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Always

「オールウェイズ Always」は、1925年にアーヴィン・バーリン(Irving Berlin)が作詞作曲を担当し出版したポピュラー音楽。ジャズ・スタンダード。

「いっつもなにもうまくいかなかった…笑い方も忘れてしまった…でもあなたにあって憂鬱はどっかにいってしまったんだ!」というヴァースからはじまり、「いつでも君を愛するよ、いつも(always)!本物の愛をいつも!ずーっと!」と歌われる。とてもロマンチックな歌詞だ。

同僚の婚約者に頼まれて作った曲

「オールウェイズ」は自分の秘書の婚約者のわがままがきっかけとなって作られた曲だ(Furia & Lasser 2006)。

ある日、バーリンの秘書であったアーサー・ジョンソンの婚約者のモナという若い女性が自分のための曲を書いてほしいとバーリンにせがんだ。バーリンは嫌々ながらも鼻歌まじりで “I’ll be loving you, Mona”と歌い、ジョンソンがそれを書き留めた。モナはその曲をいたく気に入り、曲が完成したそうだ(すげえ話だ)。

その後、バーリンはジョージ・カウフマンと映画『ココナッツ The Coconuts』の仕事をするのだが、そのとき「モナ Mona」を「いつも always」に変えた。カウフマンは現実主義者でロマンスに対し懐疑的であった。そんな彼がバーリンに提案したのは「いつもalways」じゃなくて「木曜日 Thursday」にすれば?ということだった。「木曜日」が現実的なのかわからないが、結局歌詞は変えられず、また映画でも使用されることはなかった。

録音

Benny Goodman Orchestra (NY April 19 1935)
Toots Mondello (alto saxophone); Hymie Shertzer (alto saxophone); Benny Goodman (clarinet); Harry Goodman (bass); Gene Krupa (Drum); Allan Reuss (guitar); Frank Froeba (piano); Dick Clark (tenor saxophone); Art Rollini (tenor saxophone); Joe Harris (trombone); Jack Teagarden (trombone); Pee Wee Erwin (trumpet); Nate Kazebier (trumpet); Jerry Neary (trumpet)
ベニー・グッドマン楽団の録音。とくにアラン・リュースのギターが素晴らしい。グッドマンのクラリネットもすごくかっこいい!名録音!

Warren Vaché (NYC April 20, 1993)
Warren Vaché (Cornet, Vocal); Bucky Pizzarelli (Guitar)
ウォーレン・ヴァシェとバッキー・ピザレリのデュオ。すごくシンプルな構成だけど、アレンジは複雑で二人の巨匠がそれぞれスイングを作っている奇跡のような録音。歌はヴァシェ本人。歌のあとに2人が同時にソロをするんだけどこのときのスイングが強烈。素晴らしい。

Alberta Hunter (Chicago[?] 1978)
Aaron Bell (Bass); Jackie Williams (Drums); Billy Butler (Guitar); Gerald Cook (Piano); Norris Turney (Tenor Saxophone, Clarinet); Frank Wess (Tenor Saxophone, Flute); Vic Dickenson (Trombone); "Doc" Cheatham (Trumpet)
アルバータ・ハンターのAlwaysも素晴らしい。若い頃にはなかったしわがれた声が魅力。レイドバックした余裕のあるスイング。カムバックしてくれてありがとうと言いたい、そんな録音。

Bob Haggart’s Swing Three (Florida 12 September 1996)
Bob Haggart (Bass); Bucky Pizzarelli (Guitar); John Bunch (Piano)
ハガート、ピザレリ、バンチのトリオ。比較的スローなテンポで余裕のある演奏。バッキー・ピザレリのヴァースから静かにはじまる。これもすごい。

New Orleans Blue Serenaders (New Orleans June 11 1986)
Orange Kellin (clarinet); Johnny Letman (trumpet); Lars Edegran (piano); Walter Payton, (sousaphone); Ernest Elly (Drums); Topsy Chapman (Vocals)
ニューオーリンズのNew Orleans Blue Serenadersの録音。これも美しい。ラーズ・エデグランの声がけで集まったメンバーらしい。エデグラはピアノで参加。オレンジ・ケリンはニューオーリンズ・クラリネットを展開していて、ジョニー・レットマンのトランペットは明るめの音色で都会的。ボーカルのトプシー・チャップマンはゴスペル・シンガーで残念ながら2022年に急逝してしまった。

あとむっちゃ参加しているミュージシャンが多いので書くのが非常に面倒なのでここに書くんだけどハリー・ニルソンの録音も非常にいい。Boilermaker Jazz Bandも相変わらず素敵な録音を残してくれている。

参考文献

Furia, Phillip & Lasser, Michael. (2006). America’s songs: The stories behind the songs of Broadway, Hollywood, and Tin Pan Alley. London: Taylor and Francis.

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