見出し画像

All the Girls Go Crazy ‘Bout the Way I Walk/All the Whores Go Crazy About the Way I Ride

「俺が歩けばどんな女の子もメロメロになる」というタイトルの「オール・ザ・ガール・ゴー・クレイジー・ボウト・ザ・ウェイ・アイ・ウォーク All the Girls Go Crazy ‘Bout the Way I Walk」は、1916年にキッド・オリー(Kid Ory)が作詞作曲をしたとされている。

が、伝説のジャズ・ミュージシャンのバディ・ボールデン(Buddy Bolden)は自身のバンドで「オール・ザ・ホーズ・ゴー・クレイジー・アバウト・ザ・ウェイ・アイ・ライド / 俺の乗り方でどんな売春婦もいななくぜ All the Whores Go Crazy About the Way I Ride」というタイトルでレーパートリーにしていたとされている。もちろんこの「売春婦whore」は「馬horse」の地口になっている。実際にウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)は、バディ・ボールデンの映画のサントラにこちらのタイトルで録音を残している。

元のタイトルから想像がつくように性的な曲であることは間違いない。ジャズがジャズと呼ばれる前、ストーリーヴィルなどの買春地区の酒場や売春宿で演奏されていたことに鑑みると非常に場所にあった曲に聴こえる。まさにそう言った街の武勇伝を自ら語るような曲に聴こえる。

かつてストーリーヴィルにあった「ヒルマ・バートのミラー・ボールルーム」の一幕。ここで働いている娼婦たちはまさにボールデンやオリーのふるまいにクレイジーになったのかもしれない。

録音

Kid Cry and His Creole Jazz Band (Hollywood 1949)
Ed Garland (Bass); Joe Darensbourg (Clarinet); Minor Hall (Drums); Buster Wilson (Piano); Kid Ory (Trombone); Andrew Blakeney (Trumpet)
トロンボーンがメロメロにさせている感をかもしだしているキッド・オリーの演奏。40年代のディキシーランド・リヴァイヴァル以降によく録音されているように思われるが、これはその模範というべき録音。

Pic'Pulses Jazz Band (Lyon 2022)
Thibaut Cablé (Soprano Saxophone); Sébastien Arapian (Trombone); Pascal Roumy (Trombone); Eric Luter (Trumpet); François Lenoble (banjo); Daniel Monforte (Bass); Fabien Vaissières (Drums)
フランスはリヨンで活動しているニューオーリンズジャズ・バンド。歌あり。この録音もとっても好き。

Swingsters (Stockholm 2001)
スウェーデンのベテランのディキシーバンドのSwingsters。ウェストコースト・リヴァイバル的なアプローチ。

The Dixiedelics (Fullerton, CA 27 June 2010)
カリフォルニア州のフラートンで活動中のバンド。昔から活動しているメンバーたちが集まっているっぽい。あまりバンドの詳しいことがわからないのだけど、ウェストコースト・リバイバルのニューオーリンズ・ジャズを展開している。

参考文献

Handel, Dan. (2004, Apr 3). [Dixielandjazz] "All the girls go crazy about the way I..." Retrieved from: http://ml.islandnet.com/pipermail/dixielandjazz/2004-April/018865.html

いいなと思ったら応援しよう!

しゅみお
投げ銭箱。頂いたサポートは活動費に使用させていただきます。