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Cake Walking Babies (From Home)

「ケーク・ウォーキング・ベイビーズ・フロム・ホーム」は1924年にクリス・スミスChris Smith、クラレンス・ウィリアムズClarence Williams、ヘンリー・トロイHenry Troyによって書かれたジャズ・ナンバー。

ケーク・ウォークとは19世紀のアメリカ南部で発祥した軽快なステップを指す。「黒人奴隷が白人の主人の習慣をパロディ化したのがはじまり」(標準音楽辞典 p. 599)とされており、また特定のダンス形式があるわけではない。このダンスは、最初「プライズ・ウォーク/賞金ウォーク Prize walk」と呼ばれており、このダンスの優勝者はデコレートされた大きなケーキをもらえた。やがて「ケーク・ウォーク」と呼ばれるようになり、現在でもアメリカ英語で"takes the cake”と言えば「一番を取る」「優勝する」という意味として使用されている。

以下の動画に見られるように、むしろ「主人の仕草や恰好をおもしろおかしく即興ダンスで表現するというダンス」とされている (七類, 2010, p. 23)。二拍子なのが特徴でドビュッシーもこのダンスのリズムに影響を受けていくつか曲を書いたほか、ラグタイムでこの「ケーク・ウォーク」を意識した曲がいくつも書かれた。

録音

Clarence Williams' Blue Five (NYC January 7th 1925)
Eva Taylor (Vocals); Louis Armstrong (Cornet); Sidney Bechet (Soprano Sax); Clarence Williams (Piano); Buddy Christian (Banjo);
クラレンス・ウィリアムズのバンドでの録音で、ルイ・アームストロングとシドニー・ベシェが仲違いする前のもの。ボーカルはエヴァ・テイラー。サッチモのコルネットが本当に素晴らしい。イントロから爆発していてそれに絡むベシェのソプラノサックスもすごい。

Natalie Lamb And The Peruna Jazz Band (Copenhagen January 6, 1979)
Natalie Lamb (Vocals); John Neess (Banjo); Niels Vestergaard (Clarinet); Mikael Zuschlag (Cornet); Peter Aller (Cornet); Anette Strauss (Piano); Leo Heckmann (Sousaphone); Arne Højberg (Trombone); Mik Schack (Washboard);
ナタリー・ラムの録音。70年代後半から80年代のヨーロッパにおけるニューオーリンズ・リヴァイヴァルの録音。とても力強い歌声もいいし、バンドのアンサンブルもソロも素晴らしい。

Lillian Boutté And Her Music Friends (Vecht The Netherlands 1984)
Lillian Boutté (Vocal); Arild Holm (Banjo); Bob Culverhouse (Bass); Thomas L'Etienne (Clarinet); Soren Houlind (Drums); Hans Knudsen (Piano)
リリアン姐の録音。これもヨーロッパにおけるニューオーリンズ・リヴァイヴァルに位置付けられる録音。ナタリー・ラムの録音より洗練されていおり、だからこそリリアン姐の歌声が響く素敵な録音になっている。

Little Fats & Swingin’ Hot Shot Party (Tokyo 2006)
Atsushi Little Fats (Tenor Banjo and Cornet); Charlie Yokoyama (Washboard); Dr Koitti One Two Three (Violin); Red Fox Maruyama (Tenor Saxophone); Yamaguchi Beat Takashi (Guitar); Doggie Maggie Oguma (Bass);
日本が誇るスウィング・トラッドジャズ・ウォッシュボード・バンドのリトル・ファッツの録音。とてつもない音圧。まるちゃんさんのサックスがめちゃくちゃ熱くて、それに続くアツシさんのコルネットがまたすごい。そしてタカシさんのギターがやっぱむっちゃかっこいい。

Dr. Jazz & Dirty Bucks Swing Band (Benevento, Italy 2019)
Alfredo "Dr. Jazz" Verga (Guitar & Vocal); Alessandro "Mr. Groove" Panella (Double Bass); Luciano "Mr. Chugga" De Ioanni (Drums); Ettore "Mr. Dirty" Patrevita (Soprano Sax); Antonello "Mr. Bix" Rapuano (Piano)
イタリアで活動中の素敵トラッドジャズ・バンドのドクター・ジャズ&ダーティーバックスの録音。この録音だとニューオーリンズから影響を受けたシカゴ・スタイルを展開している。

参考文献


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