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おばあちゃんのポテトサラダ

私の得意料理、旦那さんの大好きなポテサラの原点はおばあちゃんのポテトサラダ。おばあちゃんのポテトサラダは、これまでの人生で食べてきたポテトサラダとは一味違う。

しっとりしたじゃがいものペーストに、にんじん、卵、シーチキン。強めの塩コショウと少しのマヨネーズ。じっくり茹でられたじゃがいもは、裏漉しせずともかなりなめらかで、その大雑把な作り方とのアンバランスになんだか笑ってしまう。

ポテトサラダの日、おばあちゃんはいつもより早くから準備に取り掛かる。IHヒーターの強火で長い時間じゃがいもを茹でるためだ。大きなメークインをまるごと4つ、卵一つ、にんじん半本(もちろん皮は剥かない)、沸騰を待つなんてせず、水から火にかける。

じゃがいもに火が通るまで、おばあちゃんはキッチンの横の階段を50回上り下り。じんわり汗ばむ程度の運動がいいらしい。

十分火が通ったら、湯を切ってすぐにじゃがいもの皮を剥く。すぐに、がポイントらしい。常人には熱すぎて持てないが、おばあちゃんともなると、「熱いほうが潰しやすい」と言って火傷するほどのそれをてきぱき剥いていく。私は専ら、ボールに飛んできた具材を潰しては混ぜる係。驚くほど簡単に潰れる。

「塩コショウ、ふってみ。味がしっかりするまでや。」

かなり多めに入れたつもりが、おばあちゃんの味と比べてなんとなく弱い。再度同じぐらいの量を振りかけて、おばあちゃんがひとつまみ。合格だ。

シーチキンはすべて入れるのがポイント。オイルまですべて。最初はマジか!と思ったものの、出来上がったポテサラは、オイルがじゃがいもによく馴染んで、とてもなめらかなペーストに仕上がる。ベーコンや、ウィンナーを入れなくても全体に良い風味がでる。

マヨネーズと卵のコク、シーチキンの風味、にんじんの赤み、しっとりなめらかなじゃがいも。できたポテサラは、大きなじゃがいも4つも使ってるんだから大量だ。翌朝のトーストに乗せて食べる切るまでがセット。塩コショウが効いたポテサラはトーストにもよく合う。

自分の大切な人にも作ってあげたくなる、そんな思い入れのある一品。私のポテサラを、娘は受け継いでくれるだろうか。

#元気をもらったあの食事
#エッセイ

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