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Autumn in New York[ニューヨークの秋]

1932年にヴァーノン・デュークが作詞作曲したポピュラー・ソング。フランク・シナトラが1947年にした録音がヒットする。それまではあんまり人気がでなかったのか、第二次世界大戦終戦前になされた録音やトラッドジャズやマヌーシュ・ジャズに志向した録音は必ずしも多くはない印象。

ここでは〈想像されたニューヨーク〉が描かれている。というのも、曲を書いたときにデュークはニューヨークにはおらず、「1934年にデュークがコネチカット州のウェストポートに滞在していたときに、抱いたニューヨークに対する切望」から着想を得た曲とされている(Gioia 2021, p. 44)。「ニューヨークの秋」を書く前にデュークは「4月のパリ April in Paris」を書いており(その時の歌詞はイップ・ハーバーグ[Yip Harburg])、そういった「街 + 季節」に「ノスタルジー」を掛け合わせるというコンセプトで新曲を書くことははじめから決まっていた。だから「ニューヨークの秋」は基本的に美しくも切ないニューヨークが描かれている。

そういえば日本語ではコネチカットと普通に言っているがこの土地の人がコネチカットというときは「カナディケーッ」という風に聴こえる。

録音

Stephane Grappelli & Slam Stewart (Paris March 25th 1975)
Violin (Stephane Grappelli); Johnny Guarnieri (Piano); Slam Stewart (Bass); Jackie Williams (Drums); Jimmy Shirley (Guitar)
この録音を載せたいからこの曲のエントリーを書いたといっても過言ではない。まさにパリにいるグラッペリがニューヨークを思い馳せたような演奏。スラム・スチュワートは、この曲ではソロは弾かないが、それでもスラムがいる安心感。素敵である。ギターソロのあとに入るグラッペリの2回目のソロなんて美しすぎて息ができなくなる。

参考文献

Furia, Phillip & Lasser, Michael. (2006). America’s songs: The stories behind the songs of Broadway, Hollywood, and Tin Pan Alley. London: Taylor and Francis.


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