見出し画像

Big Boy

「ビッグ・ボーイ Big Boy」は、ミルトン・エイジャー(Milton Ager)とジャック・イェレン(Jack Yellen)が1924年に書いたポピュラー・ソング。ジャズではとくにビックス・バイダーベックの録音が有名。

「メロメロになっちゃう男の人がいるの。どんな女の子もその人が欲しくてたまらないの!6フィートの身長のビッグボーイ!」という歌詞。ただしいま聴くと極めてジェンダーバイアスの強い曲で「かれは弱いほうの性別の最大の弱点なの He’s the strongest wekness of the weaker sex」とあり、さらにマッチョイズムの賞賛が続く。ただこの曲はあまり歌われることはないように思う(さしあたり私はマーガレット・ヤングMargaret Youngの歌しか知らない)。それはビックスの録音が決定的であったという点ももちろんあると思うが、社会が有機的になるにつれて、こうした曲の歌詞に見られるような価値観に対する共感もなくなったのだろう。

またソニー・ロリンズも「ビッグ・ボーイ」という曲を書いているけれどまったく違う曲。それと似たようなタイトルの「ビッグ・ボーイ・ブルース Big Boy Blues」があるが別の曲。また「ビッグ・ボーイ・ブルース」も同名の曲が少なくとも3つある。

神保町と京都の河原町にも同名のジャズ喫茶があるのだけれどこの曲から取ったのだろうか。いつか行ってみたい。

録音

Wolverine Orchestra (NYC October 8, 1924)
Bix Beiderbecke (Cornet); Jimmy Hartwell (Clarinet); George Johnson (Tenor Sax); Dick Voynow (Piano); Bob Gillette (Banjo); Min Leibrook (Tuba); Vic Moore (Drums)
ビックス・バイダーベックのウルヴァリン・オーケストラの録音。100年前の録音。最初のビックスのソロからもう素晴らしい!それとジョージ・ジョンソンのソロの入りは毎回感動する。

Bud Freeman's Summa Cum Laude Orchestra (NYC March 25 1940)
Pete Peterson (Bass); Pee Wee Russell (Clarinet); Morey Feld (Drums); Eddie Condon (Guitar); Dave Bowman (Piano); Bud Freeman (Tenor Saxophone); Max Kaminsky (Trumpet); Brad Gowans (Valve Trombone)
バド・フリーマンの楽団の録音。典型的なシカゴ・スタイル。イントロからテーマで聴けるマックス・カミンスキーのトランペットが枯れている。どのソロも素晴らしいテイクだと思うし、コンドン-フェルド-ピーターソン-ボウマンの作るリズムが鉄壁。

Vic Dickenson (Boston 1957[?])
Vic Dickenson (Trombone); George Wein (Piano); Jimmy Woode (Bass); Buzzy Drootin (Drum)
いわゆる中間派ジャズあるいはメインストリーム・ジャズを牽引したヴィック・ディキンソンと当時としては中堅に差し掛かろうとしているミュージシャンの録音。ディキンソンが伸びやか。この録音じゃないけれど別のセッションだとアーヴェル・ショウも録音に参加している。


投げ銭箱。頂いたサポートは活動費に使用させていただきます。