Bing AIに麻雀ネタを尋ねてみた
まあ、ここ最近HOTな話題となっている、AIチャットというやつに触れてみた。ChatGPTが話題だけど、そっちではなく、Edgeに搭載されたBing AIの方ね。
AIで麻雀ネタと言えば、まあほとんどがNAGAとかいうAIさんで、用途は打牌についてであるから、じゃあ本稿もBing AIに打牌のことを聞いてみたのかというと、そんな話ではない。
単純に、文章生成ネタとして麻雀ネタを指定してみました、というもので、と言うか、打牌をどうこう言えるほど麻雀に詳しいわけではありませぬでな。
随分と話題になっておるので、一度軽く触れてみて、一体どれくらいのことが出来るのかを試したという、どちらかと言うと技術的な興味で動いている。
そういうわけで、今回の内容の半分ぐらいはBing AIで生成した文章である。
基本的な仕組みとしては、指定したテーマから色んなパターンでWeb検索をかまして、見つかった情報を何か良い塩梅で繋ぎ合わせて、それっぽい文章にしてくれる、というものと理解している。
なので、ただ単純に使うと、どこかで見たような当たり障りのない文章のフランケンシュタインが出来上がるだけで、それだけでは別に面白くとも何ともないので、キーワードを色々といじって、どういう活用法ならイケるか、というのを探ってみた次第です。
1.スタンスを設定する
まずは例えば「Mリーグについて」なんてテーマで文章を生成してみると、まあ言わばWikipediaの概要に書かれているような文章が吐き出される。まあ、これは予想通り。これだけなら別にAIに頼むほどではない。
そこで一つエッセンスを付け加えてみる。
「好意的に」「批判的に」というキーワードを付与してみるのだ。
そうして出来たのが、次の文章だ。
テーマ:Mリーグを好意的に
いつの間に12チームになったんだ、という、のっけから全く興味のない人間が仕方なしにデッチ上げたような文章が出てきて椅子からズリ落ちかけた。
まあ、そこにさえ目をつぶれば、確かにそれっぽく好意的な解釈が書かれている。
続いては逆に「批判的に」と指定した文章だ。
テーマ:Mリーグを批判的に
おい、配牌を人工的に調整とか、とんでもなくスキャンダラスなこと書いてるぞ。
それ以外にも細かく見るとものすごく難癖ライクな部分も散見されるが、まあ、ベースとなっているのはWeb上に転がってる数多の批判的なコメントであると考えれば、難癖度が強くても納得は出来る。
いずれにせよ、ちゃんと指定した通りに「好意的に」「批判的に」というスタンスで文章を生成してくれることが判る。
ここから見出せる活用方法が、調べたいものについて、異なるスタンスの意見を並べて比較が出来るということだ。
これを普通にWeb検索で調べようとすると、自分の見解に近いスタンスならまだしも、相容れないスタンスの意見を収集するのは、一種の苦行に相当する行為であることは経験的にお判りだろう。
大まかな意見の傾向を掴みたい場合であれば、AIさんにお願いすることで、まさに最大公約数的な大まかさの文章を生成してくれる。
そこに含まれる辞書的な情報が誤っていたり、根も葉もない情報が含まれている場合もあるが、ここで欲しいのは「大まかさ」と割り切れば、充分に役立つ情報と評価できよう。
異なるスタンスの意見の応用的な活用方法としては、自分のスタンスがどちらに近いかを測る物差しとして使う、というアイデアもある。
このように「〇〇なスタンスで」を指定することで、生成される文章をコントロール出来ることが判った。
2.いきなりだが、おバカ路線
ここでふと、閃光のように頭をよぎったテーマを指定してみる。
何故そんなことを思い付いたのかは皆目見当がつかない。Bing AIの名誉のために、AIの仕業でないことだけは言っておこう。
テーマ:Mリーグで世界征服
「目指してみませんか?」じゃねえよ。どんだけカジュアルなんだ。
こんなバカなテーマでも、馬鹿正直に真面目に文章を生成してくれる。こんなもの他人に依頼出来ない。と言うより、頼むという発想自体が浮かばないレベルのテーマである。
「Mリーグ」の部分は他のものに変えても問題なかった。どう問題が無いかと言えば、たとえそれが「ミニ四駆」を指定したとしても、馬鹿正直に、律儀に、世界征服までの道のりを述べてくれるのだ。そのうち、まるでコロコロコミックのホビー漫画のあらすじを読んでいるかのような気分になること請け合いである。
さらに、生成した文の引用は控えるが、応用編として「プロ雀士〇〇が世界征服」(〇〇には好きなプロ雀士の名前を入れる)で文章を生成すると、プロ雀士である〇〇さんが麻雀で世界征服の野望を果たさんとするストーリーをでっちあげてくれる。
生成されるストーリーのパターンは色々あって、見事世界征服を成し遂げるパターンもあれば、達成間近で反乱が勃発して夢破れるパターン、果ては世界征服成就の後に地球外生命体に挑戦状を叩きつけるパターンまであり、飽きさせない造りになっている。
と言うか、AI君は麻雀を何と心得ておるのだね?
この実験を通じて、AIが本当に人間より優れている点が垣間見えた気がした。
そう、ヤツらには恥の概念が無いのだ。
3.たぶん、これが正道
いきなりおバカ路線に走ってしまったが、ここからが、おそらくは、この手の技術の活用方法の本線と思しき話。
実は少し前に「雀荘+コワーキングスペース」ってどうなんだろう?というアイデアが思い浮かんだのだが、まあ別に麻雀界隈と接点も無く、「そもそも雀荘自体行ったことのない人間が何言うとんじゃい」的な話なので、単なる思い付きだけで深く考えるには至っていなかった。
ふむ、ちょうど良い。この思い付きをAIさんに語ってもらおうじゃないの。
というわけでやってみたら、想像以上に想像通りのテキストが生成されたのだ。
テーマ:雀荘とコワーキングスペースの融合を提案
うお、すげえそれっぽい感じに提案してるよ。
あまり無い組み合わせだからか、「画期的」とまで添えてくれてる。いい仕事するじゃねえか、お前ぇさんよ。
とは言え、良い話ばかりでは単なる夢物語で説得力に乏しいので、もう一つテーマを設定する。
このアイデアの「課題」を考えてもらうのだ。
テーマ:雀荘とコワーキングスペースの融合についての課題
おうおう、まあ普通に想定される課題点を挙げてくれてるよ。法規的な固有名詞部分は裏を取る必要があるものの、大筋としては全く問題ない。
なんとまあ、あっさりと「アイデア」+「解決すべき課題」のセットをしっかり言語化してくれましたよ。
ただし、多分これはちょっとしたコツ、と言うか、起点となるアイデア部分はちゃんと人間が考えないとイカンのだと思う。
つまり、例えば何かのジャンルについて、「新しいアイデア」というキーワードで文章を生成させるのはアウトなんですよ。
これは仕組みを考えれば判ることで、生成される文章のベースは結局のところWeb検索結果に過ぎないわけで、「新しいアイデア」を指定したところで、生成されるのは「どこかにあるアイデア」を列挙したものにしかならない。
特にアイデアというものは、既存の要素同士の組み合わせ、によるものであることを鑑みれば、「現在は(ほぼ)存在しない組み合わせ」でなければいけない。そうすると、Web検索結果として収集できるレベルで組み合わせが存在しているということは、それはもはや既存アイデアに過ぎない、ということになる。
このことから、要素同士の組み合わせについては、少なくとも現段階においては、人間が提示する必要がある、ということだ。
さらにAIによる文章生成の特徴として、辞書的な文章は意外と弱い、ようなのだ。Web検索結果から文章を生成するというのだから、辞書的な文章こそ強いように思えるが、しかしWeb上において、いずれの情報も一定以上の濃度で転がっているとは限らない。例えばマイナーな作品についての文章を生成させると、そりゃあもうものすごく、不正確にして不誠実という意味での適当な文章を吐き出してくれる。
この手のAIの強みというのは、そういった辞書的な部分ではなく、複数の要素を抽象化して共通点を見出す、という点にあるのではなかろうか。まあそもそも、現在のAI技術ってのはパターンマッチングお化けであるから当然とも言えるか。
なので、「良く知られた要素A」と「良く知られた要素B」を組み合わせるとどうなるか?というテーマを設定すると、かなりいい仕事をしてくれるように思う。
さらにコツと言うか、使いどころを考えてみよう。
先に提示した「思い付き」が一つのサンプルになる。
要は、まさに Just an Idea の段階で、あまり掘り下げて考えていないネタを題材にするのだ。(総じて、キーワードレベルの思い付きに留まっており、それ以上は考えるコストを払っていないようなネタ)
例えば、以下のような経験は無いだろうか。
深くまでは考えていないので、話のネタとして取り上げるほどでなく、単なるアイデアの状態で塩漬けにしてしまった(そして、そのまま忘れてしまった)。
仮に取り上げたとしても、そもそも相手にそのアイデアのコアを正しく伝えられず、その場限りの与太話で終わってしまった。
昨今であれば、そういうアイデアをTwitterなどで呟いたり、それこそnoteに書き散らして終わり、という路線の方が多いかも知れない。
いずれにせよ「きちんと言語化して熟成すれば良いアイデアだったかも知れないアイデア」は誰しも持っていて、しかし言語化のためのコストが大きいことから、そういったアイデアがみすみす捨てられているケース、は意外と多いのではないかと考える。
まあこれは、そういったアイデアを言語化することにこそ価値があるのだ、ということの証左でもある。
そこでこの文章生成AIの出番。
こいつを使って言語化することで、意外とみんなの脳内に沈殿したアイデアをサルベージ出来るかも知れん。
もちろん、言語化すればすぐにモノになるとは限らないが、議論の俎上に載せるレベルまでは持って行けるだろう。
たったそれだけとお思いか?
議論できるレベルになるだけでも相当な進歩ではないか。
日常生活の中でのふとした思い付き、つまりは思い付いた人それぞれが持つバックボーンならではの組み合わせを、AIを用いて言語化することで、その中から面白い取り組みが生まれるかもだ。
いやあ、思いのほか実に興味深い代物であったよ。
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