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Cabaret

「キャバレー Cabaret」は1966年にジョン・カンダーJohn Kanderが作曲し、フレッド・エブ Fred Ebbが作詞したジャズ・ナンバー。日本語の歌詞はAtsushi Little Fatsさんによって書かれ、日本のトラッド・ジャズの永遠のスタンダードとなっている。

人生はキャバレー

この曲はミュージカル『キャバレー Cabaret』における最大のヒット曲だった。ミュージカル自体は20年代のドイツが舞台で時代としてはナチズムが台頭していた時期だ。そうした逼迫された状況とジャズ・エイジが対比されており、まさにこの「キャバレー」はそうした対比を表象するように、自由人のサリー・ボウルズがナイトライフの喜びを謳った曲だった。歌詞はまさに「部屋で一人で座っていて何がいいんだい? 音楽を聴きに行こうじゃないか!人生はキャバレーよ、古い友よ!」とジャズ・エイジの栄光が歌われる。

日本語の歌詞は前述のとおりアツシさんが手がけている。英語の歌詞をもとにしている。日本語が第一言語の私はやはりアツシさんのこの歌詞が一番しっくりくる。「せっかくの休みの日。家にいないで。おしゃれをしてどこかに出かけましょう。」「何も気にしないで、さあ、歌いましょう。」「おいしいお酒に昨日よりも楽しい夢を。」と歌われる。歌詞が「ここに来ればいつでも歌ってあげるよ。」に差し掛かると、こうした楽しい空間を実現させるのが、まさにリトル・ファッツなんだ、とハッと気づくのである。力が与えられる歌詞だ。

録音

Louis Armstrong And His All Stars (NYC/Las Vegas 1966)
Louis Armstrong (Trumpet, Vocal); Joe Muranyi (Clarinet); Tyree Glenn (Trombone); Marty Napoleon (Piano); Art Ryerson (Banjo); Buddy Catlett (Bass); Danny Barcelona (Drums)
ルイ・アームストロングの録音レイドバックしたボーカルが最高に気持ちのいい。

Liza Minnelli (Hollywood 1972)
ボーカル以外のクレジットがわからなかったんだけどライザ・ミネリの歌うキャバレーも素晴らしい。

Little Fats & Swingin’ Hot Shot Party (Tokyo 2008)
Atsushi Little Fats (Tenor Banjo and Cornet); Charlie Yokoyama (Washboard); Dr Koitti One Two Three (Violin); Red Fox Maruyama (Clarinet); Yamaguchi Beat Takashi (Guitar); Doggie Maggie Oguma (Bass);
リトルファッツは知る限りでは3回この曲を録音している。Get Hipのコンピに収録されたちょっとレアな録音かもしれない。ほかの録音ではソロが違ったり、小林創さんが参加している。そちらも素敵。ライブで毎回聴けて、そのたびに感動する。また、以前あるイベントにアツシさんの別バンドのタイニー・ソング・ショウがでて、タイニーは一番手だった。最後の出演バンドが終わったあとにその日の出演者全員でこの曲を演奏したんだけど、それがなんとも感動的で涙が出た。

手嶌葵 (Tokyo June-October 2018)
Aoi Teshima (Vocal); Yusuke Onishi (Guitar); Takashi Ebinuma (Bass); Kazuyuki Ebe (Violin); Nakakita Yuko (Percussion)
ちょっと短いけれど手嶌葵さんのキャバレーがとても素敵。あまり手嶌葵さんを聴いたことなかったんだけどこの曲を聴いてから手嶌さんが好きになった。キメのところが非常にリトルファッツしていてニヤける。この編成のライブ行きたいなあ。それと歌詞カードのフォントがおしゃれで素敵。

上の助空五郎 (東京[?] September 2022)
上の助空五郎 (Vocal, Ukulele, Tap); 南勇介(Bass);
東京トラッドジャズ界の二大ボーカルのもう一人上の助空五郎さんの録音。アツシさんの歌詞でそのまま歌っている。優しい気持ちになれる。


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