サイエンス山本

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【サイエンス】人類史上最悪の爆発事故「王恭廠大爆発」

 人類史で最も大きい「爆発」は、1961年に行われた「ツァーリ・ボンバ」の爆発実験だ。これは水素爆弾の実験であり、爆発の規模は50Mtとされ、しばしば「広島に投下された原爆の3300倍の威力」と表現される。核爆発を除けば、1908年の「ツングースカ大爆発」が挙げられるだろう。隕石によって引き起こされた爆発で、規模は5Mtとされる。  人類史で最も被害の大きい爆発は、広島への原子爆弾による攻撃だろう。1945年8月に投下されてから年末までの間に約14万人が亡くなったと推定され

    • 【サイエンス】数万人が死亡?史上最悪の隕石事件「慶陽事件」

       1490年の3月ごろ、現在の中国慶陽市近くに流星群が現れた。大小様々なサイズの隕石が降り注ぎ、数万人が亡くなったという。事実であれば有史では最悪の隕石被害である。  明朝について書かれた清代の歴史書『明史』によると、事件があったのは弘治三年三月で、「大きいものはガチョウの卵のようで、小さいものはハスの種のようだ」という。ただし、『明史』では死者数ついて言及されていない。これについて、「死者について言及しない政治的理由があったのだろう」との意見がある。  隕石については『

      • 【サイエンス】天然痘ワクチン用のウイルス「ワクチニアウイルス」は起源不明?

         インフルエンザの予防などのために使用されている「ワクチン」の仕組みを知る人は多いだろう。ワクチンとは、感染症に対する免疫を事前に身に着けるために体に打つものだ。  インフルエンザワクチンの場合、毒性を失わせたインフルエンザウイルスを体に打ち込む。無害なウイルスであっても体は免疫を獲得し、有害なインフルエンザウイルスが体に入ってきた時に免疫が働いてくれるという仕組みだ。これは「不活化ワクチン」と呼ばれるタイプのワクチンである。また、毒性を弱めたものを打つものは「生ワクチン」

        • 【サイエンス】人類最大の敵「フィロウイルス」に新種続々

           人類を脅かしてきたウイルスと言えば、天然痘ウイルス、スペイン風邪ウイルス、そして新型コロナウイルスなどを浮かべる人は多いだろう。しかし、最も致命的なウイルスは「フィロウイルス」だろう。  フィロウイルスとは、フィロウイルス科のウイルスの総称だ。フィロウイルス科のウイルスとして、主に「エボラウイルス」「マールブルグウイルス」が知られている。どちらも非常に危険だ。また、「クウェバウイルス」「タムノウイルス」「ストリアウイルス」「ディアンロウイルス」といったウイルスも発見されて

        【サイエンス】人類史上最悪の爆発事故「王恭廠大爆発」

          【サイエンス】致死率100%の謎の寄生虫「芽殖孤虫」

           1904年、東京帝国大学病院を33歳の女性が訪れる。彼女の名前はタナカ・ヤエ。織物職人だった。彼女は鼠径ヘルニアの治療のため皮膚科を訪れたが、医師は彼女の皮膚が異様に腫れているのに気付いた。  腫れは体中に見られた。特に左大腿部が酷く、この異様な腫れは自重で垂れ下がっていたという。この異様な部位を除去する手術で、彼女から数キロ分もの組織が切除された。  彼女は皮膚が痒かった。皮膚を爪でひっかくと白っぽい物体が押し出されてきた。  女性の皮膚を調べると、組織の中に大量の

          【サイエンス】致死率100%の謎の寄生虫「芽殖孤虫」