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Alice Blue Gown

「アリス・ブルー・ガウンAlice Blue Gown」は1919年にジョセフ・マッカーシーJoseph McCarthy作詞、ハリー・ティアニーHarry Tierney 作曲のワルツ。ジャズ・スタンダード。

労働者階級のアイルランド人の女性がハンサムな大金持ちと結婚するという「シンデレラ・ストーリー」の花形を作り上げたミュージカルの『アイリーン Irene』。その『アイリーン』でイーディス・デイ(Edith Day; エディスという表記もある)によって最初に歌われた曲がこの「アリス・ブルー・ガウン」。このミュージカルのリハーサル中、デイは、自分のキャラクターを確立するために歌が必要だと思い至る。以前自身が歌ってヒットした「西部の小さな灰色の家 Little Grey Home in the West」みたいなナンバーを書いてもらえないかとコメディ俳優のハリー・ティアニーに頼み、ティファニーは文句を言いながらこの曲を作った (Furia & Lasser, 2006)。

タイトルにもある「アリス・ブルー」とは薄い水色のような色を指す。ディズニー映画『シンデレラ』でシンデレラもこの色のドレスを着ている。『アイリーン』がシンデレラ・ストーリーの型を流行らせたミュージカルであるならば、もしかしたら『シンデレラ』のスタッフは、この曲を参考にして作画をしたのかもしれない。

件のアリス・ブルー。20世紀になってから流行り、名付けられた色。ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』は19世紀中頃の作品だけれど、アリスブルーとは直接的には関係ない。

録音

Whatever Jazz Band (Madrid, 2020)
Anxo Martínez (Cornet); Marcos Prieto (Clarinet); Giorgio Gallina (Trombone); Daniel Cabrera (Guitar); Yérik Núñez (Double Bass); Andrés Freites (Drums)
マドリードのトラッドジャズ・バンド。スペインはトラッド・ジャズも熱い。マドリードではないが、マラガに行ったときにもトラッドジャズ・バンドがストリートをしていた。ワットエヴァーにかんしては、わたしはドラムとギター、ベースが作る歯切れのいいリズムがとても好き。歯切れのいい録音。

The Trevor Richards New Orleans Trio (New Orleans Feb 23 1999)
David Boeddinghaus (Piano); Trevor Richards (Drums); Evan Christopher (Clarinet)
とてもダイナミックなトリオ。最後のドラムソロがとくに熱くなる。それにしてもベースレスのトリオでここまで低音がなっているのはピアノがしっかりバンドを支えているのとリチャーズのバスドラによるものが大きいと思う。

Teddy Wilson (NYC August 11 1938)
Teddy Wilson (Piano)
記憶のなかではドラムとベースが入ってたんだけど聴きなおしてみるとソロ・ピアノ。一人でバンドを表現していた。この1938年のテディ・ウィルソンは本当に素晴らしい。どの録音も本当にはずれがない。美しいスイング。

Martin, Bogan & Armstrong (Chicago, March 1972)
L.C. Armstrong (Bass); Ted Bogan (Guitar, Vocals); Carl Martin (Mandolin); Howard Armstrong (Violin)
シカゴのブルース/ジャイヴ・バンド。この録音もとてもかわいらしい。飽きないでずっと聴ける。ジャグ・バンドのような「手軽に始めた」感じもあるところが魅力。

Ed Polcer’s All Stars (Smyma, GA 1991)
Bob Haggart (Bass); Allan Vache (Clarinet); Ed Polcer (Cornet); Hal Smith (Drums); Marty Grosz (Guitar); Johnny Varro (Piano); Bob Havens (Trombone)
一流たちのセッション。エド・ポルサーといえばビックス派のコルネット/トランペット奏者。このセッションでもそんな演奏をしている。それとやはりこういったセッションでのマーティ・グロスは素晴らしい。アルバム全体も名盤。

参考文献

Furia, Phillip & Lasser, Michael. (2006). America’s songs: The stories behind the songs of Broadway, Hollywood, and Tin Pan Alley. London: Taylor and Francis.


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