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生理がドロップアウトにつながってはいけない

学校保健に関わっている立場として、どうしても気になっている人たちがいて、ホームページにメールして会えないだろうか? と聞いてみたことろ、トゥールトンポンのブラウンコーヒーで会いましょう! というお返事をいただき、ひとりと会えることとなりました。

Green Lady Cambodiaという活動

わたしがなぜ会いたかったかというと。Green Lady Cambodiaというソーシャルビジネスをやっている彼女たちのプロジェクトに、感銘を受けてしまったからです。
このプロジェクトは、一言でいうと、布ナプキンを作って売っていること。
でも、その仕組みは単純なものではありません。

・布はカンボジア産のオーガニックコットンを使い、地方の綿花農家にお金を落とす。
・ミシンで縫製をするのはHIVなどで外で働くには差別を受けがちな女性。彼女たちに経済的な自立をサポートしている。
・生理がきても親や先生に言えない、保健教育を十分に受けていない田舎の小学校高学年を対象に、生理についての正しい知識や、勇気を与えるための教育や授業を行っている。女子児童のみならず、教師や家庭への啓もう活動も行う。
・ナプキンが高くて買えない子どものために、手縫いで作る方法を指導している。
・環境問題を考え、使い捨てのナプキンではなく、布製ナプキンや月経カップの使用を促す活動をしている。
・環境問題のみならず、女性の体にとって、化学繊維でできた使い捨てのものではなく、コットンを用いることがいかに健康的か、という啓もう活動もしている。
・そして、これは、単なる営利ビジネスではなく、ビジネスを通じて社会問題を解決していくソーシャルビジネスである。

https://www.greenladycambodia.com/

生理が女子の就学率を下げる要因のひとつ

数ヶ月前、ある論文を読んで、カンボジアの女子の就学率が下がる要因のひとつが生理であることを知りショックを受けました。毎月1週間近く休む子も少なくありません。その生活がドロップアウトにつながっているそうです。
実際のカンボジアの女子の就学率データを見ても、96.1%が小学校を卒業しますが、中学を卒業するのはわずか37.4%。高校は20.1%です(カンボジア教育省)。

ドロップアウトの理由は様々で、家庭の手伝い等労働の必要性などのほか、小学校から中学校に進学するのと初潮を迎える時期が同じというのも要因のひとつと言われています。
そこで大人とみなされて、学校継続ができなくなるのでしょうか。

カンボジア人がカンボジア人を支援するカタチ

Green Lady Cambodiaが社会問題をきちんととらえ、カンボジアの女性たちを勇気づける活動をしていることに誇りをもっていることがよくわかりました。
そして、それを、カンボジアがよくやりがちな、寄付金をもらって行うNGO活動ではなく、持続可能なビジネスで行うと決めたことに、深く感銘をうけました。

支援を受けている人に力をつけて自立を促す、そのためには、自らの力でお金を作ることは必須だと思います。

お金にはパワーが宿っています。

支援活動には、必ず支援するドナーの意思がいちばんに働いてしまうことがあります。そのドナーが受益者側に立てる人だった場合は、万々歳!
ところが、受益者にとって、最善の方法かどうかは、置いておかれるケースも少なからずあります。

だから、「カンボジア人がカンボジア人を助ける」、それも持続可能な方法で、というスタンスに未来を感じました。
Green Lady Cambodiaは女性たちが女性たちを助けるプロジェクト。学校に通っている子どもたちの半分は女の子です。彼女たちの活動によって、生理がドロップアプトにつながらない、そんなときがすぐに訪れることを願っています。

子どもが笑う顔を見るのは、気持ちがいいです。
けれど、その子どもを笑わせるのは、外国から来たわたしたちではなく、同じ国の、ちょっと先輩の人たちであることが、理想だなぁと思いました。

わたしたちの学校保健活動でも、主役はカンボジア人。
彼女に会うことで、学校の保健室の先生の育成に向けた活動の重要性をあらためて確認できました。


(プロジェクトコーディネーター YM)


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