何だよ、意外と書けるじゃねえか 補足

 つい先日、こんな記事を書いたわけだが、それについて補足実験的な話をする。

 記事の中で「プロンプト一発で文章生成は厳しいよ」てなことを話した。
 が、一応、抜け道的というか「いやまあ、出来なくもないけど出来てるって言えるか?」的な方法を紹介したいと思う。

 やり方は簡単。

 自分で書いた文章に添えて、「この文章を生成するプロンプトを教えて」と、生成AIさんに質問すれば良いのだ。

 実例を示そう。
 前回の記事の最後で紹介した、ChatGPTとの議論を踏まえて生成させた文章を元に「文章を生成するプロンプト」を生成してもらったのが以下だ。

プロンプト:

生成AIを使用して質の高い記事を作成する際に直面する誤解と落とし穴について詳しく説明してください。具体的には、以下のポイントを含めてください:

生成AIによる記事作成の誤解: 「プロンプト一発で質の高い記事が生成できる」と考える誤解について説明し、実際にはどのような問題が発生するかを明らかにしてください。

独自表現と人間の「ブレ」の重要性: 生成AIが提供する情報と一般的な表現の限界について説明し、独自性や深みを持つ文章には人間の洞察力とクリエイティビティがどれほど重要であるかを示してください。

AIとの対話による質の向上: AIとの議論を通じてアイデアや視点を深めることが、記事の質を高める鍵である理由を説明し、どのようにこのプロセスがオリジナリティを生むのかを具体的に示してください。

人間の意図を反映させるためのステップ: AIとの対話を通じて人間の意図や重要なポイントを明確にする方法と、それがどのように記事の深みを生むのかを説明してください。

効率性と独自性のバランス: プロダクト化を目指す場合の効率性と独自性のバランスをどう取るべきかについて、生成AIの特性を理解し、人間のクリエイティビティをどう活かすかを述べてください。

結論: 生成AIを活用して質の高い記事を作成するために必要なステップと、それにより得られる結果についてまとめてください。

(文章と一緒に「この文章を生成するプロンプトを提示して下さい」と指示した結果)

 完成品ありきのプロンプトなので、そりゃあポイントを押さえた代物になっている(*1)。が、ここまで指示してやれば、原文に近いものが出力される。
 出力結果は割愛するが、まあ主張そのものとしては同じながらも、全く同じにはならない。構成的にはよりまとまっているような印象は受けるが、まとまりすぎて元のテイストが失われている感もする、そんなのが出力される。

 とは言え、このレベルまで指示すれば、生成AIにありがちな一般論のフランケンシュタインではない文章を生成出来る、ということだ。
 一つの参考になるんじゃないだろうか。

 この方法は、特にnote書きの皆さんなら簡単に実験出来るだろう。
 何せ、食べさせる文章には事欠かないわけで、一体どのようなプロンプトなら自分の文章を生成できるか、というヒントが得られるだろうし、別の言い方をすれば、文章生成プロンプト=文章の設計図であるわけで、自分の文章のリバースエンジニアリング結果を確認出来る、ということでもある。

 そしてこれは、生成AIで簡単に記事生成!という、お花畑な主張への答えにもなってると思う。

 このレベルのプロンプトを一から書くために、人間側に要求される能力は一体何だ?という話だわな。

・通底するメインの主張を考えついて、
・全体の流れを構成して、
・説得力を持たせるための順序だてたサブの主張を考えて、
・スパイスとしてのキーワードを設定する

 当たり前のように普通以上の文章を書く能力が要求されて、それだけではなく「自分で文章を書く前に、その文章の要約文を過不足なく書く」ことが求められるわけだ。
 おじさん良く知らないが、んな芸当がホイホイ出来る人材が世の中溢れておるのかね?

 念のため言っておくけど、何の情報も無くこのレベルのプロンプトを生成してもらえるなんて都合の良い話は無い。

 結局のところ、地道にやるのが一番てことですよ。

 新しいテクノロジーが出るたびに、凡人が一発逆転!的なストーリーで耳目を集めたがるけど、何回同じことを繰り返してんだオマエらは、という話でしかねえんですよ。あーこりゃこりゃ。

 地道な使い方でも便利には使えるんだから、その方向を探った方が建設的だと思いますですよ。
 まあ、その地道な使い方がいずれはプロダクトに組み込まれていく、その過渡期にあると考えられる。
 そういうのに関わってない凡人としては、せめてテクノロジーに対するリテラシーはそこそこ高めて、安易な俗説の片棒は担ぎたくないなあと思う次第で今回は終わり。以上。


*1:元文章を生成した会話の中でプロンプト作成を要求すると、構成要素の情報が残っているために事細かなプロンプトが出来上がりやすい。新しい会話として文章を与えてプロンプト作成を要求すると、ベタ書き文章形式のプロンプトが作成されたりする。元文章が構造化されているかどうかにもよると思われる。それほど多くのパターンを試行していないため、実は何らかの傾向があるかも知れない。


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