤めている駐在さん(警察官)も参加します。
(その日になんかあったらどうするんでしょう笑)

それに、お隣の学校の先生だって参加します。だって、お互い様ですから!
私は、一月に3回程、運動会に参加したこともあります。

参加者を募るための豪華賞品

 これだけの人が集まれば50人以上になります。
まさに、学校行事でありながら、半分は地域行事といった感じです。

ただ、人を集めるには「運動会に参加したい!」と思ってもらう必要があります。

そのため、PTA役員の方が独自のネットワークを駆使して、知り合いや地元企業に声をかけ景品を集めるのです!!

例えば、景品の一部を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 大量のお菓子、アイス、ジュースなどの子供たちが喜ぶもの

  • 缶詰、レトルト食品、菓子パンなど家にあると助かる食品の詰め合わせ

  • 炊飯器や扇風機、たこ焼き機、キッチン用のガスコンロなどの家電用品

まだまだ、ありますが、こんな景品が無料で貰えるかもしれないと思うと「運動会に参加してみようかな」といった気持ちになりますませんか?(もちろん運動会への参加は無料です)

そうなんです。
子供たちが少しでも運動会を楽しめるよう、大人も景品集めに全力を注ぐのです。

離島特有の豪華景品(?)

 極め付けは、漁師や畜産家が持ってきてくださる豪華景品(?)です。

ある年の運動会は、リレーで1位になると、トップ画像のヤギ(ヒージャー)が頂けました。(それも、写真のように、生きている状態です・・・)

沖縄には、ヤギを食べる文化があります。
当時の校長先生は、当たり前のように家の庭で飼っていました。
(学校の敷地内でウサギのように飼育している学校も少なくありません)

ペットなのかな?と思っていたら・・・・

ある日「ヤギを潰した。ヤギ汁とヤギ刺しを作ったから家に食べに来い!」と言われたため、お言葉に甘えてお家におじゃましたことがあります。

色々な意味で衝撃的でしたが、とても美味しかったです。

ちなみに、この運動会の景品だったヤギは、足の速い地域の方が連れて帰られました。その後は、どうなったかは知りません・・・。

他にも、A5ランクの石垣牛や沖縄の高級魚であるミーバイ(獲れたて)が景品だったこともありました。

運動会で獲得したミーバイを校長先生が家庭科室で捌いてくださり、放課後に生徒と一緒に食べたのが良い思い出です。
(信じられないくらい美味しかったです)

おわりに

 いかがでしたか?
離島の運動会には、子どもの人数が少ないからこそ、地域と協力して創り上げていくといった特徴があります。

私は、子供たちのために、地域の方々が全力で頑張る姿がとても素敵だなと感じました。

そこに子供たちの人数は関係ありません。

離島の運動会を経験し、教師としての学校行事に対する価値観が動かされた瞬間でした。

さて、次回は離島の運動会にある独特な競技種目を紹介したいと思います。

あなたの勤務校で実施すれば、大盛り上がりかも?
来週の記事もお読みいただけると幸いです。

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