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Blues My Naughty Sweetie Gives to Me

「ブルース・マイ・ノーティー・スウィーティー・ギヴ・トゥ・ミー Blues My Naughty Sweetie Gives to Me」は、1919年にチャールズ・マッキャロン Charles McCarron、キャリー・モーガン Carey Morgan、アーサー・スワンストンArthur Swanstoneによって作詞作曲されたジャズ・ナンバー。1919年2月にジョージ・ビーバー George Beaverによって初録音された。特にシドニー・ベシェ Sidney Bechet によってリバイバルされ、ジャズ・スタンダードのひとつとなった。

タイトルと歌詞の My Naughty Sweetieとは「おれの心をかき乱すあの子」と言った意味。コケットの歌詞に出てくる人物を想像するとわかりやすい。男を惑わす女性だ(だから必ずしも尻軽とかそういった意味ではないだろう)。まずnaughtyというのは「いたずらっ子」という意味でしばしば「思わせぶりな人」「感情をかき乱す人」を記述するのにも使われる。またsweetieというのは「恋人」や「憧れの好きな人」という意味で「美しい人」や「かわらしい人」を記述する表現。

ヴァースで「もし自分のやり方で歌えるのなら、今日は笑顔とかキスとかを歌った曲に勝る歌を歌うよ。笑顔の歌なんか歌わない。そんなタイトルは選ばない。自分が持っているものについて歌いたい。それはくたびれたブルースだ。」と歌われる。どういった意味の「くたびれ」かはコーラスであきらかになる。それは「もっと深いブルース(憂鬱)」で、「おれの心の中にあるブルース」で「とても意地悪なもの」。つまり、「 おれのいたずらな恋人がおれにくれるブルース」にほかならない。

録音

Sidney Bechet (NYC, November 5 1951)
Sidney Bechet (Soprano Saxophone); Sidney De Paris (Trumpet); Jimmy Archey (Trombone); Don Kirkpatrick (Piano); George "Pops" Forster (Bass); Manzie Johnson (Drums);
リバイバルのきっかけになった録音。ベシェのソプラノサックスがやはり素晴らしい。フォスターのベースのアタックがよく聴こえる。

Earl Hines (New Orleans January 30th and 31st, 1975)
Wallace Davenport (Trumpet); Orange Kellin (Clarinet); Tom Ebert (Trombone); Earl Hines (Piano); Emanuel Sayles (Guitar); Lloyd Lambert (Bass); Louis Barbarin (Drums);
暗さを強調しないで少し爽やかに聴こえるアール・ハインズの録音。エマニュエル・サイラスなどレジェンドが集まったこの録音。アルバム自体も素晴らしい。

Jim Kweskin Band (San Francisco 2003)
Jim Kweskin (vocal, guitar); Leo "Layo" Blanco (piano); Matt Leavenworth (fiddle); Bruce Millard (mandolin); Matthew Berlin (bass); Titus Vollmer (guitar); John Ramsey (drums)
歌もの。ブルーグラスっぽさも感じるスウィングになっている。レオ・ブランコのピアノのソロが非常にかっこいい。

Jug Band Extravaganza (San Francisco, August 26, 2007)
Jim Kweskin (Vocal, Guitar); Geoff Muldaur (Guitar, Kazoo); John Sebastian (Guitar); David Grisman (Mandolin); John 'Doc' Stein (Dobro);
Peter 'Spud' Siegel (Mandolin); Stew Dodge (Violin); Turtle VanDemarr (Guitar); Unknown (Jug)
ジム・クウエスキン・ジャグバンドとイーヴン・ダズン・ジャグバンドの出身者たちと、バーベキュー・オーケストラが集まった録音。メンバーがステージ上でも変わるので上の表記は暫定。とても楽しい録音。またこの曲はジム・クウェスキンのお気に入りでJim Kweskin Jug Band以外にも何回か録音している。

Jonathan Stout and his Campus Five (Pasadena, CA 2017)
Jonathan Stout (guitar); Albert Alva (clarinet); Jim Ziegler (trumpet); Christopher Dawson (piano); Wally Hersom (bass); Josh Collazo (drums)
わりとベシェの録音っぽい雰囲気を残したジョナサン・スタウトの録音。ギターソロのあろのアルバート・アルヴァのクラリネットが非常にかっこいい。惚れ惚れする。

The Mad Hat Hucksters (San Diego, California 2017)
Morgan Day (Washboard); Lindy Edwards (Vocal, Tenor Saxophone); Nightshade Navarro (Clarinet); Michael Till (Guitar); Anthony Marca (Guitar); Jeremy Eikam (Bass)
サンディエゴのダンス・バンドマッド・ハット・ハックスターズの録音。かなりダンサンブルになっているんだけど、マイナーな雰囲気を残している。ほかの録音に比べてやはり踊らせることに特化しているように思う。

Soggy Po Boys (Dover, New Hampshire 2019)
Mike Effenberger (Piano); Eric Klaxton (Soprano Saxophone); Zach Lange (Trumpet); Nick Mainella (Tenor Saxophone); Brett Gallo (Drums); Scott Kiefner (Bass); Stu Dias (Guitar/Vocals)
ニューハンプシャーを代表するスウィングバンドのソギー・ポー・ボーイズの録音。ボーイズという年齢ではない。テンポが速いマイナー曲として解釈して録音をしている。

Allan Praskin Quintet (Berlin June 6 2022)
Allan Praskin (Alto sax); Ulli Bartel (Violin); Wolfgang Köhler (Piano); Jan Leipnitz (Double bass); Lars Gühlcke (Drums)
ベルリンで活躍しているアラン・プラスキンの録音。シカゴ・スタイルあるいは中間派と呼ばれるような録音。


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