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Anniversary Song

「アニバーサリー・ソング Anniversary Song」は、1946年にアル・ジョルソンAl Jolsonとソール・チャップリン Saul Chaplinによって書かれたポピュラー・ソング。アル・ジョルソンの伝記映画『ジョルスン物語The Jolson Story』のために書かれた曲。また、この「アニバーサリー」とは結婚記念日のことで結婚式をあげた日の夜を耽美に歌っている。

ということになっているが、実は「アニバーサリー・ソング」は、アル・ジョルソンとソール・チャップリンが、ルーマニアの作曲家であるヨシフ・イヴァノヴィチ(Iosif Ivanovici)が書いた「ドナウ川のさざなみ Waves of the Danube」(1889)を丸パクりして、イヴァノヴィチの名前を載せずに出版したもの。実際に『ジャンゴ・フェイクブック』で作曲者を確認してみると副題として「ドナウ川のさざなみ」があり、「アル・ジョルソンとソール・チャップリンが盗んだ」と書いてある。ただ歌詞をつけるだけなら問題ないと思うが、クレジットを載せないのはさすがにまずいだろう。

数は少ないけれどほかのスタイルのジャズの録音もあるが、いまではマヌーシュ・ジャズ・スタンダードになっている。

真の作曲者であるヨシフ・イヴァノヴィチ。左の写真は「あの…それ…おれが書いた曲なんですけど…」と言っているように見える。

録音

Elia Bastida (Barcelona 2022)
Èlia Bastida (violin); Josep Traver (guitar); Joan Chamorro (double bass)
1995年生まれのエリア・バスティーダの録音。どうしてバルセロナのバイオリニストはこんなに美しい音色の人ばかりなのだろうか。3人の演奏なんだけど誰のソロのときでもダイナミクスは損なわれない。素晴らしい!おそらくバルセロナが誇るジャズの大御所、ジョアン・チャモロの貢献が大きいのだろう。

Django Collective Helsinki (Espoo & Helsinki 09/2019)
Laura Airola (violin); Aki Hauru (guitar); Kimmo Iltanen (guitar); Tomi Kettunen (guitar); Tero Tuovinen (bass); Pasi Eerikäinen (1st violin); Laura Airola (2nd violin); Mauri Kuokkanen (viola); Riikka Lampinen (cello)
ストリングス・カルテット(Jousikaiku Quartet)を率いて録音されたヘルシンキのマヌーシュジャズ・バンドジャンゴ・コレクティヴ・ヘルシンキの録音。ストリングス・カルテットは前半は主張しすぎないで、バンドの演奏を盛り上げている。アンサンブルもソロもすごく美しい。

Marta Sierra (Barcelona or Les Sables d'Olonne 2020)
Fredrik Carlquist (Clarinet); Stuart Grant (Double Bass); Maxime Bousquet (Guitar); Marta Sierra (Violin)
バルセロナを代表するジャズ・バイオリニストの一人。マルタ・シエラは、ここではちょっとロックっぽいフレーズも繰り出す野心的な演奏を繰り広げている。

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