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Hard Hearted Hannah (The Vamp of Savannah)

「ハード・ハーテッド・ハナ Hard Hearted Hannah」は1924年にジャック・イェレン Jack Yellen、ボブ・ビゲロー Bob Bigelow、チャールズ・ベイツ Charles Bates が作詞し、ミルトン・エイジャー Milton Ager が作曲したポピュラー・ソング。

ジョージア州のサヴァンナの魔性の女

この曲では、ジョージア州のサヴァンナにいる「ヴァンプ vamp」のハナという女性について歌われている。ここでいう「ヴァンプ vamp」とはいわゆる「ファムファタール Femme fatale」のことで、「男を惑わす魔性の女」を意味する。しかもここで描かれるハナは「ザ・ヴァンプ・オブ・サヴァンナ The Vamp of Savannah」とあるので、ジョージア州のサヴァンナで男を惑わす魔性の女といえば、誰もが思い浮かべるような有名な人という具合に描かれている。

歌詞は物語調で「私I」が見た経験が述べられている。ヴァースから「サヴァンナは気候が良くて暖かいんだけど、そこには北極よりも冷たくて、石のような心を持った美女がいるんだ」とはじまる。次いで「そんな美女の名前は冷酷なハナって言うんだ」と紹介され、ハナの特徴づけが語れる。ハナは「街で一番悪い女」で「物騒」「男が苦しむのを見るのが大好き」「男たちをからかい、怖がらせ、拷問し、殺すことが一番の喜び」「海辺で彼女が大きな鍋を持って、溺れている人に水をかけていた」。とんでもない女性だ。2回目のヴァースで「シルクのように美しい外見」と述べられるように絶世の美女。そうした二面性によって男を惑わす魔性の女になっているのだろう。

録音

Ella Fitzgerald (Los Angeles, May 3, 1954)
Ella Fitzgerald (Vocal); Don Abney (Piano); Joe Mondragon (Bass); Larry Bunker (Drums);
雄弁に歌うエラ・フィッツジェラルドの録音。圧巻の歌声。

Danny Barker (New Orleans, May 1988)
Danny Barker (Vocal, Guitar)
ダニー・バーカーが「俺の好きな曲だ。君にも関係あるはずだ、ユーモアのある曲だと思う。こういう女に男は引っかかるもんさ。」と言ってから始まる。1番の歌詞と2番の歌詞を合わせたような歌詞で歌われる。

Paul Bacon (NYC 1990s)
Paul Bacon (Vocals);Jon-Erik Kellso (Trumpet); Mike Hashim (Alto Saxophone); Keith Ingham (Piano); James Chirillo (Guitar); Coral Fawkes (Bass); Rob Garcia (Drums); Stan King (Percussion);
録音年日がわからないのだけけれど画家/デザイナーのポール・ベーコンの録音。キース・インガムのバンドとの演奏。ギターをバックしたヴァースから歌われる。アレンジもかっこよく、まるで実際に海で溺れた男はポール・ベーコン本人のような歌い方。なんとなく映画『モールス』を思い起こす。

Stacey Kent (London, March-April, 2007)
Stacey Kent (Vocal); Jim Tomlinson (Saxophone); Graham Harvay (Piano); John Parricelli (Guitar); Dave Chamberlain (Bass); Matt Skelton (Drums);
ステイシー・ケントの録音。少し元気な感じ。といってもエラ・フィッツジェラルドの録音とは違ってまさに魔性の女は自分かのような歌い方。

Gordon Webster Meets Hetty Kate (NYC, September 2013)
Hetty Kate (Vocal); Gordon Webster (Piano); Mike Davis (Trumpet); Adam Brisbin (Guitar); Rob Adkins (Double Bass); Kevin Congleton (Drums)
ゴードン・ウェブスターとヘティ・ケイトの録音。第三者の語りのような歌。マイク・デイヴィスのトランペットの入りも非常にかっこよい。


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