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Ain’t the Gravy Good

「エイン・ザ・グレイヴィー・グッド Ain't the Gravy Good」は、1938年にデイヴ・ヘイウッド(Dave Heywood)が作詞作曲したノベルティ・ソング。とてもいい曲なんだけど、スタンダードというほど有名ではない。。

歌詞は、「出された料理が不味い…パンまずぅ…チキンは生じゃん…あれ?でも、グレイヴィー・ソースはうまい!」という内容。グレイヴィー・ソースはロウワー・ミドル・クラス(庶民)やロウワー・クラス(労働者階級)に結びついている。以前イギリスに住んでいたとき、ちょっとよさそうなレストランで店員さんに付け合せのポテトのソースを聞かれ、「グレイヴィー・ソースで」と言ったら「グ、グレイヴィー!?」と驚かれた。うちのお店ではそんなソース出しません!というわけ。ちなみにイギリスでは見た目から「ブラウン・ソース」と言ったりする。ブラウン・ソースといえばみんな思い浮かぶのは”HP Sauce”しかない。日本(東京)でいうところの、ソースと言えば「ブルドッグ・ソース」みたいな感じ。イギリスほど階級意識のないアメリカでもやはり同じような結びつきがある。つまり、慣れた味しかわからず、出されたものがわかんねえ、と言っているわけである。そういった味のわからない人が料理を批評する滑稽さを歌っている。

録音

さて、この曲を歌ったのは、デューク・エリントン楽団でトランペットとしてしのぎを削っていたクーティ・ウィリアムズ。そんなに録音が多いわけではないんだけどみていきたい。
Cootie Williams and his Rug Cutters (NYC 28 February 1939)
Duke Ellington (Piano); Cootie Williams (Trumpet, Vocal); Barney Bigard (Clarinet); Johnny Hodges (Alto Sax); Harry Carney (Baritone); Billy Taylor, Sr. (Bass); Sonny Greer (Drum)
エリトン楽団内のバンドで録音。1929年に18歳でエリントン楽団に参加し、バンドの名ソリストとしても名を馳せた天才クーティ・ウィリアムズがリーダー。歌もかっこいい!

Posey Royale (North Carolina March 2020)
James Posedel (Piano/Vocals); Whitney Moore (Vocals); Keenan McKenzie (Tenor Sax/Clarinet); Matt Fattal (Trumpet); Mattick Frick (Guitar); Trevor Stoia (Bass); Annie Erbsen (Guitar); Eric Hevron-Smith (Bass); Russ Wilson (Drums/Vocals); Jason DeCristofaro (Vibraphone)
この録音で”Ain’t the Gravy Good”を知ったんだけどとても好き。アシュヴィルは現在もっともトラッド・ジャズ/スイングが熱い場所かもしれない。みんな上手でとっても素敵なアンサンブルを展開している。ちょっと歌い方に小姑っぽさがある感じもなかなか好き。
あとカナダ人シンガーのジャッキー・ワシントンやイギリスのバンドのJack Calloway & The Midnight Creepersの録音もいい。


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