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第6回ス茶会(SCHR会)を開催しました。今回のテーマは「軍事政権・紛争地域における人権リスクとは?〜ミャンマー&コロンビア〜」

【朝活カフェ/開催報告/ビジネスと人権】

■日時:2021年4月22日(木)午前8:15−8:45(日本時間)
■テーマ:「軍事政権・紛争地域における人権リスクとは?〜ミャンマー&コロンビア〜」
■スピーカー:SCHR共同創設者 佐藤暁子、鈴木真代、土井陽子
■参考資料:
note記事:ミャンマーにおける現状での人権リスクと企業に求められる行動とは?〜紛争地域におけるビジネスと人権①〜

「ス茶会」とは、お茶会のような場で気軽な雰囲気で「ビジネスと人権」についてわかりやすく語っていこう!という主旨ではじめた活動で、いわば、オンライン朝活カフェです。

今回も早朝にもかかわらず、21名の皆様にご参加いただきました。どうもありがとうございました!

聞き逃した方がいらっしゃったら、こちらから聞いてみてください↓

連日、ミャンマーの情勢が報道されており、私たちもとても心配しており、このようなテーマを選んでみました。

テーマがテーマなので、お茶会のようなゆるい雰囲気ではなかったかもですが笑、以下の3点を重視して話してみました。

・紛争影響国でのビジネスと人権という観点
・紛争下で企業は何ができるのか
・私たちは、消費者として何ができるのか?

<問題提起>

●ミャンマーの事例:
・2月1日にクーデターが起きた後、Myanmar Center for Responsible Businessが中心となり2月19日に発表した署名に参加した日本企業は、1社のみだった。本声明は、軍が法律を遵守していない状態について、指導原則に従ってきた企業として、現状を憂慮して、基本的人権が守られることを希望するもの。

・adidas、facebookは、(ミャンマー情勢を受けて)今この時点で大事にしたい価値観について、公式サイトにて声明を出している。

・ミャンマーの商工会議所に所属している企業は420社あるが、それ以外を含めると600社ほどあるが、署名に参加しているのは10社にも及ばないのは、とても少ない。

・ミャンマーの(日本企業が集う)商工会議所も声明を出しているが、現地からも「非常に一般的な内容に留まっている」との声がある。

・これまでの公式な声明を見ると、事業面・営業面が多いと感じるが、企業として何ができるのか、どのステークホルダーを一番に見ているのか、という視点が欠けていると感じる。本社と現地支社の意識のギャップなのだろうか?
(参考:note記事:ミャンマーにおける現状での人権リスクと企業に求められる行動とは?〜紛争地域におけるビジネスと人権①〜

●コロンビアの事例:
・コロンビア人作家ガブリエル・ガルシア・マルケスがノーベル文学賞を受賞した『百年の孤独』という作品は、実はビジネスと人権の話。1920年代に、米国資本のUnited Fruit Companyが深刻な労働条件に奮起した労働者を大虐殺した事件が題材と言われる。

・コロンビアの50年以上続いた武力紛争に関する真実解明の調査が進中、「企業の共犯性」が問題視されている。企業からの紛争アクターへの資金提供や従業員の保護の責任が問われるが、企業の責任を問う司法システムが脆弱性から企業(経営者)が無処罰(impunity)になるリスクが懸念されている。

・紛争後の分断した社会においては、企業の責任として、いかにインクルーシブな環境を構築することができるのか、期待されている。

・コロンビアを含めた南米の環境分野の資源をめぐる紛争は、企業と住民との対立を生み、以前にも増して激化している。(参照:EJAtlas - Global Atlas of Environmental Justice

<提案:アクション>

・人権方針を出している企業が、本当に人権について考えているのか、紛争下で何をすべきか。

・紛争影響国で事業を展開する際、透明性に欠ける取引先が多い場合、人権DDを全て実施してもリスクが洗い出せない可能性が高い場合には、そこに進出することを再検討すべきである。

・もっと企業はNGOと対話をすることで、人権リスクの洗い出しに取り組むことが可能になるのでは?

・家族経営や地元密着型の企業は、外部の株主や投資家からの意見が反映されにくく、人権リスクを洗い出しにくいことは留意すべき。

・(ミャンマーが今後どうなるかわからないが)アルゼンチンでは、軍事政権下(1976-1983年)の人権侵害に対する企業の責任を問う委員会が発足し、 Fordなど多国籍企業の責任が問われている。

<好事例>

・キリンが寄付を行った資金が軍に流れている可能性があったため、ミャンマーにおける軍への資金的な流れを調べたけれど、わからなかった。結果、「ミャンマーで得た利益を配当しない」ことを決定。2月のクーデーター後には、「軍の行動はキリンの人権方針に反している」という声明を発表。

・通信会社・テレノワ社は、ミャンマー軍から通信網のシャットダウンの指令が来ても、「本指令は我々の人権方針に反するものである」との声明を発表。

<まとめ>

・NGOが指摘している紛争地域に進出する際、指導原則に則り、人権リスクを想定していく、人権侵害を予防することが重要である。

・人権方針を発表したからには、その意義を考えながら、一つひとつの事象に対し、経営判断をしていくべきである。

・雇用の創出や経済的なエンパワメントという意味で、紛争影響国との協働はあり得るが、その際にも「(紛争影響国のような)人権リスクの高い国で、ライツホルダーの人権を尊重せずに、利益をあげること」が批判される時代であることを踏まえるように。

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次回は、日本時間5月27日(木)8:15-8:45に「(仮)先住民の権利を守るには?〜カナダの事例〜」というテーマで開催予定です。

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引き続きよろしくお願いいたします!

Social Connection for Human Rights/ 鈴木 真代

Social Connection for Human Rights(SCHR)
〜Bridge All for Responsible Business〜

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