歯学雑学①「味覚とは」

歯学雑学

明けましておめでとうございます。今回は表題の通り、「味覚」をテーマにした投稿になります。大学で勉強した内容を自分なりに整理してnoteに投稿することで、授業内容の復習を行うとともに投稿数も稼ぐという姑息かつ天才的(?)な発想が湧きあがったので早速実行してみました。
 
今後もこのような投稿をしていきたいと考えています。題材は一般教養、基礎医学、臨床系、実習、私の前の専門分野である化学の内容などなどなんでも扱うつもりです。難易度も中高生が理解できるものから、バリバリの歯学専門知識が必要なものまで何でも扱おうと思います。
とはいえ、色んな方に見てもらいたいという気持ちもあるので、理系科目にそこまで縁のない方にも理解してもらえるようなネタを多めにしていけたらと思っています。雑学・豆知識みたいな感じになるかもしれません。まあとりあえずやってみようと思います。よろしくお願いします。

ヒトの感覚における味覚の位置づけ

さて今回のテーマは「味覚」です。ヒトには様々な感覚が備わっていますが、味覚はそのうちの1つです。では味覚はヒトの感覚の中ではどのような立ち位置になるのでしょうか?さっそく見ていきましょう。まず、ヒトの感覚は大きく以下の3つに分類できます。
 
1.体性感覚
触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚などです。感覚と聞いて真っ先にイメージする人が多いと思います。
 
2.特殊感覚
視覚、触覚、平衡感覚、嗅覚、味覚のことです。いわゆる五感(視、聴、触、嗅、味)のうちの4つが含まれています。
 
3.内臓感覚
臓器における感覚や痛覚です。具体例としては飢え、渇き、尿意、便意、腹痛などが該当します。自律神経に支配されます。
 
今回テーマとしている味覚は特殊感覚に分類されます。歯科医師は主に口腔内の専門家のため、味覚についても詳しく知っていなければなりませんね。歯学業界の人間にとっては気合いを入れて勉強すべきテーマの1つです。
 

味覚とは

そもそも味覚とは何でしょうか?
生理学的にいうと、「味を示す化学物質を受容・認知すること」です。
要は味を感じ取るということですね。
 
それでは上記で太字となっている「味を示す化学物質」とは何でしょうか?
これは5つの基本味である、「甘味、うま味、塩味、苦味、酸味」のことです。
なお、最近では第6の味覚として「脂肪味」も提唱されているようです。
 
勘違いしそうになりますが「辛味」は5つの基本味には含まれません。食戟のソーマのアリスも言っていましたが、辛味は生理学的には痛覚に分類されます。辛い食べ物が好きな人は、ヒリヒリチクチクな痛みがたまらなく好きな人と言い換えることができますね笑。

5つの基本味

5つの基本味のイメージですが、
甘味は糖の味、うま味はグルタミン酸の味(味の素の主成分ですね)、塩味は塩分の味(Na+イオン)、苦味は毒の味、酸味は酸の味になります。

このうち、元来からヒトが好きとされる味は甘味、うま味、塩味になります。甘味はエネルギー源である糖の補給、うま味はタンパク質やアミノ酸の補給、塩味は塩分の補給といった理由があり、これにより生命活動の維持に大きく貢献しています。

一方、元来からヒトが嫌いとされる味は苦味と酸味です。苦味は毒物摂取を回避するため、酸味は酸(自然界では腐敗物に含まれることが多い)の摂取を回避するため、といった理由があり、これにより生命活動への悪影響を回避しています。

これらの事柄から、味覚は健全な生命活動に欠かせない能力ということがわかりますね。

味の受容部位

舌には前述の5つの基本味のそれぞれを受容する味蕾(みらい)というものがあり、我々はこの味蕾で味を感じ取っています。そして味蕾の分布にも以下のような特徴があります。
 
特徴1:味蕾は舌以外にも存在する
味というと舌で感じ取るというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実は舌以外にも味蕾が分布している(すなわち舌以外にも味を感じることができる)箇所があります。
軟口蓋、咽頭、喉頭部です。軟口蓋は口の中の天井部分の内、奥の方の柔らかい部分のことです。また、咽頭は鼻の奥から食堂に至るまでの部分で、喉頭は気管に続く道の部分です。意外と広い範囲で味を感じられるということですね。
 
特徴2:舌全体に味蕾があるわけではない
専門用語になりますが、舌には舌乳頭(有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭など)と呼ばれる部分があり、舌の中でもこれらの部分に味蕾が分布しています。一方で、舌にもこれら舌乳頭が見られない部分もあります。例を挙げると舌の上面の中央付近。実はここには味蕾がないため、味を感じることができないのです。試しに舌の中央付近に塩とか醤油とかを少量のせてみましょう。味を感じないはずです。多分…
 
一口に味覚といっても紐解いてみると結構複雑なんですね…

まとめ

以上が味覚の基本中の基本になります。味の受容メカニズムに神経支配、味覚検査などまだまだ内容はあるのですが、専門性が高くなってしまうのでひとまずはこの辺までにしようと思います。

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