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2020年10月 「風神雷神図のウラ-夏秋草図に秘めた想い-」

東京国立博物館、ミュージアムシアターで「風神雷神図のウラ-夏秋草図に秘めた想い-」を観てきました。

10月25日まで開催中の「5Gで文化財 国宝 聖徳太子絵伝 ARでたどる聖徳太子の生涯」を観ようと東博のウェブサイトを見ていたところ、10月4日まで「風神雷神図のウラ-夏秋草図に秘めた想い-」が上映されているということで、こちらを鑑賞。

凸版のYouTube公式チャネルに紹介動画もあります。

はじめに

こちらの作品は、タイトルの「風神雷神図のウラ-夏秋草図に秘めた想い-」にある通り、尾形光琳「風神雷神図」の裏に描かれた酒井抱一「夏秋草図」をVR映像するというものです。

私も「風神雷神のVR映像」というタイトルに惹かれ鑑賞しに行ったはずなのに、上映開始時点では「風神雷神」のことはすっかり忘れていました。

映像も「夏秋草図」から始まり、「その表には何が描かれていたのか!?」というのをドラマチックに演出しているのですが、自分の弱い記憶力のおかげで、「おぉぉぉ、表は風神雷神だったのか!」と驚きながら楽しむことができました。

夏秋草図

VR映像は初めに、「夏秋草図」の解説から始まります。

「夏秋草図」は江戸琳派の祖、酒井抱一(1761年-1829年)の代表作で、1821年から1822年と約百年前に描かれた屏風絵です。「風雨草花図」が正式名称のよう。

銀箔の上に、雨にうなだれる夏草と、風になびく秋草が洒脱に描かれている作品です。VR映像では現在では黒ずんでしまった銀箔と作成当時の明るさに戻しているのですが、その美しさといったら。。。

当時の屏風絵が置かれた場面 - 自然光があまり届かない部屋に置かれ、行灯や蝋燭の灯りにぼんやりと照られる - では、より叙情あふれるものだったんだろうなとも想像できます。

「夏秋草図」の解説が一通り終わった後、それではその表側にあるものは、、、ということで、風神雷神図が登場します。

風神雷神図

尾形光琳(1658年-1716年)による「風神雷神図」は、「夏秋草図」の約百年間に描かれた金屏風絵で、俵屋宗達の風神雷神図を模したものとのことです。

宗達と光琳それぞれの「風神雷神図」が並んでいるYouTube動画がありました。時代による色あせもあるかと思いますが、光琳の方がよりコントラストのある色使いになっていますね。

夏秋草図と風神雷神図

さて、VRならではということで、表の「風神雷神図」と裏の「夏秋草図」の重ね合わせられ一枚の屏風絵として表現された映像が映し出されるのが今回の目玉かと思います。

雨にうなだれる夏草の上には雷神、風になびく秋草の上に風神が描かれており、その連関と対比が見事というほかにありませんでした。

雷雨、風という連関を示しつつ、片方は超常的な神、もう片方が日常のありふれた草花を描いているという対比があるわけです。

二つの屏風絵が組み合わさっていく様はVR映像でしか表現できないものかと思いますので、芸術と技術の美しい出会いによる映像作品だなぁと感心致しました。

上映最後に短いですが記念撮影時間が設けられ本記事ヘッダーにあるように、二つの屏風絵が組み合わさった写真の撮影が可能です。

おわりに

あまり考えることなく、とりあえず、と思い観に行きましたが、想像以上に満足することができました。定期的に上映されているので、まだ観たことが無い方は一度、観賞されることをお勧めいたします。

時間があれば琳派の歴史の勉強をしっかりしたいなーと思いつつ、沼な予感がするので、Web記事でのおさらいにとどめ、老後の楽しみに取っておくこととします。

こちらの記事がシンプルにまとめられていて参考になりました。



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