音楽と女と犬の関係を綴った名作から弱アルカリ性エッセイストの誕生

 微炭酸エセッイスト・みくりや佐代子に憧れている。『あの子は「かわいい」をむしゃむしゃ食べる~恋をやめられない私たち~』の著者だ。

 微炭酸は舌や口腔内という粘膜を微かに刺激する液体だ。主に甘酸っぱいジュースや酒類と混ぜて販売されている。つまり、微炭酸エセッイストとは、粘膜のような敏感な部分を、甘酸っぱさやアルコール共に、微かに刺激するような印象を与える書き手ということだろうか。

 私は小説ー特に長編小説ーを読むことが苦手だ。ただし、小説家のエッセイは頻繁に読む。あと、詩集、歌詞、箴言集も好きだ。最も素晴らしいエッセイ集は、江國香織『雨はコーラがのめない』だと思う。ここでいう「雨」とは江國香織が飼っている犬の名前。彼女と「雨」は音楽を愛している。音楽と女と犬にまつわる諸々が綴られているエッセイ集だ。
これを超える作品を創りたいと思っていた。

 しかし、みくりや佐代子の作品を読んで気づいた。私にとって小説家のエッセイとは、「アルコール度数1%未満の私小説」「ニコチン1mg未満の短編小説」なのかもしれないと。

 炭酸水は基本的に弱酸性。肌につやを出すための美肌温泉は弱アルカリ性。私の経験や筆力では微炭酸エセッイストになれそうもない。ならば、弱アルカリ性エッセイストを目指そうと思う。肌がつやつやになるような一節を目指して。

 「それは美容雑誌・動画で十分でしょ」と思った人。その内声と思考法を強酸性の液体に捨てて欲しい。そして、HALCALI「スタイリースタイリー 」でも聴いて、もう一度、ここに戻ってきて欲しい。『ハルカリベーコン』に収録されてるから。

 「いい女は、朝晩、顔パック、胸パック、尻パック」くらいは欠かさない。最低でも一日10枚のパックを使う。そんなことは当たり前にやっている。そもそも、そんな即物的な話はしていない。




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