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母がヨーロッパの文学や音楽に強い関心を寄せていたせいか、ヨーロッパは幼い頃から私の身近にありました。大学での専攻は比較政治で、主にヨーロッパの政治・歴史・思想について勉強していました。30代を過ぎたころから、ヨーロッパには度々旅行していました。そのせいか、私はドイツに移住した後も、ドイツという国の文化や習慣などに対し、コペルニクス的転回を強いられるようなカルチャーショックなるものを受けたことはありません。確かに「日本にいる時のようには物事が運ばないのだ」と思うことはあっても、
ドイツ語に「trübe」という語があります。 ハイネがその詩集「Deutschland. Wintermärchen」の冒頭で、このtrübeという語を用いていますが、それにどなたかが「曇った」という訳語を充てていました。辞書を引けば「濁った、くすんだ」などと並び「曇った」と書かれていますから間違いではないのですが、そこから東京あたりの「曇り」を思い浮かべてしまうと、まるで話が違ってきます。 ドイツの人々が天気を「trübe」と形容する時、高層霧(Hochnebel)が一
私の髪をいつも切ってくれる美容師さんは日本人です。子供の頃からドイツに住んでいるので、ドイツ語はペラペラ。両親が日本人なので日本語もペラペラ。羨ましいかぎりです。いつも髪を切ってもらう間、彼女と思いっきり日本語で話すことが楽しみの一つにもなっているのですが、そんな彼女が先日こんなことを言っていました。 「日本に行って電車に乗ったりすると、私、なんだか緊張しちゃうんですよね」 え。それどういうことですか。そう訊ねると、彼女は引き続きこんなことを言いました。 「電車の中で隣
国際文通クラブ 私が中学生の頃、課外活動は2種類ありました。すなわち、授業時間内に組み込まれている「クラブ」と、主に放課後活動する「部活動」です。部活動は原則3年間継続で任意参加。私はテニス部に所属しました。一方、「クラブ」のほうは必修で毎年4月に選択します。継続して同じクラブに参加しても良いし、毎年異なるクラブを選んでもかまいません。それぞれの生徒は自分が参加したいクラブを選び、学年横断的に集まって1コマともに活動するのです。私はある初年度リコーダークラブを選び、残りの2
ドイツのパンというと、私の頭に真っ先に思い浮かぶのが黒パンです。様々な種類の麦の粉の配分を変えたり精製の度合いを変えたりして焼かれるパンは、実に色合いが豊かで見ていてあきません。味も食感もそれぞれ微妙に異なります。概して、私はドイツのパンは非常に美味しいと思うのですが、それでも一つ、移住当初は納得がいかなかったパンがありました。それはタイトルにもある通り、「クロワッサン」と名付けられたパン。以下は、そのドイツのクロワッサンについて、2020年4月にブログに書いた記事です。
今日はチュービンゲン(Tübingen)の写真を投稿します。仕事がある夫をシュトゥットガルト(Stuttgart)に残し、10年前の夏、一人で出かけた街です。写真はで全てRolleiflex 2.8FとPRO400Hで撮影しました。 チュービンゲンには1477年に創設された古い大学があり、その昔、私の古い友人がこの大学に留学していました。 「チュービンゲンってどんなところ?」 「すごい田舎だよ。けっこう方言がきつくて、大変だった」 かつてそんな言葉を交わしたことを、シュトゥ
ウィーンのCafé SperlにはHausordnungなるものがあります。Hausordnungという単語は「施設利用規則」とでも訳せば良いでしょうか。旅行前、「ウィーンでは久しぶりにCafé Sperlへ行こう」と話している時に、夫がCafé SperlのHPでこのHausordnungを見つけました。 「Café Sperlでは昼の12時以降、座席でのラップトップ使用は禁止なんだって!」 その後、私たちは滞在期間中、毎日Café Sperlで昼食を食べることになるので