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Black Coffee [1935]

「ブラック・コーヒーBlack Coffee」は1935年にアル・グッドハートAl Goodhartとアル・ホフマンAl Hoffmanが作曲し、モーリス・シグラー Maurice Siglerが作詞したジャズ・ナンバー。同名の曲があるが、こちらの方は戦前にできた曲でコール・アンド・レスポンスが特徴的で楽しい曲。

クレイジー・クッキング

歌詞は「ブラック・コーヒー!大変だ!ものが二重に見えるぞ!どうやって家に帰ればいいかわからないぞ!ウーピー・スープを飲みすぎた!わけわかんないよ!どうやって家に帰って彼女に説明しよう!やばい!」といった内容。さて、歌詞に登場する「ウーピー・スープ whoopee soup」だが実は調べてもあまりわからなかった。唯一ヒットしたのはニューヨーク・タイムズの記事。どうやら「アボカドのビスク(スープ)にウォッカを混ぜた料理」で、ニューヨークで活動した料理研究家のジェイムズ・ベアードが考案したものらしい (Riely, 1988)。また「ウーピー whoopee」とはどんちゃん騒ぎみたいな意味なので、いずれにせよクレイジーな料理なのだろう。

録音

Wingy Manone and His Orchestra (NYC May 27, 1935)
Wingy Manone (Trumpet, Vocal); Gil Bowers (Piano); Matty Matlock (Clarinet); Eddie Miller (Tenor Saxophone); Nappy Lamare (Guitar); Harry Goodman (Bass); Ray Bauduc (Drums)
ニューオーリンズのシンガー/トランペッターのウィンギー・マノウンの録音。日本語だと「マノン」の表記が多いようだけど「マノウン」。シリアスな演奏もコミカルな演奏もどちらもできるエンターテイナーでこうした路線はルイ・プリマに引き継がれる。

Ann Savoy & Her Sleepless Knights (Ville Platte, Louisiana 2010)
Ann Savoy (Vocals); Kevin Wimmer (Fiddle); Tom Mitchell (Lead Guitar); Chas Justus (Rhythm Guitar); Eric Frey (Bass); Glenn Fields (Drums)
素敵ボーカリストのアン・サヴォイの録音。マヌーシュ・ジャズ+ルイジアナといった様相。アン・サヴォイの歌もかっこよく、さらにメンバーもニューオーリンズ・ジャズ、ケイジャン、ザイディコ、ウェスタン・スイングなどの凄腕が集まっている。参加メンバーのそれぞれのバンドも非常にかっこいい。

The Careless Lovers (Seattle, Washington 2012)
Freddie Dickinson (trombone); Michael Faltasek (guitar, vocals); Brett Nakashima (bass); Kevin Buster (soprano sax); Michael Van Bebber (trumpet); Craig Flory (tenor sax)
残念ながらいま現在は活動していないが、シアトルで活動したトラッドジャズ・バンドCareless Loversの録音。ギターとベースのリズムがとてもタイトなダンス・バンド。すごくかっこいい!

参考文献

Riely, Elizabeth. (1988 Sept. 7). A Summer Cook Who Lingers In Memory. New York Times. https://www.nytimes.com/1988/09/07/style/a-summer-cook-who-lingers-in-memory.html

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