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アシャッフェンブルク

今年は9月以降もなかなか気温が下がらなかった中部ドイツ。しかし、先週末ひと雨降って最高気温が一気に10℃以上下りました。今週末からいよいよ秋らしく雨天が続く予報が出たため、一昨日の晴天が広がった日に日帰り旅行に出かけました。行き先はアシャッフェンブルク(Aschaffenburug)。バイエルン州に属する街です。

アシャッフェンブルクと言えば、ドイツ中部独特の薔薇色をした石で建てられた壮麗な城(Schloss Johannisburg)。内部は美術館になっています。実はこの城、コロナウィルス禍前、長期間にわたり修復中でした。今回、日帰り旅行に適した場所を探している時、ふと「そろそろ城の修復が終了しているのでは」と思い調べてみたら、予想どおり再開館していたので、早速出かけることにしました。

このあたりでアシャッフェンブルクに関する蘊蓄を多少でも述べたいところですが、セメスターが始まってしまい毎日忙しなく、アシャッフェンブルクに関しては全くの勉強不足なので、とりあえず当日撮った写真を並べていきます。まずはSchloss Johannisburgから。

クラナハの絵画なども何点か展示されており、かなり見応えがありました。ともかく広いので、気になる絵画のみを拾いながら歩いたのですが、それでも出口に辿り着くまで1時間以上かかりました。この美術館の入館券を買う時にスタッフに「ポンペヤヌム(Ponpejanum)へはいらっしゃるご予定ですか」と聞かれました。それは何ですかと聞くと、ポンペイの邸宅を模倣して19世紀に建てられたヴィラだとか。マイン川に沿ってそこへ行くまで道のりも綺麗だとおっしゃるので、城を見学した後、そこへ行ってみることにしました。以下がPonpejanumとそこへ行くまでの散歩道で写真です。

城からPonpejanumへ行く道のりは本当に綺麗でした。なお、Ponpejanum正面のテラスからは、城の素晴らしい姿を望むことができます。色合いが美しかったPompejanumの写真は主にカラーフィルム(残り少ない貴重なPRO400Hを1本、この場所に捧げました)で撮影しました。この写真はただいま現像待ちの状態なので、今回は白黒写真1件のみ投稿します。

城とPonpejanumを見学した後は、旧市街にもどり通りがかったカフェでお茶を飲みました。このカフェの正面に、まるでアマルフィの大聖堂のような立派な大階段を備えた教会がありました。Stiftsbasilika St. Peter und Alexanderです。夫によるとアシャッフェンブルクが位置するフランケン地方は一般にプロテスタントが優勢だとのことですが、ここは入口にローマ法王のポスターが並んでいるバリバリのカトリック教会でした。そもそも城(Schloss Johannisburg)は、かつてマイン川沿いに広範囲にわたって影響を及ぼしていたマインツ大司教(またの名をマインツ選帝侯、Kurfürst von Mainz)が建てたものなので、この街はフランケン地方のなかでも別格なのかもしれません。

この日は沢山写真を撮りました。そもそも私は「写真を撮りに行く」ということはなく、「残しておきたい風景に出会った時に写真を撮る」という極めて受動的な写真の撮り方をしています。ですから、アシャッフェンブルクで沢山写真を撮ったということは、私にとってこの街がとても良い場所だったということを如実に示しているのです。

話は変わりますが、「フィレンツェをヨーロッパ屈指の美しい街だ」と言えば、みなさんきっと頷いてくださると思います。幸運にもこの街に夫が親しくしている遠縁の叔母が住んでいるため、私はドイツ移住以降年に2回、3回とフィレンツェを訪れる機会に恵まれてきました。もう20回以上彼の地へ行き、観光名所は隅から隅まで舐めるように見尽くしました。その結果、何が起こったかというと、私はフィレンツェでほとんど写真を撮らなくなったのです。最近ではホテルの部屋にカメラを置きっぱなしにして出かけることすらあります。何ということか、私はあの「世にも美しい街」に慣れてしまったようです。慣れって本当に恐ろしい…。

「感動が私に写真を撮らせる」というのが、長らく私の写真に対する姿勢でしたが、次にフィレンツェへ行ったら、ここはぜひ、積極的に撮りに行くようにしたいと思っています。

なお、今回投稿した写真は全てrolleiflex 2.8Fを使い、Ilford HP5 Plusで撮影しました。