スクールタクト活用術~子供たちが学びを深める学習環境をつくる〜
皆さん、こんにちは!
スクールタクト マーケティング部です。
スクールタクト サマーキャンプ 〜みんなで創る未来(あした)の学び〜 は、スクールタクトと全国の先生がつながり、これからの教育や学びについて一緒に考え、未来に向けてそれぞれの現場での実践につなげていこうと企画したイベントです。
スクールタクトユーザーの先生方にご登壇いただいたDay2 実践編について、数回に分けて詳しくご紹介していきます。まずは、先生方がスクールタクトをどんな場面で活用されているのか「スクールタクト活用術」と題してお伝えします。
今回は、子供たちが学びを深める学習環境づくりを実現された4名の先生方の実践をご紹介します。
オンライン授業や対面・オンラインのハイブリッド授業にも対応
加藤学園暁秀初等学校 多田真志先生(小4 国語)
加藤学園暁秀初等学校の多田真志先生のクラスでも、子供たちがさまざまなツールを自ら選んで使っています。加藤学園暁秀初等学校では、どんなツールを使うかは担任の先生の裁量に任されているそうです。例えばプレゼンテーション1つとっても、ご紹介いただいただけでも6種類のアプリケーションが使われていました。もちろんそれだけではなく、紙や段ボールに書いて発表する子もいるそうです。最終的には自分で発表しやすい方法を選べることが大事という多田先生の言葉には、共感する方が多いのではないでしょうか。
さまざまなICTツールを使い分ける中、子供同士でコメントをつけ合いたい時や、1枚のシートを共有して皆で書き込みたい時には、スクールタクトが適していると多田先生は言います。
例えば小4国語科の「ぴったりの言葉を見つけよう」では、「心が動いたできごとを短い文章で表現する」ことがねらい。
各自がノートに書いた心が動いたできごとを友達と話し合い、中でも一番心が動いたことを選んでスクールタクトに記入します。その際、「嬉しかった」「悲しかった」などの直接的な言葉を使わないというルールを設けることで、さまざまな表現が生まれました。「共同閲覧モード」でお互いにその表現を読み込みコメントし合うと、共感や良い点を褒めることはもちろん、「どう思ったの?」という問いかけや、アドバイスも書き込まれました。直接言われると構えてしまうような指摘も、コメントだとすんなりと受け入れることができたそうです。
「ワードクラウド」機能でクラス全体でどんな表現が使われているのかを確認すると、「ドキドキ」という言葉が多く用いられていることがわかります。「ドキドキ」を使った子供が前に出て、具体的にどんな気持ちだったのか、より詳しく発表しました。
最後に、感情を5種類に分け、それぞれにぴったりな気持ちを表す言葉を「共同編集モード」でみんなで書き込んでいきます。お互いの書き込みを見ながら新たな表現を思いついたりする効果もありそうですね。
他にも、1枚のシートを共有して書き込む使い方を取り入れた、小6国語科の「新聞を作ろう」の単元の事例をご紹介いただきました。1学期の出来事を振り返り、グループで話し合いながら新聞を製作します。この授業は、コロナ禍において対面とオンラインのハイブリッドで実施されました。対面で授業を受ける子供たちは手書きのシートを台紙に貼り付ける形で製作。オンラインの子供たちはzoomで話し合いながらスクールタクトの「共同編集モード」を使い、グループメンバーで同時に編集を進めていったそうです。
2020年以降のコロナ禍で、自宅待機等で登校できない子供たちにどう学びを届けるかを模索した先生がたくさんいらっしゃると思います。おそらくハイブリッド授業と聞いてまず思い浮かぶのは、先生が教室で話し、その内容をオンラインで登校できない子供たちにも伝えるというスタイルではないでしょうか。多田先生の実践はそれに留まらず、複数のICTツールを駆使して、同じ空間を共有していなくてもグループでの話し合いや製作ができることを実証してくださいました。
近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校 河本良介先生(数学・道徳)
コロナ禍、ご自身が自宅待機を余儀なくされた時の経験を話してくださったのは、近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校の河本良介先生。スクールタクトで通常通り課題を配布しておくことで、先生が教室にいなくても授業を行うことができたそうです。
具体的には、生徒はそれぞれスクールタクトで配布された課題を解き、河本先生は自宅でリアルタイムで回答状況を確認。必要に応じて生徒のキャンバスにコメントを記入していきました(図中水色の文字が先生)。先生のコメントに対し、生徒が「あー...なるほど」と記入しており(図中赤字)顔は見えなくても文字でのやりとりでリアルタイムにつながることができたことがわかります。
リアルタイムに添削を行うことで、問題を解く方針が立たない生徒や間違った方向に進んでいきそうな生徒には、ヒントやアドバイスを伝えることができます。先生が前で話す時間の多い普段の授業ではなかなかできなかったきめ細やかな指導ができ、時にはこういう方法を取り入れるのもいいなと感じたそうです。
問いや授業展開に応じた活用方法で学びを深める
数学であれば穴埋めや証明をはじめとする自由記述など、スクールタクトを活用することで発問のバリエーションが増えたという河本先生。続いて紹介してくださったのは道徳での活用術です。スクールタクトを活用してさまざまな角度から問いかけることによって、道徳のように「個性とは」といった正解のない問いを扱う教科においても、一人ひとりが考えを深めることができました。
まずは、風船の絵に各自で色を塗ったり、好きな食べ物を文字だけでなく絵や画像で自由に表現したりなど、スクールタクトを用いてアイスブレイク。河本先生は、生徒が自由に表現できる点がスクールタクトの良いところの1つだと言います。ノートやプリントに書くよりも表現の幅が大きく広がったと感じているそうです。
続いて、文章の穴埋めでも回答に個性が現れることを確認していきます。この段階になると、クスッと笑えるような回答もチラホラ。
いくつかの課題を通して個性について実感を持って学んだ後、最後に「個性とは何か」という問いを投げかけると、一人ひとりがその考えを深めていったことが回答から見て取れます。
「ワードクラウド」機能を使ってクラス全体で多く使われている言葉を確認すると、楽しみながらも本質を捉えることができたのではないかと河本先生は言います。こうした個人や学級の思考の過程がポートフォリオとして蓄積されていく点も、スクールタクトの大きな特徴です。
一方で、このような正解のないタイプの問いについては、子供たちが多数派の意見に流されてしまうことや、「多数の意見=正解」のように無意識に感じかねないことにも注意を払う必要があるという課題感も共有いただきました。
これらの事例は、中学1年生の学年全体での実践。スクールタクトで作成した課題は先生同士で簡単に共有することができるため、学年全体で授業の質を担保するという点や授業準備の負担軽減という点でも、利便性が高いと感じているそうです。
東京都立町田高等学校 豊原いずみ先生(英語)
東京都立町田高等学校の豊原いずみ先生は「リテリング(Retelling)」という活動をはじめとする英語科での活用についてお話いただきました。
※東京都立町田高等学校でご利用いただいているサービスの名称はClassiNOTEです。ClassiNOTEは、Classiユーザー用に提供しているスクールタクトの別名称です。システム上の違いはありません。
豊原先生の英語の学習は、生徒がスクールタクトで事前に配布された英文を読み予習することからスタートします。各自がアンダーラインを引いたり、指示語を抜き出したり、調べた単語や言い回しをメモしたりなど、スクールタクト上でさまざまな工夫を凝らしているのがわかります。スクールタクトを活用するようになって、生徒の取り組みを一覧で比較したり、「ワードクラウド」機能でキーワードを抽出したりと添削がとても容易になったそうです。
授業の冒頭では、主人公が話す仮定法のセリフを英語で考え、4コマ漫画の吹き出しに記入する問題や、「4択投票」機能を使ったクイズなど、スクールタクトの機能をうまく活用し、生徒の興味を引きながらウォーミングアップを行っています。
「授業ではできるだけ生徒の活動に時間を割きたい」と話す豊原先生が中でも力を入れているのが、本文の言語形式を自分の言葉で言い換える「リテリング(Retelling)」活動。読んだ英文を、英語を使って自分の言葉で説明するために、何度も読み返し、説明に必要なボキャブラリーが不足している場合には辞書で調べるといった取り組みが必要になります。
ご紹介いただいた授業の動画では、言葉での説明だけでなく、スクールタクトのキャンバスに絵を描いて補足し、グループで発表を行っていました。お互いのコメントを踏まえて、表現を修正する生徒もいたそうです。
グループ活動にあたっては、誰もが自分の意見を言いたい、聞いてほしいという気持ちを持っているという前提に立ち、相手を否定しないことを大切にしているという豊原先生。リテリング活動によって、話すことだけでなく聞く態度も育っていくと言います。同じ文章を読んでも言い換える表現は人それぞれ。もちろん元の文章の主張に対する意見もさまざまです。
唯一の正解のない活動だからこそ、全員が学びを自分のこととして捉えることができる環境が大切。スクールタクトの「回答一覧」や「共同閲覧モード」でお互いの回答を見合い、他の人から見られることを意識することにより、自然とそんな環境が作れたそうです。
町田高校ではiPadの活用が日常的になっており、英語の他にも、調査探究活動や進学先の大学の研究室を調べる活動、修学旅行で見学した史跡の記録などさまざまな場面でスクールタクトを活用しています。スクールタクトにはこういったあらゆる活動の記録がポートフォリオとしてまとまっており、全ての先生が閲覧しているそうです。
スクールタクトの機能をノートやポートフォリオとして使うだけでなく、リテリングやプレゼンテーションといったアウトプットのツールとしても活用できると豊原先生は言います。こうした授業を行っていくことで、自分の意見をしっかり主張できる人材が育つという先生のお考えをうかがい、なんだか希望が湧いてきました。
高輪中学校・高等学校 久保田善之先生(中2 数学)
高輪中学校・高等学校の久保田善之先生は、中学2年生の数学を担当されています。久保田先生の授業のパターンは大きく分けて2つ。1つは「宿題回収+単元の解説+問題演習」のパターン、もう1つは「確認テスト+総合演習」のパターンです。
スクールタクトの導入後は、これまで板書して解説していた部分をスクールタクトに切り替え、その後の演習にも活用しています。PowerPointで作成した穴埋め式の資料をスクリーンに投影して解説を行い、生徒はそれを聞きながらスクールタクトで配布された同じ資料の空欄を埋め、問題を解いていきます。問題を解く際には、直接端末で書き込む生徒もいれば、紙に解いた回答を写真に撮ってアップロードする生徒もいるそうです。
板書をすることがほとんどなくなり、1学期で使ったチョークはたった3本だったとか。
また、生徒の画面を一覧で見ながら生徒が授業をきちんと聞いているか、メモをとっているかを確認することができ、机間巡視(※1)をする必要がなくなりました。演習問題の取り組み状況を一覧で把握し、8割くらい埋まったところで解説を行うなどタイミングを測りやすいだけでなく、良い別解をピックアップしたり、よくあるミスや先生が想定していなかったミスを踏まえて解説したりすることもできます。
※1 机間巡視は、先生が授業中に机の周りを巡回し、一人ひとりの理解度を把握したり、状況に応じて個別に指導を行うことを指します。
演習問題は紙で取り組み、スクールタクトで配布した問題と解説のセットをダウンロードして確認します。問題がPDFで配布されているため、試験前に何度でも演習問題を解き直すことができます。必要に応じて生徒が各自印刷しているそうです。
問題を解く進度に合わせ、早く終わった生徒が取り組める追加問題もスクールタクトで配布し、若い番号から取り組むルールにしています。そうすることで、過去に配布したプリントに遡ってそれぞれのペースで取り組むことができるようになりました。紙でのみ演習問題を配布していた時には、各自が保管していなければ遡ることはできなかったため、その点もデータで配布することのメリットだと言います。また、回答一覧を確認することで、演習問題の進度も一目で知ることができます。
2つ目の授業パターンの確認テストでもスクールタクトを活用しています。「タイマー」機能で時間を測りながら、生徒はスクールタクト上で問題を解きます。終了後の解説も板書はせず、スクールタクトの「先生メモ」に書き込みながら行います。
続く総合演習もスクールタクトで行っています。時に生徒が演習に取り組んでいる様子をリアルタイムでスクリーンに投影することで、指名された生徒が前に出て黒板で問題を解く場面を自席にいたまま再現することもできるそうです。
スクールタクトを導入いただいて3ヶ月、これまでのご自身の授業スタイルをスクールタクトに置き換えてみて感じているポイントとして、
印刷の必要がなくなり楽になった点
リアルタイムでの確認により机間巡視の手間が圧倒的に少なくなった点
データ保管になり生徒の「プリントなくしました!」が一切なくなった点
を挙げていただきました。自分のペースで演習に取り組むことができる仕組みが、生徒の主体的な学びへと繋がっているのだろうと感じると同時に、先生にとってもメリットがたくさんあるということがわかりました。
前回、今回とたくさんの先生方のなるほどや発見にあふれた活用術をご紹介しました。どの実践、どの活用術にも、それぞれの先生の「こんな風に学んでほしい」という思いが表れていました。盛りだくさんの発表内容でしたが、次回は「主体的、協働的に学ぶための仕掛け」にフォーカスしたスクールタクト活用術をご紹介していきます!
それではまた。
学びとマナビが、ひびき合う。
スクールタクトでした。
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