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Somebody Stole My Gal

「サムバディ・ストール・マイ・ギャル Somebody Stole My Gal」は1918年にレオ・ウッド Leo Woodが作詞作曲したポピュラーソング。日本ではピー・ウィー・ハントの録音がとても有名であるが、それを抜きにしてもトラッド・ジャズのスタンダードとして数多く録音されている。また日本語のタイトルに「恋人を取られて」というものがあるが、最近はカタカナ表記が多い。

この曲は最初メイヤー・コーエン音楽出版社Meyer Cohen Music Companyから販売されたが、すぐに権利が売りに出されてしまう。デントン・アンド・ハスキンズ社が1922年に権利を購入する。その後テッド・ウィームスが録音し、大ヒットする。また1927年にはビックス・バイダーベックもこの曲を録音する。こうした関係でとくに白人のジャズ・ミュージシャンが多く録音している曲となっている。

あまりヴァースから録音されないがヴァースは「僕はひとりぼっちさ。好きな人を失ってしまったんだ。誰かに奪われたのさ」とはじまる。コーラスは「誰かが僕の彼女を奪ったんだ!急に来て奪っていったんだ!なにも言わずに行ってしまった」「僕が彼女にした熱いキスを、彼女を奪ったあいつはいましてるんだろうなあ。彼女は僕のところに帰ってきてくれるかな」といった内容。だいぶかわいそうである。

録音

Milton Brown And His Brownies (New Orleans March 4 1936)
Milton Brown (vocalist); Cecil Brower (violin); Derwood Brown (vocal, guitar); Cliff Bruner (violin); Fred Calhoun (piano); Wanna Coffman (string bass); Bob Dunn (steel guitar); Ocie Stockard (tenor banjo)
ウェスタン・スイングの王、ミルトン・ブラウンの録音。

Jim Kweskin & His Jug Band (NYC 1965)
Jim Kweskin (Vocal, Guitar); Bill Keith (Banjo); Mel Lyman (Harmonica); Fritz Richmond (Washtub Bass); Geoffrey Muldaur (Washboard); Rex Rakish (Others); Maria Muldaur (Sandpaper Block)
フォーク・リバイバル以降のジャズの再評価の流れでさまざまなジャグ・バンドが生まれた。その最高峰に位置しているのはジム・クウェスキンのバンドかもしれない。初期衝動を強く感じされる録音。

Bob Haggart Featuring Tom Pletcher (Florida 1986)
Tom Pletcher (Cornet); Spencer Clark (Bass Saxophone); Ron Hockett (Clarinet, Saxophone [C Melody]); Jack Howe (Tenor Saxophone ); Bob Haggart (Bass); Doug James (Drums); Mike Katz (Piano)
ボブ・ハガートのバンドの録音。ビックスのトリビュートとして録音されている。美しい。

Ecklund at Elkhart featuring The Classic Jazz All-Stars (Elkhart 1994)
Peter Ecklund (trumpet); Bobby Gordon (clarinet); Dan Barrett (trombone); Mark Shane (piano); Marty Grosz (vocal, guitar); Greg Cohen (bass); Hal Smith (drums)
ピーター・エクランド率いるシカゴ派のオールスター録音。マーティ・グロスがファッツ・ウォーラー的に歌っている。とても好き。

Guillaume Nouaux & The Clarinet Kings (Paris 2019)
Aurélie Tropez (clarinet); Alain Barrabés (piano); Guillaume Nouaux (drums)
ギヨーム・ヌオーの企画での録音。クラリネット、ピアノ、ドラムのシンプルな構成のトリオ。とってもかっこいい。


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