小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第7回)
「知識に裏付けされた技術」について先生は話していた。優れた技術者は皆、自分の手元で起こることの理論を知り、その上で操作しているのだという。なまじ勘と経験を持って世渡り上手な者もいるが、それだけでは乗り越えられないことがある。知識のないものはより優れた者にはなれはしない、と。
それで兄と同様、先生は私も高校に行かせてくれた。幼い頃に厳しい道を選んだためもあり、地元の公立でもっともよいところへ通うことが許された。田舎の私立などよりずっといい普通高校だった。工業や商業高校、専門